建築と社会バックナンバー
『建築と社会』2024年3月号:東海支部会員作品
愛知県立芸術大学美術学部 新彫刻棟
建築主 | 愛知県 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 建築工事:髙柳組(第一工区) 大数建設(第二工区) 電気工事:関電工事 空調・管工事:瀬戸ガス水道 エレベーター工事:フジテック |
所在地 | 愛知県長久手市 |
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敷地面積 | 408,059.20m² |
建築面積 | 1,712.74m² |
延床面積 | 1,569.93m² |
構造規模 | RC+S造,RC+W造,RC造 地上1階地下1階 計7棟 |
工期 | 2022年6月~2023年12月 |
撮影 | (株)エスエス |
愛知県芸術学は昭和41年4月に開学し、キャンパスの主要な建物は建築家吉村順三の設計による。今回計画は、既存施設の中に点在している彫刻専攻のエリアを、統合移転するものである。計画に際しては、吉村順三の設計による本キャンパスの計画に込められた「空や緑に共鳴するようなキャンパスの姿」を実現する「軸(視軸、軸の空間)」の思想、手法を十分に理解し、「視覚構造」、「間の空間」を継承して、既存建物群と新彫刻棟をつなぎ、交流を生み、感性を刺激し合う新たな教育、創作環境を創った。
(益田正博、筧政憲/安井建築設計事務所)
大口町立大口西小学校長寿命化改修
建築主 | 大口町 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 佐藤・松岡特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 愛知県丹羽郡大口町余野六丁目440 |
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敷地面積 | 22,464.65m² |
建築面積 | 3,751.38m² |
延床面積 | 6,995.85m² |
構造規模 | RC造、S造、地上3階 |
工期 | 2022年5月~2023年9月 |
撮影 | エスエス名古屋 |
築47年が経過した校舎の長寿命化改修である。綿密な教室の仮移転計画のもと、仮設校舎をつくらない居ながら工事を実現した。活用されていなかった南北校舎間の中庭には膜構造の屋根を新設し、子どもたちが上足のまま遊べる「大屋根ひろば」として整備した。図書室は大幅にスペースを拡張し、明るく立ち寄りやすい雰囲気のメディアセンターとしている。
これからもさらに多くの子どもたちの学び舎として、広く利用されることを願う。
(小柳英治、松元親司、前田千晶/東畑建築事務所)
小垣江鉄工所 新本社工場
建築主 | 株式会社小垣江鉄工所 |
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デザイン監修 | (株)安井建築設計事務所 |
設計・監理 | (株)伊藤工務店一級建築士事務所 |
施工 | (株)伊藤工務店 |
所在地 | 愛知県刈谷市半城土町高林 |
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敷地面積 | 36,320.10m² |
建築面積 | 14,454.31m² |
延床面積 | 15,621.54m² |
構造規模 | S造、地上2階 |
工期 | 2022年6月1日~2023年7月15日 |
撮影 | (株)スタジオセゾン |
活き活き働ける社員ファーストの新本社工場
旧本社工場(小垣江地区)からほど近い刈谷依佐美地区にできた新しい工業団地への移転計画である。
伊藤工務店が工場全体の設計・施工を担当し、当社は主に事務所部分をメインとしたデザインを担当した。新たな本社工場として、企業イメージを発信する顔となり、社員が誇りを持って楽しく働ける社員ファーストの計画が求められた。周辺道路から良く見える事務所エリアの外観デザインや平面プランを中心に、工場全体のカラースキームや家具選定にも関与し、新工場全体をコーディネートした。
工場エリアの外観を黒系の仕上げとしたのに対し、事務所エリアは白系を基調とすることで、存在を際立たせるとともに、新工場の顔となるデザインとした。事務所エリアのファサードは、主にフィン付きのカーテンウォールにより構成し、小垣江鉄工所が持つ繊細な技術を表現している。デッキテラスの庇には大開口を設け、社風を象徴する開放的なデザインとした。また、内外にコーポレートカラーであるオガキエブルーを取入れ、小垣江鉄工所の歴史を継承している。
社員が休憩時にゆっくりくつろげるようにという社長の強い意向を受け、陽当たりのよい南面に食堂や更衣室を配置し、食堂にはソファ席を設けるなど、カフェのようにゆっくりくつろげる空間としている。また、屋根付きの広いデッキテラスを設け、休憩やイベント時にも利用しやすい計画とした。更衣室はクラブハウスのようにゆとりを持たせ、朝夕に快適に過ごせる空間とした。
社員が集中して働き、リラックスして休めるなど、社長の想いが詰まった、活き活きと働ける社員ファーストの環境とすることができた。
建築主・施工者・設計者がチーム一丸となり、楽しく建設を進められたプロジェクトとなった。
(本梅誠、益田正博、西野培夫/安井建築設計事務所)
(本田健一、花岡正澄、杉浦吉昭/伊藤工務店)
岐阜県庁舎
建築主 | 岐阜県 |
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設計 | 日建・大建・岬 設計共同体 |
監理 | 日建・大建 設計共同体 |
施工 | 行政棟:前田・大日本・TSUCHIYA・岐建 特定建設工事共同企業体 議会棟:大日本・TSUCHIYA・岐建・青協 特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 岐阜県岐阜市 |
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敷地面積 | 33,974.26m² |
建築面積 | 13,656.40m² |
延床面積 | 85,384.29m² |
構造規模 | S造一部SRC造(行政棟:1階柱頭免震構造) 地上21階棟屋2階 |
工期 | 2019年7月~2022年9月 |
撮影 | エスエス、トロロスタジオ、近代建築社 |
「清流の国ぎふ」の象徴としての庁舎
岐阜は古くから「飛山濃水(飛騨の山、美濃の水)」の地と呼ばれてきた。プロポーザルで求められた「清流の国」の象徴としての庁舎の回答として、県産材・県産品をふんだんに活用し、庁舎そのものが岐阜のショーウィンドーとなることを提案した。外装は最大447×605×25にもなる大判タイルをはじめ、さまざまな県産特注タイルをメンテナンスに配慮した乾式工法で採用している。庁舎の顔となる行政棟の南北面は、県産杉の浮造り型枠PCを用い、メンテナンススペースと日射調整も兼ねた彫りの深いアウトフレームをそのままファサードとした。内装では、1~3階の誰もが自由に行き来できるエントランスホールに県産材を最も多く利用している。壁は「水のきらめき」から着想した、青いガラス釉を施したボーダータイル張りとし、「水面のゆらめき」を模した白い箱を浮遊させた水面天井、繊細な水糸をイメージした層間木ルーバーなど、水の変容を抽象化したデザインをちりばめることにより、爽やかで優しいゆらぎをもつ清流を彷彿させる空間を目指した。また各階の展望EVホール、清流ロビー内装には美濃和紙を用いるなど、目的地までのシークエンスそのものが、途切れることなく続く「清流の国ぎふ」のショーウィンドーとなっている。 親しまれ、地域の魅力を発信する庁舎 エントランスホールは、1 階北面の連続引分戸によりフルオープンが可能であり、イベント時には大庇のある北側広場と内外一体で利用することができる。またミナモホールはシンポジウムや表彰式などに利用でき、可動観覧席により段床型、平土間型などフレキシブルな利用にも対応できる。 20階には東西100m、南北30mに及ぶ回遊式の展望フロア(清流ロビー)を配置し、FL+2,700から天井までを県産杉CLTを利用した木鋼ハイブリッド方立による4辺支持カーテンウォールとし、それより下を2辺支持ガラスとすることで、目線レベルに障害物の一切ない透明度の高い展望空間を実現した。行政棟の2,3階吹抜空間と連続する議会棟は、木々を映して流れる緑がかった清流のゆらぎやきらめきを、青貫入釉のタイルで表現した印象的な受け壁が来庁者を出迎える。 高度なレジリエンスを実現する庁舎 災害時のレジリエンス性にも注力した。浸水対策として、1階柱頭免震を採用し、重要設備は浸水レベルより上部に集約した。また、行政棟南北面の外装柱型空間を利用した自然換気システムや、太陽光発電パネル、雨水利用、クールヒートトレンチなどを配し、常時のエネルギー削減と有事の機能維持を実現した。行政棟5階は有事の際、移動間仕切りを収納することで、フロア全体をワンルームの危機管理室として機能させることができる計画となっている。 この庁舎では、1階にセキュリティゲートを設け、高層執務エリアと低層共用部のセキュリティを分けている。高層執務エリアの基準階は、間仕切りのないオープンフロアの中心に設けた各階をつなぐ中階段により職員が自由に移動可能で、部署間の連携が取りやすくなっている。 来庁者は、1 階受付でセキュリティカードを受け取り、ゲート先のEVにより、訪問先の階へ移動した後、各階に設けられた受付用の電話にて担当部署にコンタクトし、打合せスペースで職員の対応を受ける。これは所謂オフィスと同じセキュリティ構成である。本庁舎は、高層執務エリアと低層共用部のセキュリティを明確に区分することで、県行政の情報管理と有事における高機能化を実現し、セキュリティ外の来庁者空間を徹底的に開放することで、地域の魅力を発信する拠点としての県庁舎のあり方を追求したものである。(村井達也、中川雄輔、奥瀬陽子/日建設計、定水暁/大建設計)
三十三銀行 高茶屋支店・高茶屋小森支店・津南支店
建築主 | 株式会社三十三銀行 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 丸亀産業 |
所在地 | 三重県津市城山三丁目 |
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敷地面積 | 1,704.15m² |
建築面積 | 425.97m² |
延床面積 | 519.08m² |
構造規模 | S造、地上2階 |
工期 | 2022年4月~2023年5月 |
撮影 | 彦坂武徳/エスエス名古屋支店 |
近接していた複数の支店を統合するため、旧店舗を営業しながら敷地内に新店舗を新築・オープンし、その後旧店舗の解体・外構整備を行ったプロジェクトである。 交差点に面した立地でありながら旧店舗の営業継続のための動線確保や敷地内の計画道路により制限を受けるという条件の中で最適な形を模索した結果、東西に幅の広い平面プランとし、階層の異なるボリュームを前後に並べる構成とした。 タイル張りの列柱状の壁面を内部空間が必要とする開放性に伴って間隔を変えてリズミカルに配置して水平方向の広がりを強調し、のびやかな印象の外観デザインとした。 ロビーと車路の間には軒下空間を設けて内外の緩衝帯としつつ、駐車場からのアクセスの際には雨や日射しを遮るアプローチ空間になっている。
(冨田昌志、松本拓也、照時和浩/伊藤建築設計事務所)
T-LOGI一宮
豊田地域医療センター
建築主 | 豊田市 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 鴻池・太啓建設共同企業体 |
所在地 | 豊田市西山町3丁目30-1 |
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敷地面積 | 45,213.18m² |
建築面積 | (新築)4,728.52m²(合計)10,181.89m² |
延床面積 | (新築)16,677.22m²(合計)30,508.90m² |
構造規模 | SRC造、一部S造・RC造、地上7階 棟屋1階 |
工期 | 2018年7月~2022年12月 |
撮影 | (株)エスエス |
豊田地域医療センターは、市街地北側の小高い丘の上に位置する地域医療の拠点となる施設である。良質な医療環境と在宅医療支援の強化、リハビリ環境の拡充をおこなうため、既存棟を一部残しながら段階的に建替えを行った。 医療機能を集約した新棟を新築し、残置する既存棟は全面的に改修を行い、管理部門と健診センター、在宅支援センターを設置した。新棟上層階4フロアは病棟の種類が異なり、各室配置の違いにより外郭ラインが異なる。この特徴を外観に表し、柔らかな印象的なシルエットを創出した。既存棟を解体した跡地は、地域に自生している樹種を植えた庭を整備し、回遊できるリハビリ遊歩道を備えた。この庭に向けて各棟の入り口やレストラン、待合を設け、緑豊かな景色を享受できるようにした。新棟2階のワンフロアをリハビリテーションとし、リハビリ室を中心に回遊性をもたせたテラスを設けた。このテラスと遊歩道を緩やかな大階段でつなぐことで回遊性を広げ、敷地全体がリハビリの場となるよう計画した。病室からリハビリ室、テラスから遊歩道へと患者の回復状況に応じて様々なシーンを想定し、多様なニーズにこたえられるこれまでにない環境を整備した。遊歩道とテラスは、市民が自由に使えるよう計画をしており、医療センターが掲げるコンセプト、コミュニティ・ホスピタルとして、地域と医療をつなぐ、開かれた病院の新しいかたちを提案した。
(橘高宗平、喜吉洋介/日建設計)
トヨタモビリティパーツ茨城支社 本社屋
建築主 | トヨタモビリティパーツ株式会社 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | トヨタT&S建設 |
施工協力 | パナソニック建設エンジニアリング |
所在地 | 茨城県水戸市米沢町上組307-4 |
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敷地面積 | 17,814.01m² |
建築面積 | 5,703.14m² |
延床面積 | 9,297.79m² |
構造規模 | S造、地上2階 |
工期 | 2022年5月~2023年7月 |
撮影 | (株)エスエス東京支店 |
自動車関連事業とリテール事業を展開しているトヨタモビリティパーツ茨城支社 本社屋の移転新築である。敷地は日本三名園の一つである偕楽園から南へ3㎞ほど下った水戸市の中心地に位置する。 外観は大通りに面するオフィスエリアを白いフレームで強調し、働く様子を魅せるデザインとした。またフレーム内に木質系建材を用いることであたたかみをもたせ、周辺環境と調和し気軽にお客様が来店しやすい建物とした。 建物内部はオフィスエリアと作業エリアを明確に分け、安全性、効率性の向上を図った。オフィスエリアはABW(Activity Based Working)を導入した。多様な打合せに対応可能なスペース、気軽に休憩できるカウンター、WEB会議室兼個室ブース等を整備することで社内交流を活性化させ、一人ひとりが主体的に活動し、パフォーマンスを発揮できるオフィスとした。 倉庫エリアは柱間を広くとり、将来的なレイアウト変更、用途変更に対応可能な空間とした。倉庫の空調設備は搬送ファンを併用するなど、先進技術と「KAIZEN」を活用した、人にやさしく誰もが働きやすい部品センターとした。 太陽光発電設備(発電出力184kW)・蓄電池(蓄電容量2,100kWh)を設置し、省エネルギー化を図るとともに災害時には地域の避難所となる施設としている。
(上西真哉、大河内直哉、山本帆南/伊藤建築設計事務所)
浜名エンジニアリング株式会社本社工場
建築主 | 浜名エンジニアリング株式会社 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 鈴中工業 |
所在地 | 愛知県豊橋市三弥町字新大口1-10、細谷町字北丸山1-3 |
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敷地面積 | 11,539.82m² |
建築面積 | 4,008.20m² |
延床面積 | 4,703.13m² |
構造規模 | S造、地上2階 |
工期 | 2022年9月~2023年9月 |
撮影 | (株)エスエス |
浜名エンジニアリング株式会社は、部品を掴むロボットアーム(ガントリーローダー)等の自動搬送システムを設計・製作販売する会社である。事業拡大・生産性向上・災害対策のため、移転・新築を行うこととなった。 外観は工場・事務所共に横連窓を基調としシンプルで統一感のあるデザインとしている。建物全体に横連窓を設けることで内部に自然光を十分に取入れられる計画とした。 来客者の車両動線と入出荷用のトラック動線を明確に分けて安全に配慮するとともに、トラックの動線は工場の周囲を一筆書きで回れる効率的な配置計画とした。 物・人の動線を最適化するために、組立工場・加工工場と設計部が入る事務所を1棟に集約している。必要な天井高が高く、大スパンの工場と事務所棟では構造特性が異なるため、エキスパンションジョイントを設けて構造別棟とすることで合理的な建物計画とした。 組立工場は、大型製品の組立てを可能にするため55m×30mの平面を確保している。
(高北卓軌、大塚竣揮/伊藤建築設計事務所)
浜松いわた信用金庫本部・本店
建築主 | 浜松磐田信用金庫 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 大成建設・須山建設・中村組 |
所在地 | 静岡県浜松市中央区元城町114番地1 |
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敷地面積 | 本部:2,688.68m²/本店:1,701.58m² |
建築面積 | 本部:1,519.15m²/本店:1,331.37m² |
延床面積 | 本部:11,685.06m²/本店:4,493.35m² |
構造規模 | 本部:SRC造(一部S造/免震構造)、地上10階 本店:S造、地上4階 |
工期 | 2021年3月~2023年8月 |
撮影 | 鈴木文人写真事務所 |
次代の総合金融サービスの創出と提供を目的とした、浜松いわた信用金庫本部・本店の建替計画である。 部署間の連携強化による意思決定の迅速化と、創造的な働き方の実現が設計のテーマとなった。これからの働き方を議論する中で、「部門長間」「部署内」「職員間」という3つの階層における「ファミリー感」の醸成が求められていることが分かった。「個室」とも「大部屋」とも異なる、個性ある場がまとまりを持ちつつもゆるやかにつながる、日本の伝統建築の間取りのようなオフィスがふさわしいと考えた。グループアドレスを採用し、「部門長ファミリー」を中?に「部署ファミリー」を配置して、それらを出会いの場となる「エンガワ」でつなぎ、天井高や気流・音・視環境を変化させて環境に「ムラ」を与えた。さらに「エンガワ」の外周にテラコッタルーバーを纏わせ、天竜美林の木立の中を散策するような心地よい空間を生み出した。ルーバーは浜松城への眺望、日射遮蔽、視線制御を両立させるとともに、適度に風をいなし、やわらかな風を室内に届けることに寄与している。 環境面では、全国有数の日照時間や豊富な井水を活かしたデシカント空調の他、エコランプを用いた自然換気など、役職員が参加することで自然の豊かさを享受できる手法を取り入れた。省エネルギーとウェルネス向上に資する計画が評価され、国土交通省のサステナブル建築物等先導事業に採択された。「ムラ」のある環境を前向きに捉えた、「人」が主役のオフィスを追求した。
(塩田哲也、金子公亮、奥瀬陽子、小野竜也/日建設計)
阪南病院 B棟
建築主 | 医療法人杏和会 阪南病院 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | (建 築)西松建設・北口工務店 共同企業体 (電気設備)九電工・八千代電設工業 共同企業体 (機械設備)九電工 |
所在地 | 大阪府堺市中区八田南之町 |
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敷地面積 | 26,471.63m² |
建築面積 | 2,335.10m² |
延床面積 | 7,921.40m² |
構造規模 | RC造、一部S造、地上3階 地下1階 |
工期 | 2022年2月~2023年10月 |
撮影 | 海老原一己/GlassEye Inc. |
全室個室化を実現した計135床の精神科専用病棟。高いプライバシー性が求められる閉鎖病棟が中心となるため、場所性に応じた特徴の異なる庭園を建物外周に配置し、更に木やレンガ、テラコッタといった自然素材で建物全体を包み込むような外観構成とした。 建物内は「Art with Hospital」をコンセプトに、アートがインテリアと調和しながら建物全体に展開される計画とした。アートは「窓外に見える風景」をテーマに病棟ごとで異なる5名の作家に作画いただき、これをサインや内装仕上にも取り入れた。温かみのある優しい風合いの木目柄と、淡くも個性的でカラフルなアートで彩られたやすらぎの療養環境が、病気と向き合う患者やスタッフの日常に、ささやかな楽しみや安らぎを提供してくれることを願っている。
(益田正博、西野培夫、小田祐司/安井建築設計事務所)
船橋株式会社 中川工場
建築主 | 船橋株式会社 |
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総合監修 | タイプ・エービー |
設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 名工建設 |
所在地 | 愛知県名古屋市中川区江松1丁目101 |
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敷地面積 | 633.26m² |
建築面積 | 453.89m² |
延床面積 | 1,236.78m² |
構造規模 | S造、地上3階 |
工期 | 2022年5月~2023年3月 |
撮影 | (株)エスエス |
船橋株式会社は名古屋を拠点に創業100年以上にわたって合羽やエプロン、医療用ガウンを手掛ける会社である。既設工場の老朽化に伴い建替えを行うこととなった。外観は蓑(みの)をモチーフにした片流れ屋根と、隣接した河川に協調する横基調の連続窓による軽快なデザインとした。1階を入出荷・資材置場とし、2階に生産エリアをまとめ製造工程を1フロアに集約することで生産効率向上を図っている。3階の事務室・食堂及び階段の内装は総合監修タイプ・エービーの提案でイメージの異なる空間を1つの空間に共存させることで多様でユニークな社風を表現した。屋上はデッキと屋上緑化を設け、従業員の休憩スペースとした。また、デッキの一角には水栓を設置し、製品開発試験、来客者の製品体験を行える計画とした。
(高北卓軌、山本帆南/伊藤建築設計事務所))
MARUWA瀬戸工場
メニコン シアターAoiビル
建築主 | 株式会社メニコン |
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PM・基本計画・CM | 凸版・安井共同企業体 |
設計・監理 | 大成建設名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大成建設名古屋支店 |
所在地 | 愛知県名古屋市 |
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敷地面積 | 1,339.86m² |
建築面積 | 908.97m²(隣接する本館部分を含め1,226.78m²) |
延床面積 | 5,706.85m²(隣接する本館部分を含め8,383.63m²) |
構造規模 | S造、一部 CFT造、地上9階 地下1階 |
工期 | 2021年9月~2023年1月 |
撮影 | エスエス名古屋/Blue Hours 沖裕之 |
本計画は株式会社メニコンの新社屋として「五感でヒトを育む新社屋」をテーマとする基本計画からスタートした。 敷地は名古屋のメインストリート広小路通と車道通とが交差し、尾張徳川家の御下屋敷など、江戸時代に名古屋城の城下町として発展したまちである。 外観は、黒色を基調に、暖色を差し色とすることで、城下町にふさわしい重厚感がある色彩計画とし、職人の手仕事による特殊なグラデーション塗装を施すことで、大きな壁面を分節化し、周辺環境との調和を図っている。 上層部のオフィス階には、半透過な外皮「C-Shape Skin」を纏わせた。眺望や通風を確保しつつ日射や熱負荷を低減する環境装置が、広小路通に対して「五感」をくすぐる多彩な表情を奏でる。 内部は、ABWとバイオフィリックデザインを取り入れた、五感を刺激する「オフィス」、オーケストラピットや舞台迫、最新鋭の音響・照明設備が整備された301席の劇場「メニコン シアターAoi」、光の切り絵が上演される「シアターロビー」、食を通じて心豊かな空間を提供する「miru-on cafe(みるオンカフェ)」が、それぞれ性質の異なる劇場空間をつくり、積み重なることで「立体劇場施設」となっている。 「メニコン シアターAoiビル」は、質の高い芸術を鑑賞する場としてだけではなく、舞台の創造・制作にかかわる人材の機会創出や、地域の方々の創造の場として、コミュニティ醸成や地域文化振興を実現している。 五感を通じて、楽しみや喜びを感じて共感しあう、そのような場所である。
(髙橋広直・三橋啓史・脇田勝広・加藤将人・宮坂岳見・
西畑寛子・髙橋洋介・中根健・長﨑仁美/大成建設
篠原佳則・川井茂輝/安井建築設計事務所
宇野繕功/TOPPAN)
『建築と社会』2023年3月号:東海支部会員作品
愛・地球博記念公園・北口案内所/北口売店・北口カフェテリア・北口コンビニエンスストア/公衆便所
建築主 | 愛知県 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 鹿島建設グループ (鹿島建設中部支店・中部土木・岩間造園) |
設計・施工支援 | スタジオジブリ |
所在地 | 愛知県長久手市茨ケ廻間乙1533の1 |
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敷地面積 | 1,942,249.79m² |
建築面積 | [北口案内所]422.73m² [公衆便所]162.86m² [北口売店・北口カフェテリア]831.95m² [北口コンビニエンスストア]260.15m² |
延床面積 | [北口案内所]340.47m² [公衆便所]116.89m² [北口売店・北口カフェテリア]772.02m² [北口コンビニエンスストア]199.94m² |
構造規模 | [北口案内所]S造、地上1階 [公衆便所]S造、地上1階 [北口売店・北口カフェテリア] S造、地上2階 [北口コンビニエンスストア] S造、地上1階 |
工期 | 2021年7月~2022年9月 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
愛・地球博記念公園内でのジブリパーク整備に伴って、公園の玄関口となる北口広場に案内所始め4棟を整備した。
エレベーター塔に繋がる動線沿いに用途ごとに建物を分散配置させることで、期待感をもってアプローチできる施設となっている。屋上緑化、RC外壁、ガラス、天然木ルーバー、天然木羽目板軒天、円形トップライトで構成される円形の施設群は、既存施設と調和した豊かな景観を創出している。ガラスカーテンウォールには自然換気システムを採用し、トップライトとの併用により通風確保と室内環境を向上させている。また、建物高さを抑え、既存施設からの眺望を確保し、開放感のある施設とした。屋上緑化および天然木ルーバーは景観の調和のみならず、内部熱負荷低減の要素としても機能している。自然素材である愛知県産の天然木、漆喰、リノリウムを積極的に取り入れ、環境に配慮し、地域に根差した建物となっている。
(上西真哉、神保朋之/伊藤建築設計事務所)
金沢実践倫理会館
建築主 | 一般社団法人 実践倫理宏正会 |
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設計・監理 | 竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 金沢市玉川町11-5 |
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敷地面積 | 975.99m² |
建築面積 | 670.41m² |
延床面積 | 2,174.16m² |
構造規模 | RC造 一部S造、SRC造 地上4階 |
工期 | 2020年12月~2021年12月 |
撮影 | 藤井浩司/TOREAL |
創立75周年を迎えた実践倫理宏正会による金沢会館建替計画。隣地建物が迫っているため、緑化したテラスが立体的に内部空間に貫入する構成とし、自然を感じられる空間を創出した。建物外周部には、外部からの視線制御のための水平ルーバーと「導光キャストガラス」を用いたスクリーンを設け、光の屈折効果によって刻々と移ろう木漏れ日のような自然光を内部空間へ取り入れた。一日を通して、利用者が目的に応じた居場所を見つけ、自由に過ごせる、公園のような場所を目指した。
(上河内浩、小杉嘉文/竹中工務店)
亀山駅周辺2 ブロック地区 第一種市街地再開発事業
建築主 | 亀山駅周辺2 ブロック地区市街地再開発組合 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 鴻池・堀田特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 三重県亀山市御幸町貝戸部318番1 |
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敷地面積 | 約5,005m² |
建築面積 | 約1,896m² |
延床面積 | 約11,093m² |
構造規模 | RC造 一部S造、地上15階 地下1階 |
工期 | 2020年8月~2022年10月 |
撮影 | (株)日本経済広告社 |
■ツインビル形式による明快な区分
施設棟(公益施設・商業施設)と住宅棟(共同住宅)は、ツインビル形式とすることで複合建築でありながら、明確に分かれており、管理しやすい計画とした。
■賑わいの創出と静かな住環境の形成
公益施設は、亀山駅の玄関口の顔として、駅前広場に面して敷地南側に配置するとともに、共同住宅は、プライバシーを確保するために、敷地北側に公益施設とは十分な離隔を確保して配置した。また、東側道路は、駅から亀山城跡や、亀山宿、市役所に通じており、本事業で道路拡幅する「人・まちづくり軸」と位置付けられた道路である。この道路に面して商業施設を配置し、まちへの賑わいの促進を図った。
駐車場は、地域性や利便性を考慮し、施設用駐車場は、主に地下自走式とし、共同住宅用駐車場は、地上平面自走式として計画した。なお、施設車両用出入口と共同住宅用車両出入口は、それぞれ分離させ、住環境の向上と管理面に配慮した計画とした。
■駅前と街を繋ぐための玄関口から街へと繋がる3つのプラザ
公益施設のエントランスに面して、広場状空地である「おもてなしプラザ」を設け、駅前広場側に対して圧迫感を軽減しつつ、アプローチしやすい計画とした。公益施設と共同住宅、商業施設の結節点となる中央には、地域イベントなどに開放できる設えの「交流プラザ」を設け、住民を初め地域の交流拠点となるようにした。また、住宅のアプローチ空間として「住まいプラザ」を設けた。
(高木耕一、柱健太郎、花村和也/東畑建築事務所)
河合塾学園真貴幼稚園
建築主 | 学校法人河合塾学園 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 小原建設(建築) 泰明電機商会(電気) ダイトー(機械) |
所在地 | 愛知県瀬戸市原山台7-13-1 |
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敷地面積 | 6,806.22m² |
建築面積 | 1,399.74m² |
延床面積 | 2,290.19m² |
構造規模 | S造(一部RC造)、地上2階 |
工期 | 2021年6月~2022年3月 |
撮影 | ToLoLo studio |
ワクワクドキドキをカタチにする1970年の開園からこの地の子どもたちの成長を見守ってきた幼稚園の、近隣別敷地への新築移転計画である。「好奇心旺盛な考える子どもを育てる幼稚園」の実現のため、「ワクワクドキドキをカタチにする」ことを目指した。
不整形で高低差のある敷地の中央部に、南側の丘に向かって3方向から園庭を囲い込む園舎配置とした。西側ファサードは積み木を積み上げたような鮮やかな色彩のボリュームにリズミカルに窓を配置して、軽快で浮遊感のある、子どもの心に残り続ける楽しい風景づくりを意図した。
園舎内は、子ども自ら意欲的に身体を動かしたくなる環境づくりとして、階段の吹抜を利用したネット遊具、円筒階段の壁面を利用したボルダリング、避難器具を日常の遊びに活用したすべり台、雨天時や炎天下での遊び場にもなるピロティ、敷地の高低差を利用したモグラトンネルなど、身体全体や五感を使って園舎内外を立体的に遊び込むことのできる環境を整備した。また、小さな遊び場・デンや明るい色彩や壁面アートサイン、調理室の見える窓、光の演出をした円筒階段など、子どもたちの好奇心を触発する夢のある空間構成を意図した。
共用部はワクワクする非日常の遊び空間としたのに対し、保育室は落ち着いた生活空間として計画した。木目調の内装素材や縁側のようなデッキテラスを採用し、また日射を遮る深い軒や自然通風の確保など、快適性の確保にも配慮した。
(奥村幸生、藤井裕子/安井建築設計事務所)
国際高等学校寮
建築主 | 学校法人栗本学園 |
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設計監修 | 納村信之、田島則行 |
設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 愛知県日進市米野木町三ケ峯4-4 |
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敷地面積 | 614,146.94m² |
建築面積 | 2,937.10m² |
延床面積 | 7,631.99m² |
構造規模 | S造 一部RC造、地上3階 地下1 階 |
工期 | 2020年10月~2022年4月 |
撮影 | (株)エスエス |
名古屋商科大学日進キャンパス内に新設された全寮制の国際高等学校の寮の新築である。
旧光陵女子短期大学の校舎から新設高校校舎への改修に合わせ、寮は校舎と一体感を持たせるために北側に隣接して設けた。緩やかなカーブを描く既存校舎と呼応する、グローバルな輪と未来を感じさせる円環状の形状を採用している。緑豊かなキャンパスの既存の植栽をできるだけ残すよう計画し、周囲の景色を映しこむようにガラスのカーテンウォールの外観とした。1階にはラウンジ、食堂等を配置し、広々とした前庭や中庭と一体となった高い天井と大きな窓を持つ豊かな共用スペースを確保した。2階は男子学生、3階は女子学生の専用階として計画し、262人収容可能な4人定員の広々とした寮室を配置した。さらに、多様な価値観を一緒に生活しながら体感できるように、多様なコミュニケーションを誘発する多目的スペースも確保して、国際基準の寮としてふさわしい計画とした。
(清水満・筧政憲/安井建築設計事務所)
シーキューブ株式会社 松阪ビル
建築主 | シーキューブ株式会社 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | ナカノフドー建設 |
所在地 | 三重県松阪市嬉野一志町 |
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敷地面積 | 13,753.14m² |
建築面積 | 2,678.61m² |
延床面積 | 4,277.35m² |
構造規模 | S造、地上2階 |
工期 | 2021年7月~2022年2月 |
撮影 | リフレクト |
三重県全域に営業エリアを拡大するため、松阪市に新たな拠点の計画を行った。中央の資材置場を囲むように、南側に事務所棟、東西に倉庫棟を計画し、事務所棟から作業の様子を見渡すことができる生産性の高い配置計画とした。
事務所棟は、約750m²のオープンな執務空間とし、将来のレイアウト変更や社員同士のコミュニケーション促進を図る計画とした。また南北面には、チャンバーボックスと日射制御の庇を一体化させたふかし壁を設置し、環境制御の仕組みを外観のアクセントとしている。
(犬飼高嘉、照時和浩/伊藤建築設計事務所)
重心施設 にじいろのいえ
建築主 | 社会福祉法人大同宏緑会 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 大林組 |
所在地 | 愛知県東海市名和町 |
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敷地面積 | 6,830.74m² |
建築面積 | 2,435.32m² |
延床面積 | 4,203.21m² |
構造規模 | RC造、地上2階 |
工期 | 2021年11月~2022年9月 |
撮影 | 山下栄大/(株)アクエリアス |
「にじいろのいえ」は、愛知県より知多半島及び西三河地区の重症心身障害児者施設を整備・運営する事業者として選定・委託された社会医療法人宏潤会による64床の重心施設。宏潤会は社会福祉法人大同宏緑会を新たに設立し、県有地に新設した。
医療的ケアが必要な子どもたちや、重症心身障害をもった子どもたち、さまざまな理由で在宅での療養が必要になった子どもたちが医療を受け、生活する拠点施設である。
将来整備予定の都市公園の一角に立地し、周囲は低層住宅地のため、建物を分節してボリウムを抑えた。
2階入所ゾーンは子供たちが生活する「いえ」として、住宅に近いスケールで分節した「ユニットケア」とし、ユニットそれぞれにリビングルームを設けた。4つのユニットの中央には共通のダイニングルームを設け、食事やイベントを楽しめる空間とした。
1階のエントランスロビー・待合には、利用者と保護者、ケアに関わる地域の事業者、地域住民の方たちの交流の場となるカフェスペースを中庭に隣接して設け、地域に開かれた施設とした。
内外部には「にじいろ」をアクセントカラーとして取り入れ、家庭的で楽しい雰囲気を持たせることによって、子どもたちが子どもらしく日々生活する場を目指している。
(橘髙宗平、中島究、八木涼平/日建設計)
住友電装(株)四日市製作所B棟
建築主 | 住友電装株式会社 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 名古屋オフィス |
施工 | 大宗建設 |
所在地 | 三重県四日市市西末広町1番14号 |
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敷地面積 | 21,779.45m² |
建築面積 | 952.41m² |
延床面積 | 4,999.20m² |
構造規模 | S造、地上6階 |
工期 | 2021年6月~2022年6月 |
撮影 | エスエス名古屋 |
自動車用等のワイヤーハーネスを製造する住友電装株式会社の四日市製作所内に、旧B棟の耐震性不足と製作所内の執務スペース拡張を目的に建替えとして建設されました。建替えと言う限られたスペース内で、良好な環境の執務スペースの確保と製作所内での会議スペースの集約を図った計画となっています。省エネ、事業継続計画、将来への可変対応、WEB会議含む各執務形態への対応も含め整備されています。渡り廊下での既存各棟との連絡機能も継承しています。
外観は、既存各棟と同じ白系色を基調とすると共に、沿道面はグレー系の小庇を設け壁面の圧迫感や単調となる事を避け、周囲に溶け込みながらもわずかながらの特徴づけを計っています。
内観では、1階廻りや3階EVホール廻りなどは、顧客利用もある為、華美にならない範囲で意匠性を高め、主力製品を念頭にした意匠表現や、企業理念の表現を行っています。
(米田聡、林彰吾(元所員)/東畑建築事務所)
高浜町立認定こども園 cocokara
建築主 | 高浜町 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 東洋建設・平田木材店特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 福井県大飯郡高浜町薗部第40号1番地1 |
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敷地面積 | 8,730.00m² |
建築面積 | 2,239.07m² |
延床面積 | 2,311.93m² |
構造規模 | RC造 一部木造、S造、地上2階 |
工期 | 2020年11月~2022年3月 |
撮影 | フジハラ写真館 |
本施設は、老朽化した保育所の移転新築に伴い、保育環境の向上を図るとともに子育て支援の拠点として整備された。
ここから始まるこどもたちの社会生活、ここから巣立った未来が豊かであるように『始まりの場所、すべては「ここから」』という思いで、公募により「cocokara」と名付けられた。
施設の外観は高浜町のシンボルである青葉山(若狭富士)をモチーフにした大屋根、美しい海の波をイメージした小屋根、どこまでも続く砂浜をメージした水平に伸びる軒先など高浜町らしさを取り入れてデザインしている。
計画的には園庭を「そとのひろば」、遊戯室を「うちのひろば」、玄関ポーチを「やねのひろば」と位置づけ、それぞれがつながり回遊性を高めることにより、行止まりのない園舎を目指した。登園・降園はやねのひろばを通り、テラスから保育室に入るテラスイン形式を採用し、保護者や教職員のコミュニケーションや情報交換の場としての機能を担っている。
また、園庭・テラス・保育室・遊戯室は開放的な建具でつなげることにより回遊性を持たせ、空間の一体化を図った。同年齢の保育室間の開口部を大きく取り、フレキシブルに利用できる空間とし、保育室と遊戯室を隣接させることで異年齢交流も容易に行える平面計画としている。
保育室の屋根は木造とし、集成材現しの構造体で木の温もりにあふれる空間とした。さらに遊戯室は木と鉄骨のハイブリッド張弦梁構造とし、軽快でリズミカルな大空間としている。
今後、「cocokara」に込められた思いを実現するように、たくさんの子供たちがここから巣立っていき、地域を育むこども園となることを望む。
(小柳英治、谷口ひとみ/東畑建築事務所)
ニッセー事務所棟
建築主 | 株式会社ニッセー |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 木内建設 |
所在地 | 静岡県焼津市下江留896ー2 |
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敷地面積 | 15,436.65m² |
建築面積 | 1,732.63m² |
延床面積 | 3,464.46m² |
構造規模 | S造、地上3階 |
工期 | 2021年5月~2022年4月 |
撮影 | 彦坂武徳/(株)エスエス名古屋 |
静岡県中央部を流れる大井川水系の豊富な水を利用し、焼津市に本社をおく飲料の開発・製造を行う「ニッセー」の新事務所棟として生産性の向上と社員のつながりを目指し建替を行った。
社員一同でお客様を迎えるニッセーの社風を尊重し、エントランスホールの前面に配された水盤から流れ落ちるここちよい水の音色と、車寄に大きく張り出した大屋根が本社の顔として、訪れる人々を温かく迎える。水盤を介して軒天に映りこんだ光による水面の揺らぎは、季節や時間に応じて刻一刻と表情を変えるエントランスの顔をつくり、自然の移ろいをデザインに取り込んだ。
大屋根下の1階には、主に試作室や分析室等の開発関連諸室、2階には来客・事務室をコンパクトに集約、また建物中央には吹抜空間とオープンな階段によるコミュニケーションエリアを設けた。また、周辺を一望できる3階には、本社で働くスタッフと周辺工場の社員も利用する食堂やテラスを配置し、社員のリフレッシュの場として下階とは異なる環境をつくった。
EVの壁にはリブ状の凹凸ガラスや軒天のスパンドレルは複数種のパターンを並べてグラデーション化する等、「水」の流れを立体的なデザインで表現することを追求した。
(津坂好顕、李斯奇/日建設計)
乳児院・児童養護施設
フジタモール
建築主 | 学校法人 藤田学園 |
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設計・監理 | 大林組 |
施工 | 大林組 名古屋支店 |
所在地 | 愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1番地98 |
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敷地面積 | 225,669.45m²(全体) |
建築面積 | 5,104.48m²(今回計画部) |
延床面積 | 11,190.74m²(今回計画部) |
構造規模 | S造、地上4階 塔屋1階 |
工期 | 2020年12月~2022年3月 |
撮影 | (株)エスエス |
既存の大学病院2棟を解体し、藤田医科大学病院のメインエントランスである外来棟およびロータリーに連続して、デイサージャリーエリア・外来エリア・生活利便施設とその屋上広場を計画した。
スタッフ用のユーテリティーである1階部分の屋上を利用し、患者や学生の憩いの場となる芝生広場として計画。フジタモールは5つの既存棟と接続しつつ広場を包むような配置とすることで、既存病院群を新たに生まれた広場へとグラデーショナルに繋ぎ、藤田学園全体に緑や自然の息吹を浸透させる場所を目指した。
外装は既存建物群のデザインボキャブラリーを継承し、縦連窓によるストライプパターンを構築。これをデザインコードとして壁面緑化や目隠し壁に展開することで全体の調和を図った。内部空間においてもモチーフを踏襲しながら既存建屋と一体感のある連続性を実現した。
屋上広場を望む南面外装は短冊状の白い板が1枚毎に浮きあがるデザインとしつつ、その板をL型に折って開くことで、屋上広場との連続性と、人々の居場所を緩やかに創り出した。
(箕浦浩樹、三田雄貴/大林組)
ミツカングループ(仮称)パイロットプラント
建築主 | 株式会社 中埜酢店 |
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基本設計・実施設計監修・監理監修 | 安井建築設計事務所 |
実施設計・監理 | 清水建設 |
施工 | 清水建設 |
所在地 | 愛知県半田市 |
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敷地面積 | 9,846.32m² |
建築面積 | 5,669.00m² |
延床面積 | 6,245.11m² |
構造規模 | S造 地上2階 |
工期 | 2021年11月~2022年7月 |
撮影 | エスエス名古屋 |
本計画は、新製品の量産化に当たり、試作ラインを組み検証する生産技術の研究施設である。長きにわたって様々なイノベーションを実現する高いフレキシビリティを持ち、新規事業の急成長に対しても機会損失することなく備えるインフラとして、グローバル展開も見据えた研究開発と生産技術を連携し創造性を高められる施設を、ミツカン創業の地・半田で迅速に実現することを求められた。
敷地は半田運河沿いに黒壁の蔵が建ち並ぶ景観形成重点地区にあり、ミツカングループの本社やミツカンミュージアムが近接する場所である。外観はいぶし本瓦による切妻屋根、黒色の外壁塗装色や大和塀を採用することで、周辺既存建物との形態と色彩の調和を図った。また運河側への圧迫感低減のため、屋根の分節化によって周辺既存建物とスケール感を合わせ、景観に配慮したデザインとした。
内部計画は、建物用途が生産技術の研究施設であるため、将来の天井高変更にも対応できるゆとりのある階高設定や、将来の試作ライン変更を想定した床材選定や床荷重設定とするなど、フレキシビリティを高めた計画とした。また、ユーティリティー設備幹線ルートを集約し、メンテナンスや更新もしやすい歩廊を併設した「メカニカルコリドー」も設けた。
サスティナビリティへの取り組みとして、クールピット・ナイトパージの採用や、大気環境木の植樹、雨水流出やヒートアイランドの抑制に寄与する雨水浸透緑地帯「レインガーデン」の整備、太陽光発電パネルの設置を行い、環境負荷低減に配慮した。
(本梅誠、奥村幸生、藤村篤/安井建築設計事務所、渡口純一、磯和孝史、松田将太/清水建設)
『建築と社会』2022年3月号:東海支部会員作品
アドマックス土岐事業所分析センター
建築主 | 株式会社アドマテックス |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | トヨタT & S 建設 |
所在地 | 土岐市泉町久尻字北山1431-22 |
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敷地面積 | 40,347.23m² |
建築面積 | 841.14m² |
延床面積 | 3,152.92m² |
構造規模 | S造、地上4 階 |
工期 | 2021年4 月 ~2021年12 月 |
最寄駅 | JR中央本線 土岐市駅 |
撮影 | エスエス |
アドマテックスは真球状微細粒子シリカ製品等を開発、製造、販売する会社である。 本建物は製造された製品の品質を分析する施設である。来客者を迎えるエント ランス機能、分析室を1 、2 階に配置し、3 、4 階は従業員エリアとしている。
分析室は専用の出入口、専用の階段を設け他のエリアと区画し、入場者を制限しセキュリティを高めている。
建物の高断熱、高気密化に加え、屋根面にアドグリーンコート(高反射塗料)を塗布、窓面にはエアフロ―ファンを採用、在室感知センサーを用いた照明制御、 高顕熱ビル用マルチエアコン、室内CO2濃度により外気風量を調整する外調機の設置等の省エネ手法によりエネルギー消費量を基準値に対し50%削減しZEBReadyを達成している。
外観は北面の安定した採光を取り入れるガラスと、メンテナンス性を考慮したバルコニーを積層させ機能的でシンプルなデザインとした。内装材に木材を多く使用し、要所に岐阜県産材の木を採用することで地域との調和と空間にあたたかみ を与えている。
(上西真哉、高北卓軌/伊藤建築設計事務所)
犬山市立楽田小学校
建築主 | 犬山市 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | ナカノフドー・名稲J V(南館・体育館新築)、宇佐美組( 本館改修) |
所在地 | 愛知県犬山市字城山97番地 |
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敷地面積 | 23,362.89m² |
建築面積 | 2,368.29m²(新築) 1,487.69m²(改修) |
延床面積 | 4,065.97m²(新築) 4,640.52m²(改修) |
構造規模 | RC造、一部S造、地上4 階 |
工期 | 2018年6 月~2021年3 月 |
最寄駅 | 名鉄小牧線 楽田駅 |
撮影 | エスエス名古屋 |
せんだんの木に見守られ、楽しい学びと交流を生む学校づくり 低学年用校舎である南館と体育館の新築、本館の長寿命化改修にあたり、 学校の歴史を見守ってきたシンボルツリー「せんだんの木」をデザイン の重要な要素と位置付けた。校内の至るところからせんだんの木が眺 められるよう配慮し、サインやインテリアもせんだんをテーマとして デザインした。
もうひとつのテーマは限られた空間を有効に活用する「共用」である。 南館では、せんだんの木に臨む「城山っ子ルーム」や「えほんむら」を、 放課後児童クラブ室と共用できるよう計画した。また体育館2 階には高 学年図書室と市立図書館分館を共用した「メディアセンター」を設け、 学校と地域がつながる場として整備した。
また基本設計から施工まで、教職員・児童・地域住民とのワーク ショップを積み重ね、トイレのタイル壁画を児童といっしょに製作す るなどのプロセスを経て、みんなで一緒につくり上げることができた。
(奥村幸生、藤井裕子/安井建築設計事務所)
医療法人和光会 川島病院
建築主 | 医療法人 和光会 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 松村組 |
所在地 | 愛知県名古屋市守山区 |
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敷地面積 | 1,633.27m² |
建築面積 | 1,162.20m² |
延床面積 | 3,617.31m² |
構造規模 | S造、地上4 階 |
工期 | 2019年11月~2020年11月 |
最寄駅 | 地下鉄東山線 藤が丘駅 |
撮影 | 伊藤 彰/アイフォト |
■設計趣旨 ~人、自然、社会と繋がるリハビリ病院~
敷地は名古屋市内の幹線道路沿いに位置する。既存病院の道路 を挟んだ隣接地に新病院を建設し、既存病院は老人ホームに リノベーションした。2 棟は道路上空通路で連絡している。
リハビリを主体とする病院として、「地域医療を支えるアーバ ンフォレストホスピタル」をコンセプトに、患者さん、見舞 客やスタッフが光や風、緑を感じられる病院を目指した。リ ハビリ部門を最上階に配置し、緑豊かな屋上庭園を設けた。
やや狭隘な敷地ながら、自然の中でのリハビリができる環境 を創出した。
外来は1 階にロの字型のわかりやすい構成で集約し、緑を望 む待合を設けた。
■患者、家族、スタッフが快適に過ごせる病棟
光庭を設けた回遊動線を巡らすことで、開放的で時間の移ろ いを感じながらリハビリができる空間性を求めた。
スタッフステーションは病棟中央に配置し、スタッフ動線が 短く、全病室の患者さんを近くで看護できる構成とした。EV ホールはスタッフステーションに面しており、入院患者の離 院チェックや見舞客受付にも配慮している。
■屋上庭園
屋上庭園はリハビリ部門だけでなく、入院患者や見舞客も利 用できる計画とした。
庭園散策路は路面の違いによる訓練も可能なよう、歩道・砂 利道・スロープ・階段を設けた。
都市の中のオアシスとして患者さんの自己治癒力を高め、見 舞客、スタッフ、皆の心が癒されることを願っている。
(犬飼直樹、松下拓真/東畑建築事務所)
N-FOREST 日本特殊陶業小牧工場新事務棟
建築主 | 日本特殊陶業株式会社 |
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設計・監理 | 株式会社大林組 |
施工 | 株式会社大林組 名古屋支店 |
所在地 | 愛知県小牧市大字岩崎2808 |
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敷地面積 | 93,899.06m² |
建築面積 | 3,071.41㎡m² |
延床面積 | 12,185.41m² |
構造規模 | S造 地上5 階 |
工期 | 2020年6 月~ 2021年7 月 |
最寄駅 | 名古屋鉄道小牧線 味岡駅 |
撮影 | 車田写真事務所 |
本建物は、自動車部品などを製造する日本特殊陶業株式会社の小牧工場敷地 内にある新オフィス棟である。「各工場に分散配置した人や技術を集め、互 いが刺激し合うことで新たな価値を創造したい」という事業主からの要望を 受け、設計に当たり、企業を代表する製品に用いられる「セラミック材」を 建物デザインに取り入れ、企業イメージの発信とともに、近隣環境や働く環 境に配慮した「働き集う新しい森」をコンセプトとした。
外装材の縦ルーバーは、セラミックブロックを透かし積みとし、直射日光を 遮るとともに、外観や内部にも豊かな表情を創り出している。特に北側はオ フィスの開放感を確保しながら、近隣への視線制御に配慮したルーバー配置と することで、地域環境と調和した特徴的な景観を実現した。
1階に設けたエントランスの天井はランダム構成とし、異なる部署が集うこ とで、様々な交流が促進されることを象徴するデザインとしている。正面の 曲面壁に縦貼りした磁器質タイルを間接照明によって浮かび上がらせ、セラ ミックの素材感を空間全体に取り入れている。歩道に面し、地域に開放され たカフェは、建物に貫入する形態とし、企業と地域をつなぐ新しい居場所と しての機能を体現している。
基準階のオフィスエリアは、18mのロングスパンを採用し、事務所としての フレキシビリティを高めた無柱空間を実現した。一方向に統一した梁側面に 照明を反射させることでオフィス全体の明るさ感を高め、開放的な執務空間 を創出した。直天の梁間にまとめた空調機と配管類は側面からの容易な点検 を可能としている。執務エリア中央部に設けた吹抜階段は、異なる部門間の 交流を促進させ、シースルーエレベーターを通して各階に安定した自然採光 を取り入れている。吹抜上部のトップライトから自然換気を可能とし、 チムニー効果を高めるため、壁面上部を窄めたデザインとした。豊かな緑 に囲われたランドスケープ、坪庭の設置による潤いのある執務空間、合理的な 建築・構造計画に加え、効果的な設備計画により、CASBEEはSランクを 達成した。
「N-FOREST」は働く従業員、来客に加え、地域住民との交流の場となり、 企業を象徴する新しい拠点として、かつサスティナブルな社会の実現にも寄 与する建築として活用される。
(陳 遜/大林組)
岐阜県美術館 本館改修
建築主 | 岐阜県、岐阜県美術館 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 大日本土木・T S U C H I Y A ・大東・ダイワテクノ・安田電機暖房・高橋電気工業・三愛 |
所在地 | 岐阜県岐阜市宇佐 |
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敷地面積 | 27,434.46m² |
建築面積 | 7,813.29m² |
延床面積 | 8,785.86m² |
構造規模 | RC造、一部SRC造、S造、地上2 階、地下1 階 |
工期 | 2018年10月~2019年10月 |
最寄駅 | JJR東海道本線 西岐阜駅 |
撮影 | 株式会社エスエス、滝田フォトアトリエ |
1982年に竣工した美術館の全面的な機能改修。 敷地北側 にあった正門を南の図書館側に変更し、外構の来客動線 を開放的で明るいアプローチに作り替えた。全ての展示 室が面し動線の骨格となる美術館ホールは、既存の特注 壁タイルを生かしたデザインを踏襲しつつ、自然光と可 変する照明、展覧会ごとにグラフィックを更新できる サインを兼ねたガラス扉などにより、機能強化を図っ た。 ホールと展示室とをつなぐ通路を増築することで、 展示室への出入口設定を柔軟にし、複数の企画展示を 同時開催しやすくした。
(橘高宗平、河辺伸浩、墨英子/日建設計)
岐阜関ヶ原古戦場記念館
建築主 | 岐阜県 |
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設計・監理 | 東畑・デザインボックスJ V |
施工 | 展示棟(建築)T S U C H I Y A ・大橋・藤塚J V(電気設備)ホクエー・ハシモトJ V(機械設備)ユニオン・松井JV 商業棟(建築)岐建・室J V(電気設備)ホクエー電工(機械設備)ユニオンテック |
所在地 | 岐阜県不破郡関ケ原町 |
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敷地面積 | 12,234.1m² |
建築面積 | 3,450.0m² |
延床面積 | 5,114.4m² |
構造規模 | RC造、一部SRC造、S造、地上5 階 |
工期 | 2018年10月~2020年8 月 |
最寄駅 | JR東海道線 関ケ原駅 |
撮影 | ToLoLostudio |
岐阜関ケ原古戦場記念館は、岐阜県の施設として「関ケ原の戦い」 の歴史を紹介するとともに、関ケ原古戦場を核とした広域観光の拠 点となる施設として整備された。
施設は誰もが楽しみながら関ケ原の戦いを学べるシアターと、国宝 や重要文化財等の歴史的な資料を展示しながら、関ケ原の戦いの史 実を伝える展示室、および収蔵資料を良好な温湿度環境で保存でき る収蔵庫を備えている。また、最上階には古戦場全体を俯瞰できる 展望室を設け、過去から現代へのタイムトリップを演出して、古戦 場を感じることで、史跡巡りへと誘う計画としている。
有料の展示ゾーンの周りにはガラスファサードを採用した休憩ス ペースや観光情報コーナーのある「回廊ゾーン」を設けた。
古戦場のどこからでも見ることができる展望塔は、櫓を現代風にア レンジしたデザインとし、新たな関ケ原の観光シンボルを創出して いる。外周部は勾配屋根を設けず、滞雪型のフラットルーフとする ことで、落雪による歩行者の安全にも配慮した。外壁は甲冑の札 (さね)を革または糸でつづりあわせた「縅(おどし)」をモチーフ とした石張とした。さらに屋上部には馬防柵をイメージする竪ルー バーを設け、低層部には日本刀をイメージしたシャープな軒先や木 製ルーバーにより、関ケ原らしさを表現している。
また、地元要望により既存樹を保存し、シークエンスによって木々 の間から施設が見えるなど、視覚的なアプローチゲートとして活用 した。今後、子どもからお年寄りまで多くの人が訪れることで、地 区の活性化につながることを願う。
(小柳英治、前田千晶/東畑建築事務所)
大同大学X(クロス)棟
建築主 | 学校法人大同学園 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 大林組 |
所在地 | 愛知県名古屋市南区滝春町 |
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敷地面積 | 13,767.96m² |
建築面積 | 5,198.51m² |
延床面積 | 15,391.69m² |
構造規模 | S造、地上4 階 |
工期 | 2019年4 月~2020年10月 |
最寄駅 | 名鉄常滑線 大同町駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
学生たちが交流 -X (クロス)- するキャンパス
既存キャンパスと道路を隔てた東敷地に移転・新築した建築学科の 校舎。既存キャンパスと上空通路で結ぶ、東西66m、4 層吹抜の筒状 空間「Dクロスモール」が校舎の要であり、その大きな窓がキャンパス のシンボルとなる。Dクロスモールと中庭を中心として随所にラウンジ やラーニングコモンズを配置し、また講義室や研究室、実験室はガラス 張りとした。その学生が集い、互いに見合う空間には、ともに学び、 切磋琢磨する「学びの場」が生まれた。
(若林 亮、塩田哲也、片桐雄歩/日建設計)
知多信用金庫 知多支店・清水が丘支店
建築主 | 知多信用金庫 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 七番組 |
所在地 | 愛知県知多市新知台二丁目10番地の1 |
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敷地面積 | 1,233.67m² |
建築面積 | 568.39m² |
延床面積 | 622.57m² |
構造規模 | S造 一部RC造、地上1 階 地下1 階 |
工期 | 2020年6 月~2021年3 月 |
最寄駅 | 名鉄常滑線 朝倉駅 |
撮影 | リフレクト |
旧知多支店が建っていた敷地内に、近隣の清水が丘支店との合併店舗 として新店舗を建設したプロジェクトである。
営業室内のレイアウトの見直し・会議室の取り止めなど職員エリアを 圧縮することで、コンパクトな平屋建の店舗を実現した。一方で来客 エリアのロビーは天井を高くとり、駐車場に面して大庇をかけた一面 をガラス張りとして、広々とした明るい印象の店舗としている。
外観においては、軒先から雨水が外側に流れないよう樋を回しつつ、 なるべく先端の見付を薄くして軒天をアルミ切板の透かし張りとする ことでシャープな印象の屋根とし、温かみのある土色のタイルをアク セントとしたシンプルなデザインとした。
周辺に高低差のある土地のためエントランス周りには階段が必要にな るが、すっきりとしたアプローチの印象を邪魔しないよう、入口正面 からは外した配置としている。
(冨田昌志、犬飼高嘉、松本拓也/伊藤建築設計事務所)
常滑市役所 新庁舎
建築主 | 常滑市 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 鹿島・東海エコン・マルタケ特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 愛知県常滑市飛香台 |
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敷地面積 | 43,941.00m² |
建築面積 | (市庁舎他)4,168.90m² |
延床面積 | (市庁舎他)9,792.46m² |
構造規模 | S造、基礎免震構造、地上3 階 |
工期 | 2020年1 月~2021年3 月 |
最寄駅 | 名古屋鉄道 常滑駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
海辺に立地していた旧市庁舎の老朽化とBCPのために、市民 病院と隣接する高台に移転新築された。周辺住宅と病院の療養 環境を守るため、庁舎は低層の3 階建てとし、敷地の高低差を 利用して、市民病院1 階の車寄せ、立体駐車場の2 階をフラッ トに往来できる庁舎2 階に主玄関と全ての市民窓口を設けた。
窓口カウンターは見通しと案内性を良くするよう、執務スペー スをロの字に囲むように設け、執務スペースは中央に集約し て、市民サービス向上のための部署間の連携が図りやすい平面 計画とした。また、3 階議場は、皆が車座になって市の未来を 議論する「円形議場」とし、その形を外観に表すことで新庁舎 のシンボルとした。
(橘高宗平、荒川康弘/日建設計)
名古屋三井ビルディング北館
建築主 | 三井不動産株式会社 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 愛知県名古屋市中村区名駅 |
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敷地面積 | 2,248.53m² |
建築面積 | 1,543.68m² |
延床面積 | 29,450.98m² |
構造規模 | S造、SRC造、地上20階、地下2 階 |
工期 | 2018年6 月~2021年1 月 |
最寄駅 | JR名古屋駅、名鉄名古屋駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
名古屋駅前に建つ同社のフラグシップオフィスビルです。 建物コーナー部の石柱を頂部まで通して際立たせ、外装ガラスは 縦長の短冊状に分割することでプロポーションを整え、伸びやかで 高級感のある外観デザインとしています。
高さ100mのビルでありながら、周囲の超高層ビル群の中でも存在感を示し、ラグジュアリーブランドが軒を連ねる名駅通りの賑わい創出に寄与すると共に、名古屋駅から地下道で直結するなど公共の利便性向上にも貢献します。
(塩田哲也、奥宮由美、小野竜也/日建設計)
ネッツトヨタ東海 西尾店
建築主 | ネッツトヨタ東海 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 山旺建設 |
所在地 | 愛知県西尾市永吉町704-1ほか7 筆 |
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敷地面積 | 3,338.01m² |
建築面積 | 2,246.37m² |
延床面積 | 2,333.55m² |
構造規模 | S造、地上2 階 |
工期 | 2020年11月~2021年9 月 |
最寄駅 | 名鉄西尾線 西尾駅 |
撮影 | 株式会社グラスアイ |
カーディーラー店舗の建替計画である。交通量の多い前面道路沿い には複数の競合店舗が居並び、これらとの差別化を図るブランド訴 求力が求められた。そこで帯状・ボックス状の2 種類のメーカーサ インに合わせて建物を水平ボリューム・垂直ボリュームの組合せか ら構成し、サインと建物形態が一体化したデザインによってブラン ド訴求力を高める計画とした。また、メーカー初の試みとなるレン タカー店舗のショップインショップに対応するため、ショウルーム をピロティ駐車場に対しても間口を確保したL型形状とし、これに 合わせて各受付エリアをL型に配置することで営業形態・営業時間 の異なる2 つの店舗が個別にも運用できる計画とした。ショウルー ムはエントランスから奥に向かって間口を絞った見通しの良い平面 構成とし、各コーナーを壁や家具で柔らかく仕切った居心地の良い 環境としている。また、サービス工場は屋内化することで整備環境 の向上や熱負荷の低減を図ると共に、モノトーン色とブランドカ ラーを組み合わせたインテリアにより清潔で快適な空間とした。
(清水満、小田祐司/安井建築設計事務所)
浜松いわた信用金庫 蜆塚支店
建築主 | 浜松磐田信用金庫 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | アサヒハウス工業 |
所在地 | 静岡県浜松市中区鴨江 |
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敷地面積 | 1,834.48m² |
建築面積 | 870.18m² |
延床面積 | 998.95m² |
構造規模 | S造、地上2 階 |
工期 | 2020年9 月~2021年4 月 |
最寄駅 | 東海道新幹線、東海道本線 浜松駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
住宅エリアに立地する、金融機関の支店の計画である。 同クライアント・同設計者により、過去の支店で継続してデザインの モチーフとしている遠州灘の波や風をイメージし、浮き上がるように 湾曲した大屋根を建物全体にかけた印象的な姿とした。行燈のような 優しい光に照らされた軒天井は、季節に応じ色温度を変化させ視覚的 な温感・涼感を演出している。
前面道路の歩行動線から連続するようにアプローチを設け、エントラ ンスと兼用した地域住民のための開放スペースを計画した。地域貢献 や地元を再発見できる情報の集まる場所として立ち寄りやすい雰囲気 や環境を提供しており、地域に根差した金融機関としての姿勢を表し ている。
(塩田哲也、山口智三、矢吹和也/日建設計)
浜松いわた信用金庫 原島支店・天王支店
建築主 | 浜松磐田信用金庫 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 須山・釜慶特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 静岡県浜松市東区原島町 |
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敷地面積 | 1,285.32m² |
建築面積 | 550.40m² |
延床面積 | 734.65m² |
構造規模 | RC造、S造、地上2 階 |
工期 | 2020年3 月~2020年10月 |
最寄駅 | R浜松駅~遠州鉄道・原島(バス) |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
浜松市内、住宅が多く建ち並ぶエリアの支店。
外観は遠州地域の波や風の周期性をパターン変換した列柱空間を計画した。
端正で彫りの深い造形で作られた空間はお客様を駐車場から安全に店内へ 迎える歩車分離機能も備えている。また、列柱のコンクリート表面は“ビ シャンノロ掛け”(加工の一種)とし柔らかさを感じられる表情とした。
ロビーは列柱の配列に合わせ、天竜杉の仕上げを施したインテリアとし、温かみと内外の一体感を感じられる空間を追求した。
風格と、親しみやすさが両立する店舗となった。
(塩田哲也、神山義浩、Lauren.L /日建設計)
ヨナハ丘の上病院
建築主 | 医療法人尚徳会、 医療法人尚徳会ヨナハ総合病院 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 清水・徳倉・矢作 共同企業体 |
所在地 | 三重県桑名市さくらの丘 |
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敷地面積 | 31,041.19m² |
建築面積 | 7,584.64m² |
延床面積 | 16,975.21m² |
構造規模 | RC造、地上5 階 |
工期 | 2019年11月~2021年5 月 |
最寄駅 | JR東海、養老鉄道、桑名駅 |
撮影 | 株式会社エスエス |
病院コンセプトである「かかわりあうすべての人々の『安 心』と『満足』を『創造』することがわたしたちの『使命』 です」を元に『ゆりかごからお星さま』まで周産期を含めた 高度医療から健診、老人保健施設まで『地域密着のトータル ケアホスピタル』として、丘の上に移転新築した。新旧住宅 街に隣接した医療圏の中心に位置し、災害に強い高台の敷地 は、伊勢湾を見下ろせる療養環境の良く利便性の良い病院と した。メインアプローチとなる国道沿いに長さ300mの土木擁 壁と建物長さ130mのバルコニーを伸ばすことで、地域のラ ンドマークとして土木と建築の一体的な外観デザインとした。
(橘高宗平、荒川康弘/日建設計)
RESIDENCE FUJIMI
建築主 | 日本医療リース株式会社 |
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設計・監理 | 竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 愛知県名古屋市 |
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敷地面積 | 653.30m² |
建築面積 | 292.25m² |
延床面積 | 1,600.30m² |
構造規模 | RC造、地上9 階 |
工期 | 2019年10月~2021年2 月 |
撮影 | ナカサアンドパートナーズ |
集合住宅が密集するエリアにある医療スタッフのための単身寮である。
医療スタッフは日常的にコミュニケーション頻度が高い職場にいるので、個々の生活で「人との距離」を選択できる場所づくりと、都市部での「自然と の関わり」を求めて立体的なテラス空間を組み込んだ寮を実現した。
まず敷地の南北に空地を設けた9 層の塔状のモデルに、テラスを連続させて寮室内外をつなぐ構成とした。テラスの配置はアルゴリズムによって自動生 成し、光と風のシミュレーションを同時に行い、採光と換気に最適化したパターンを採用した。建物全体にポーラスに配置された開放的なテラスと外部廊下は、立体的に連続する経路空間を形成し、コロナ禍・アフターコロナにおいても人との距離感を選択できる場所として機能している。すべての寮室 には2 面以上の開口部を設け、自然換気を促した開放的で明るい住環境を提供している。
白くスレンダーなフレームは、高強度コンクリートを用いて柱と梁とも見付け寸法490mmのスレンダーな架構を実現している。
(吉岡英一、中屋隆史、大村拓也/竹中工務店)
『建築と社会』2021年3月号:東海支部会員作品
愛知銀行浄心支店
建築主 | 愛知銀行 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 大井建設 |
所在地 | 愛知県名古屋市西区秩父通2 丁目84番地 |
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敷地面積 | 427.99m² |
建築面積 | 321.09m² |
延床面積 | 480.82m² |
構造規模 | S造、地上2 階 |
工期 | 2020年3 月 ~2021年1 月 |
最寄駅 | 名古屋市営地下鉄鶴舞線 浄心駅 |
撮影 | CENTER PHOTO JAPAN |
長年地域から親しまれてきた支店の老朽化に伴う建替えである。敷地の南に面した環状線(秩父通)の東西の流れと、交通量の多い敷地西側市道の南北の流れに対して、袖壁と一体的につながる庇のフレームを回し、庇とガラス面の配置によって周辺道路の動きに沿ったデザインとした。
1 階は来客者の安全に配慮し、交通量の多い西側市道は壁面とし、南側道路の歩道からのアプローチとした。また南側道路に対してはガラス面と庇のフレームで店舗の正面性を強調した。2 階部分は近隣環境に配慮し、西側道路からセットバックした形状とした。西面から南面にかけて連続するガラス面を設け、透明感のある明るい建物とした。
アプローチとなるスロープの壁面は愛知銀行のコーポレートカラーとなるタイルを配置し、従来の支店のデザインもアクセントとして採用した。
(冨田昌志、大河内直哉、柴田沙希/伊藤建築設計事務所)
愛和館 -多目的施設-
設計・監理 | 大林組一級建築士事務所 |
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施工 | 大林組 |
所在地 | 岐阜県高山市山田町 |
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敷地面積 | 55,927.62m² |
建築面積 | 18,143.22m² |
延床面積 | 23,807.90m² |
構造規模 | S造 一部SRC造、RC造、地上2 階 |
工期 | 2016年10月~2020年9 月 |
最寄駅 | JR高山本線 高山駅 |
撮影 | センターフォト |
飛騨高山に舞い降りた丹頂鶴
祭事や文化行事等を行うことができる多目的施設を中心として、バスターミナル機能を持つ待機所、エネルギーセンター、バイオマス発電と水素製造等を行うクリーンエネルギー棟で構成された全体整備計画である。
外観は「丹頂鶴が羽を広げて飛翔する姿」をイメージした緩やかな曲面のステンレス鋼鈑による大屋根と、楕円形状の外壁、列柱によるピロティ形式の基壇部というシンプルな構成とし、大階段・大庇・ガラスとパネルを交互に配したカーテンウォールにより建物の正面性を強調したデザインとした。
約8000人収容のホールの大空間(幅63m×奥行80m、天井高13.5m~17m)を実現する為にハイブリッドトラス構造による大スパン架構とした。ホール部分は天井形状に合わせることで仕上材を鉄骨に直貼りできる平行弦トラス、端部は舞台機構等天井裏の設備を収納しやすい立体トラスとすることで内部形態に応じた構造とした。
内装は木仕上げを積極的に用いた柔らかなデザインとした。床はナラのフローリング仕上げ、壁は音響に配慮し吸音材を仕込んだ杉の不燃木によるルーバーや凹凸リブパネルによるデザインとした。ベンチは飛騨の匠の技を生かしたオリジナルで折畳み式とし移動・収納を可能にした。天井は大屋根に呼応した長手方向に緩やかな曲面天井とし、幅10m×長さ45mのカラーLED照明を仕込んだ巨大な楕円形の光膜天井を中央に設置した。行事に応じて光と映像の演出が可能な仕掛けとした。
敷地内は遊歩道や憩いの広場を整備して積極的に地域に開放、四季折々に楽しめる彩のある植栽計画とした。本施設は高山市との災害応援協定により災害時の避難所として利用できるようにしている。
(石榑 宣之、松本 憲、篠本 快/大林組)
AUTO TOWN LAB
建築主 | 愛知トヨタ自動車株式会社 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 愛知県名古屋市昭和区福江三丁目7-48 |
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敷地面積 | 2,527.67m² |
建築面積 | 1,760.53m² |
延床面積 | 5,005.33m² |
構造規模 | S造一部SRC造、地上4 階、塔屋1 階 |
工期 | 2018年12月~2020年4 月 |
最寄駅 | JR東海道本線 金山駅 |
撮影 | 株式会社グラスアイ |
車の購入プロセスや利用形態は情報化社会の発展と共に大きく変化し、多様化が加速している。本施設は、それら時代の変化に応対するチャレンジの場として、愛知トヨタを中核とするATグループ本社エリア「オートタウン高辻」の一角に計画された。
建物は店舗棟と駐車場棟で構成され、主機能を担う店舗棟は1F「カフェ併設型キッズパーク」、2F「予約制中古車店舗」という、顧客満足度向上に特化した新スタイル店舗となっている。前面道路に面する吹抜空間はフレームレスな大開口ガラススクリーンとし、その支持金物を構造柱と一体化させたビルドボックスによって透明感を高め、積層する特徴的な空間性をファサードへと投影させた。また、高層の駐車場棟はモノトーン色をランダムに織り交ぜた大型アルミルーバーで覆い、水面の揺らぎのように見る角度や時間帯によって移ろう表情を新堀川の水辺景観と調和するアイキャッチとした。
内部空間は柱・壁・開口部などの固定的な建築要素を最小限に留め、今後この場で行われる様々な取り組みに柔軟に対応できる大らかさを備えた。情報化社会の発展に伴い、人と人・人と物が直接つながるリアル店舗の有り様が問われ、その重要性は今後一層増していくことが予想される。この建物の存在が、企業と顧客の末永い関係の構築、そして未来の顧客創出に貢献することを願う。
(清水 満、小田祐司/安井建築設計事務所)
株式会社デンソー新厚生センター「ミライマ・テラス」
建築主 | 株式会社デンソー |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 奥村組、関電工、ダイダン |
所在地 | 愛知県刈谷市昭和町 |
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敷地面積 | 236,859.48m² |
建築面積 | 2,455.17m² |
延床面積 | 9,898.88m² |
構造規模 | S造、地上6 階 |
工期 | 2019年4 月~2020年8 月 |
最寄駅 | JR東海道本線 刈谷駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
デンソー本社内厚生棟の建替え計画です。プロジェクトコンセプトと施設名は「ミライマ・テラス」デンソーの未来と今を照らす場所を目指して計画しました。
分散していた5 つの用途を集約一体化させるため、アクティビティに相応しい階に積層しました。そして、動線の結節点となる南東角に設けた居間のような居心地の良い木空間は、吹抜けと階段で立体的につなぐことで、アクティビティ毎に異なるユーザーの偶発的な出会いと交流を促します。建築計画の特徴としては、柱スパン7.2mグリッドを基本モジュールとして、内部は木空間と対照的なフレキシビリティの高い天井表し空間としました。
また、大スパンであるアリーナ・フィットネスルーム・トレーニングジムを配置する上階は、振動と音を考慮しています。
外観デザインの特徴であるPC版のテラスは、本社全体の建物と調和させつつ、内部の活動を外に引き出す役割があります。建物のピロティ下には毎日5,000人が出入りするセキュリティゲートがあり、ふらっと入りやすい透明感のあるガラスファサードは、仕事帰りには内部の活き活きとした雰囲気が光と共に外に溢れ、人々を誘引します。
「ミライマ・テラス」が、社内のサードプレイスとしての日常的な業務、心と身体の健康促進、社内外イベント等の企画運営によりデンソー社員の今を充実させ、さらに仲間との交流により、新しいことにチャレンジすることで未来を切り開くきっかけになることを願っています。
(村井達也、鈴木豊一郎、樅山由佳、山口薫平/日建設計)
蒲郡信用金庫岡崎北支店
建築主 | 蒲郡信用金庫 |
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設計・監理 | 大林組名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大林組名古屋支店 |
所在地 | 愛知県岡崎市百々町四ツ谷33番1 |
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敷地面積 | 1,172m² |
建築面積 | 334m² |
延床面積 | 627m² |
構造規模 | S造、地上2 階 |
工期 | 2020年5 月~2020年11月 |
最寄駅 | 愛知環状鉄道線 大門駅 |
撮影 | 株式会社リフレクト |
交通量の多い交差点の角地という好立地を活かし、地域に親しまれる店舗にしたいという施主の想いから、地域に溶け込むような建物の姿を目指した。
ファサードは彫を浅くフラットにすることで、まちと信用金庫とのバッファーを最小化することを意図した。ATMコーナーやロビーだけでなく、普段来客者が利用することのない会議室や食堂についても均質なガラス面上に配置することで、内部の活動が外部に滲み出し、まちに開かれた親しみやすいファサードとなっている。
押縁を最小限としたフラットな印象のガラスカーテンウォールは、季節や時間の移ろいにより表情を変えるまちなみを映し出し、地域特産の三州瓦をモチーフとした特殊塗装の外壁は、光のあたり方により刻一刻と表情を変える。各所のディテールをミニマルに収めてシンプルなヴォリュームを強調し、それぞれのマテリアルを同じモデュール上に配置して等価に扱うことで、マテリアルの表情がより強く意識されるよう意図した。
ランニングコストの低減にも配慮した。幅900mmのECPや押縁を最小限としたガラスカーテンウォールの使用によりシール数を削減し、漏水リスクの少ない折板屋根や補修が容易な高耐久ウレタン防水を使用した。凹凸が少ないヴォリュームとし、清掃性の良いガラスカーテンウォールや汚れの目立ちにくい自然な風合いのある外壁塗装材を使用することで、日々のメンテナンスも容易となっている。
シンプルなヴォリュームの中に豊かな表情を湛え、長く地域に愛される建築となることを願っている。
(佐畑勇樹/大林組)
市立伊勢総合病院
建築主 | 伊勢市 |
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設計 | 安井建築設計事務所 |
監理 | 安井・南勢特定建設工事監理業務共同企業体 |
施工 | 清水建設・吉川建設・伊藤工務店・山信工業・シンフォニアエンジニアリング特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 三重県伊勢市楠部町3038 |
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敷地面積 | 32,362.65m² |
建築面積 | 8,156.48m² |
延床面積 | 26,108.22m² |
構造規模 | RC造一部S造(免震構造)、地上7 階 |
工期 | 2017年1 月~ 2018年9 月(解体・外構を含むグランドオープン:2020年3 月) |
最寄駅 | 近鉄鳥羽線 五十鈴川駅 |
撮影 | 米田正彦/米田正彦写真事務所 |
本計画は市立伊勢総合病院の現地建替計画である。伊勢市固有の豊かな自然風土や歴史文化に育まれた景観にふさわしいデザインが求められた。
外構は周囲の山並みや田園風景と調和する計画とし、アプローチ部には雨水貯留槽上部を活用したホスピタルガーデンを設置した。1 周80mの散策路と芝生広場にはADL遊具やパーゴラを配置し、患者だけでなく市民の健康増進スペースとして開放している。また、東西の敷地のレベル差を利用し、1 , 2 階に車両アプローチを設置している。当敷地は津波や洪水時の影響は受けないが、東側国道は洪水時には冠水の可能性がある。その際も西側道路から2 階へ車両でのアプローチが可能な災害に強い計画としている。
外装においては「生成りの文化のまち伊勢」の市立病院として、素材の風合いを活かした計画とし、地元産杉材や伊勢瓦を採用している。また、町並みのスケールに合わせるため、ワンフロア3 看護単位の病棟計画として建物高さを抑え、分節化した外観デザインとした。建物高さを抑えるため建築面積の大きくなった建物に対して、7 つの光庭と3 つの屋上庭園を効果的に配置し、光・風・緑を取り入れた明るく快適な療養環境を提供している。
内装は、白木や白を中心とした明るくあたたかみのある色彩計画とし、日本の伝統色に伊勢型紙の模様を施したビジュアルサインをアクセントとしている。
(中原岳夫、山本善宏、高野直樹、篠原佳則/安井建築設計事務所)
中京大学豊田キャンパス6号館
建築主 | 学校法人 梅村学園 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 大林組名古屋支店 |
所在地 | 愛知県豊田市貝津町床立101 |
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敷地面積 | 160,069.65m² |
建築面積 | [教室棟]2,828.59m² [屋内走路棟]1,628.36m² |
延床面積 | [教室棟]2,698.25m² [屋内走路棟]1,626.61m² |
構造規模 | [教室棟]S造、地上1 階 [屋内走路棟]S造、地上1 階 |
工期 | 2019年4 月~2020年8 月 |
最寄駅 | 名鉄豊田線 浄水駅 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
6 号館は豊田キャンパス総合整備計画の一環として、文教機能をもつ教室棟とスポーツ機能をもつ屋内走路棟の2 棟が整備された。
教室棟の大屋根は躍動感をイメージさせる特徴的なアール形状に、格子状の母屋を採用することで屋根と構造躯体を一体化し、剛性を高めている。格子状の母屋は直天井とした室内のデザイン要素としても機能するとともに、地震時の天井脱落を無くすことにも寄与している。キャンパス内の既存施設との連続性を考慮してアーチ形状の列柱を設け、周囲に調和した施設とした。屋内走路棟は教室棟とは対照的に水平のスカイラインを強調し、疾走感をもった外観とした。
教室棟は500名収容の大教室、演出照明や音響設備を備え、ダンス等の講義や課外活動で使用できる多目的室、屋外競技の練習スペースとして利用できる屋内人工芝グラウンドで構成される。大教室は床吹出空調を採用し空調効率を向上させている。
南北をつなぐロビーは、豊田の森林をイメージした暖かみのある空間としており、各室へアプローチすることができる。教室や多目的室はガラスカーテンウォールとし、天然木の暖かみを活かした内装とすることで、開かれた明るい空間の中で学生が主体的に学べる場となっている。また、トランスジェンダーの「トイレに入る際の視線」を低減させる動線や、多目的トイレの設置、わかりやすいサインにより誰もが使いやすい共用空間が設けられている。
屋内走路棟は余長を含めた全長が120mのストレート走路を備え、日本陸連の公認を取得している。床は全天候型のタータン舗装となっており、天候に左右されずに練習できる環境が整備されている。
(神保朋之、稲垣志聞/伊藤建築設計事務所)
トヨタL&F中部白金オフィス
建築主 | トヨタL & F 中部株式会社 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | ヒメノビルド |
所在地 | 名古屋市昭和区白金三丁目7-12 |
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敷地面積 | 3,706.03m² |
建築面積 | 2,345.63m² |
延床面積 | 3,690.25m² |
構造規模 | RC造一部S造 地上3 階、塔屋1 階 |
工期 | 2019年9 月~2020年6 月 |
最寄駅 | JR東海道本線 金山駅 |
撮影 | アーキフォトKATO |
トヨタL&F中部は、多様化する物流のソリューションを総合的に提案する企業で、東海3 県に30近い営業拠点を展開している。本施設は高辻営業所としての機能に加え、一部本社機能を併せ持っており、事務室・整備工場・ショウルーム・フォークリフト運転技能講習場等の多様な用途を、敷地内に平面的・立体的に最大限に組み合わせた複合的な建築物である。
RC造3 階建ての事務所、S造2 階建ての整備工場、S造3 階建てのショウルーム・講習会場といった様々な要素をつなぎ合わせる為に、それらをEXP.Jで接続し、中庭を中心に構成した分かりやすい平面計画とした。事務所は屋上をフォークリフトの運転講習に利用する為RC造とし、PC梁による12x22mの無柱空間を確保し、事務室としての汎用性を高めると共に、部門が異なる社員同士の交流を促進するよう、中庭に面してコミュニケーションラウンジを設けた。
ソリューションの多様性をアピールするように、サッシ越しに自動倉庫を視覚化したショウルームや整備工場を望める見学通路を設置し、建物内のあらゆる箇所からそれらを体感できる「建物全体のショウルーム化」を実現している。
外観は、企業カラーの白とグレーを基調に、PC板、ECP、ALC、RC、金属サイディング等、多様な素材を組み合わせ、多様性を表現。ショウルームは、物流とそのスピード感をBOXと線形のデザインで実現した。
地域貢献活動としての講習会場等の災害時避難場所転用や、フォークリフトの廃バッテリーを直流給電装置に活用し太陽光発電の高効率運用を可能にするなど、地域や地球環境にも配慮している。
(清水 満、三宅伸幸、筧 政憲/安井建築設計事務所)
トヨタ紡織グローバル本社
建築主 | トヨタ紡織株式会社 |
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設計・監理 | 竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 愛知県刈谷市豊田町1-1 |
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敷地面積 | 103,598.42m² |
建築面積 | 6,454.45m² |
延床面積 | 28,504.88m² |
構造規模 | S造、地上6 階 |
工期 | 2019年5 月~2020年5 月 |
最寄駅 | JR東海道本線 刈谷駅 |
撮影 | ナカサ&パートナーズ |
織物を起源に自動車などのシートを主力とし様々な分野に挑み続けるメーカーの創業100周年事業。培ってきた普遍的な価値を土台に次の100年を見据え、コーポレート機能を集約しグローバルの経営基盤を更に強固なものにすると共に社内外との連携強化の拠点として活用することで、成長戦略の実現に向けた取組みを加速させていくことを狙いとした本社である。
創業者・豊田佐吉が初めて工場を建設し今も工場群に囲まれる敷地において、外部に正対する場所に建物を配置した。青空駐車場であった場所に既存樹木を保存しながら建物を囲む「刈谷の杜」をつくり、人の居場所を中心とした新しい環境づくりをした。杜までを含めてひとつながりの空間と捉えてプランニングを行い、ZEBReady、サステナブル建築物先導事業(省CO2先導型)採択などの高い環境性能を持つ。杜と一体となる低層部には創業の風景を想起させるレンガ壁やノコギリ屋根をモチーフにこれまでの100年の記憶を残した。上層部は南面の眺望を確保しながら年間の日射負荷を65%低減する立体的に編み込んだ形状の「紡ぎ織るスクリーン」を纏わせて、これからの100年に相応しい構えとした。
「紡ぎ織るスクリーン」をはじめとする外部環境の制御に加え、「刈谷の杜」からの自然の風の取り込み、ハイサイドライトなどによる自然光利用、高効率の空調システム、雨水の水盤や屋上緑化の灌水への利用など、自然の力を積極的に利用することで、エネルギー消費量を同規模の一般的なオフィスビルと比較して52%削減した省エネ・ウェルネスオフィスを実現した。
(長谷川寛・石黒紘介・杉森大起/竹中工務店)
名古屋市東部医療センター入院・診療棟
建築主 | 名古屋市 |
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設計 | 名古屋市住宅都市局営繕部営繕課、安井建築設計事務所 |
施工 | 大成建設株式会社(建築工事特別共同企業体代表企業) |
所在地 | 名古屋市千種区若水一丁目2 番23号 |
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敷地面積 | 27,494.09m² |
建築面積 | 4,844.39m² |
延床面積 | 28,455.21m² |
構造規模 | S造(基礎免震) 地上8 階、塔屋1 階 |
工期 | 2016年11月~2019年8 月 |
最寄駅 | JR中央線 千種駅 |
撮影 | センターフォト |
旧東市民病院全面建替えにおける免震構造、ヘリポートを設けた8階建ての入院・診療棟の整備である。H26年に開棟した4 階建て救急・外来棟と各階で連結し、一体的に運用されている。
31m高度地区の都心の限られた敷地において、診療・療養環境の両立を目指した。救急・外来棟とフラットに接続するため、BIMによる検討により、3.5mの階高で天井高2.5mの快適な病室空間を実現した。病院全体のエネルギーセンター棟は、入院・診療棟と同一構造でのツインタワーとし、設備機器の大きさに合わせた階高とすることで建物ボリュームを合理化し、限られた高さと広さに必要な機能を詰め込んだ。
病室は南側に個室的4 床室、千種公園がある北側に1 床室を配置し、全ての入院患者のベッドからの眺望を確保した。アルコーブを中心に4 室を重ねたアルコーブ付個室ユニットにより、狭小な建設敷地において必要な個室率を確保した。コンパクトな空間でありながら、広い病室扉とアルコーブにより容易にベット移動できる計画としている。外観デザインでは、個室トイレシャワーの有無をそのまま表出させている。
個室ユニット中央のアルコーブは、看護拠点として機能することを想定した。実際にプライバシーを確保したい患者は扉を閉めているが、扉を開放しキュービクルカーテンだけ閉めている病室も多い。アルコーブにカートや車いすを置いて、頻繁にスタッフが出入りする姿も見られる。
1 階2 階は、放射線部門や検査部門を配置し、救急・外来棟と一体的に活用できるように2 層のメディカルコリドールを設けた。ガラス張りの階段を中心に、救急・外来棟のエントランス空間につながる動線とした。北側の千種公園に連続するロータリーを中心としたアプローチ空間を想定して計画した。
無機質になりがちな病院において、「心を癒すやさしい環境」とする為に、メディカルコリドールを中心にヘルスケアアートを実施した。職員ワークショップによりテーマやストーリーを決め、竣工後に多くの職員が製作に参加し、東部医療センターならではのアートが実現している。
(篠原佳則、三宅伸幸/安井建築設計事務所)
浜松いわた信用金庫西ヶ崎支店・小松支店
建築主 | 浜松いわた信用金庫 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 飯田組 |
所在地 | 静岡県浜松市東区西ヶ崎 |
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敷地面積 | 1,572.98m² |
建築面積 | 517.24m² |
延床面積 | 711.15m² |
構造規模 | RC造、地上2 階 |
工期 | 2020年1 月~2020年8 月 |
最寄駅 | 遠州鉄道 西ヶ崎駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
浜松駅より約10km北上した住宅街に建つ信用金庫支店の計画。住宅地に建つ建物として、建物高さは最小限にすると共に主要道路に面する壁面は分割・分節されて見えるように計画し、住宅街の街並みとの調和を図った。
不整形な敷地ではあったが、間口の広い南面に向かって、長さ約40mの大庇を設け、支店の顔作りをすると共に歩行者のための通路位置を示すサインとしての機能も兼ね備えている。
構造は諸般の理由によりコンクリート造を選択することになったが、人に近接するコンクリート壁面は「チェーン引き」という打放し面を人の手で”けがき”、骨材に使われている天竜川砂利が表出する壁面とし、地産地消のコンクリートを演出した。
シンボルツリーには地元でも庭木によく使われるキンモクセイを採用し、色や香りで四季を演出し、地域の新たな原風景として親しまれることを期待している。
(塩田哲也、神山義浩、Lauren.L/日建設計)
浜松いわた信用金庫竜洋支店
建築主 | 浜松いわた信用金庫 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | イトー |
所在地 | 静岡県磐田市豊岡 |
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敷地面積 | 2,126.39m² |
建築面積 | 657.3m² |
延床面積 | 819.57m² |
構造規模 | RC造、一部S造、地上2 階 |
工期 | 2019年3 月~2019年12月 |
最寄駅 | JR東海道本線 磐田駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
建築デザインを通じて「地域に開く」企業姿勢を表現することを試みると共に、「インパクトのある外観」と「居心地の良い内部空間」を目指した。
街区の魅力向上を通した地域への貢献を意図し東西2 つの道路を結ぶ通り抜け空間を設け、敷地内に人の流れを生み出す計画とした。建物は通り抜け空間に沿って両手を広げたような形状とし、地域に開かれた店舗であることを建築の姿に示した。
ロビーは手続きの待ち時間を忘れさせるような居心地のよい空間を目指した。緩やかな弧を描く曲面天井には設備器具を一切設置せず、幅50㎜の天竜杉小幅板を用いて純粋で無垢な表情に仕上げた。杉特有の色味のばらつきによって線が群れを織りなし、空間の伸びやかさが強調されている。また窓辺にも杉のルーバーを設けることで、ロビー空間全体に杉のやわらかな質感と芳香が満ちている。
(塩田哲也、藤田俊洋/日建設計)
和歌山都市計画北汀丁地区第一種市街地再開発事業
建築主 | 代表施行者 株式会社 和通 共同施行者 学校法人 山本学園 IBW美容専門学校 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 淺川組 |
所在地 | 和歌山県和歌山市北汀丁8.13番、南汀丁29番 |
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敷地面積 | 1,298m² |
建築面積 | 995m² |
延床面積 | 7,052m² |
構造規模 | RC造、地上13階 S造、地上6 階 S造、地上3 階 |
工期 | 2018年3 月~2020年6 月 |
最寄駅 | JR・南海 和歌山市駅 |
撮影 | 長岡写真事務所 |
和歌山城下に「みぎわテラス」が誕生した。この施設は、有料老人ホーム、専修学校、分譲住宅、店舗、駐車場の複合施設である。ポイントとなる街角には店舗と公開空地とした庭を確保した。高層棟の2 階~ 3 階には高齢者に配慮した「有料老人ホーム」を計画し、中層棟には、美容と健康を追求する「美容専門学校」を計画した。大通りである市駅通りとケヤキ通りの交差点に位置することから、ツインタワーによるフォルムの構成、印象的な和格子によるデザインや壁面緑化と色調は景観上において最も配慮した部分である。
老人ホームの室内は、全体的に落ち着きのある色調とし、個室は個性を作り出せる内装を設え、美容専門学校は、スタイリッシュな白とガラスを多様化し、道行く人に美容を学ぶ憧れや思いを近づけるデザインとした。和歌山城を臨む低層の屋上テラスは、両棟をつなぎ「高齢者と学生が世代を超えて交流する場」と賑わいの創出と周辺との緑による潤いを醸し出し市民の憩いの場として利用されている。「みぎわテラス」は城のあるまちとして後世へつなげ、街が発展することを目指している。
(長谷恭典、野西禎宣/東畑建築事務所)
『建築と社会』2020年3月号:東海支部会員作品
愛知県国際展示場Aichi Sky Expo
建築主 | 愛知県 |
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設計・施工 | 竹中工務店 |
管理 | 日本設計 |
所在地 | 愛知県常滑市セントレア |
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敷地面積 | 280,265.39m² |
建築面積 | 88,643.40m² |
延床面積 | 89,693.38m² |
構造規模 | S造、地上2 階 |
工期 | 2017年9 月~2019年6 月 |
最寄駅 | 名鉄空港線 中部国際空港駅 |
撮影 | 株式会社エスエス |
愛知県が整備し、「コンセッション方式」で民間の事業者が期間15年間にわたり施設を運営する、国内初の国際空港直結型の展示場である。
展示面積は、国内最大級60,000㎡を有し、展示ホールAは、展示面積10,000㎡・100m×100m×高さ20mの無柱大空間で、音楽コンサートも対応可能である。展示ホールB~Fの5つのホールは、最大50,000㎡までを一体利用可能な高さ14mの大空間としている。また、国内初となる常設の保税展示場であり、出展者の利便性向上に配慮されている。
環境面では、展示場として初めてCASBEE SランクとZEB Readyを実現した。長さ200mのエントランス大庇には垂直型壁面緑化「バーティカルフォレストⅡ」を設え、環境デザインを視覚化するとともに、内外で愛知県産資材を積極的に採用し、「ものづくり愛知」をアピールしている。
(河辺晴重・本多英行・望月孝信/竹中工務店)
伊勢市立桜浜中学校
建築主 | 伊勢市 |
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設計・重点監理 | 日建設計・東伸周ARC設計 特定設計業務共同企業体 |
一般監理 | 山本設計 |
施工 | 校舎:船谷・伊藤・富士 特定建設工事共同企業体 屋内運動場:吉川・宮本 特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 三重県伊勢市 |
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敷地面積 | 37,603.71m² |
建築面積 | 7,279.22m² |
延床面積 | 11,079.75m² |
構造規模 | RC造一部SRC・S造 地上3 階 |
工期 | 2017年7 月~ 2018年12月 |
最寄駅 | おかげバス 東大淀ルート「植山町」バス停 |
撮影 | 川合写真事務所 |
■伊勢の大地に浮かぶクラスター型校舎
-生徒と先生と地域を守る学校-
津波最大浸水想定レベルを想定した第二の大地伊勢湾から程近くの伊勢平野に、伊勢市内の2中学校が統合して開校した新しい中学校である。昇降口、普通教室、職員室、屋内運動場といった主要諸室を津波の最大浸水想定レベルを超える2階に配置し、多目的ホール、調理・被服実習室を3階に併設していることがこの学校の最大の特徴といえる。さらに、非常用発電機・キュービクル・受水槽を2階以上に配置し、停電時には、非常用発電機のほか、太陽光発電パネルの発電電力も利用可能な仕組みを取り入れた。災害時には屋内運動場、多目的ホール、調理・被服実習室を開放することで、地域の方を含めた避難拠点として利用可能とした。
■ 2 校で育まれてきた想いをつなぎ、育む学校
-まとまりを保ち交流を促すクラスター配置-
学校は、中庭を挟み込んでクラスター状に配置した校舎と屋内運動場からなる。統合中学校として学年を超えた交流を促すために、校舎2階中央に、図書室とPC教室を兼ねたメディアギャラリーを設け、メディアギャラリーを中心として3学年を1フロアに配置した。さらに学年別の専用トイレ・オープンスペースを備えることで、学年ごとにまとまりある配置計画とした。
メディアギャラリーは、自然に本や電子メディアに触れたり、職員室が面する配置とすることで先生とのコミュニケーションがとりやすい設えとし、生徒らの自主的な学習の場を創出した。
各棟間には木々が植わる中庭を設け、自然通風・採光が校舎内に行きわたる。各教室や共用部からは場所により異なる景色を望むことができ、木質の仕上げ材に包まれた内装など、落ち着いて快適に学習できる環境を整えた。さらに、生徒や先生の利用頻度が高い、渡り廊下やトイレの壁・天井の一部に癒し効果やリフレッシュ効果のあるビタミンカラーを配色し、室内に居ながらも生徒や先生の心と体が元気になる仕掛けづくりを試みた。メディアギャラリーにはエコパネルという環境データ表示装置を設けており、太陽光発電パネルの発電電力等を表示することで、エコの見える化を行い、環境学習のきっかけとなる仕組みを取り入れている。
■豊かな伊勢平野の風景に調和する学校
- 「生成りの精神」のデザイン-
伊勢市都市マスタープランにおける都市づくり理念である、『素朴で美しい伝統的な姿を守り育てていく「生成り」の精神』を尊重し、外観は田畑の広がる風景に調和するアースカラーを基調とし、地層のように幾重にも重なるのびやかな構成とした。かつての田園風景に囲まれた豊浜中学校を表す稲穂色、伊勢湾岸沿いに位置した北浜中学校を表す海岸線の白砂色、新しい校名を表す桜色の3色が帯状に重なる外観とすることで、2中学校の歴史を継承し、新しい歴史を積み重ねていくことを表現した。
(小谷陽次郎、奥宮由美、眞庭 綾、田中裕大/日建設計)
いなべ市役所
建築主 | いなべ市 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 大成建設 |
所在地 | 三重県いなべ市北勢町阿下喜31番 |
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敷地面積 | 36,105.57m² |
建築面積 | 8,956.53m² |
延床面積 | 15,479.67m² |
構造規模 | RC造 一部 SRC造・S造、地上2 階 地下1 階 |
工期 | 2016年12月~2019年3 月 |
最寄駅 | 三岐鉄道北勢線 阿下喜駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所 |
既存の樹木や地形を最大限に残すと共に、低層かつ分棟の建物計画とすることで周辺環境にも調和する建物を目指した。庁舎は「行政棟」「議会棟」「シビックコア棟」「保健センター棟」で構成し、各棟をつなぐように大庇「Baum」を架け、これに隣接するように「にぎわいの森」を計画した。「シビックコア棟」は会議室等を集約した建物であり、分棟化することで休日や夜間でも市民が利用しやすくした。「Baum」は市民向けのイベントやマルシェなどを行う広場に架けた大庇で、既存の杜に呼応する人工の杜をイメージして計画した。「にぎわいの森」は既存の杜を活用した商業施設群であり、地場の食材などを使用した商品を提供し、市の魅力を発信している。これらは人口の減少と高齢化を踏まえたまちづくりを行う拠点となるとともに、休日や庁舎に用事が無くても市民が日常的に集う本来の意味での「公共建築」として機能することを狙っている。
(小谷陽次郎、廣瀬文昭、山口智三/日建設計)
エヌエスディ株式会社 篠原第3工場
建築主 | エヌエスディ株式会社 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | ナカノフドー建設 |
所在地 | 愛知県豊田市篠原町切山2 番9 |
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敷地面積 | 19,031.50m² |
建築面積 | 2,803.06m² |
延床面積 | 5,410.15m² |
構造規模 | S造、地上2 階 |
工期 | 2018年10月~2019年11月 |
最寄駅 | 愛知環状鉄道 篠原駅 |
撮影 | リフレクト |
篠原工場はセンサやアクチュエータ等を設計・製造する工場である。ここで製作される位置検出システム“アブソコーダR”は国内外のあらゆる製造業の製造設備の位置決め装置として広く使われている。センサの製造には高い精密機械加工能力、組立精度の精緻化、納期短縮を求められており今回の新工場を建設することとなった。
1階は加工工場、2階は組立工場と事務所を配置した。加工工場の加工エリア、研削室、精密測定室には温度・湿度制御、振動対策と床の水平精度の確保が求められた。高い温度制御を実現するために建物外皮の高断熱化に加え、加工エリアの周囲には外気温の影響を抑える緩衝帯として関連諸室を設けた。また、さらに高い温度・湿度制御が必要な研削室、精密測定室は空調された加工エリアの中に配置した。機械基礎と周囲の土間は構造的に縁切りし、基礎毎に柱状改良を行うことで周囲の振動の影響を抑えている。また、基礎及び土間天端はコンクリート高精度打設機を使用して水平精度を確保した。事務所部は採光を取り入れつつ夏場の直射日光を遮るように角度を付けてルーバーを設置した。ルーバーの効果により室内環境を安定させるとともに外観のアクセントとした。組立工場内は柱を極力減らし工場内の動線の自由度と将来のフレキシビリティを確保する計画とした。
(高北卓軌/伊藤建築設計事務所)
大島ビル
建築主 | 大島嘉七 |
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設計・監理 | 株式会社伊藤建築設計事務所 |
施工 | 六合株式会社 株式会社パイオニアテック 株式会社富士総合設備事務所 東洋空調株式会社 |
所在地 | 愛知県名古屋市中区栄一丁目1026番 |
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建築面積 | 258.98m² |
延床面積 | 766.75m² |
構造規模 | S造、地上4 階 |
工期 | 2018年10月~2019年5 月 |
最寄駅 | 地下鉄東山線 伏見駅 |
撮影 | 株式会社リフレクト |
既存社屋の建て替えを行った。建屋を敷地奥側にコンパクトにまとめた配置計画とし、駐車台数を確保するとともに既存のクスノキ・サクラ、竹等の植栽を残すことで都市部の中でも緑豊かな景観とした。
建屋の両端に袖壁を設けて隣地からの延焼を防ぎ、カーテンウォールの防火設備を免除することで、構成部材を細くし開放感の向上と換気用縦型スリット窓による自然通風を可能にした。
内装はモノトーンを基調とし、一部天井や床に木や緑を取り入れることで広がりのある明るい空間とした。また2階事務室内には天井を一部折り下げたラウンジスペースを設け、社員の憩いの場とコミュニケーションを誘発する環境づくりを行っている。
(犬飼高嘉、松本拓也/伊藤建築設計事務所)
亀山市立川崎小学校
建築主 | 亀山市 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 堀田建設・白川建設 |
所在地 | 三重県亀山市能褒野町77番地22 |
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敷地面積 | 23,358.26m² |
建築面積 | 5,185.18m² |
延床面積 | 7,905.14m² |
構造規模 | RC造(一部S造・SRC造)地上2 階 |
工期 | 2016年6 月~2019年2 月 |
最寄駅 | JR関西本線 井田川駅 |
撮影 | 土面彰史/tonomo photo+ |
亀山市北東端に位置する小学校における、児童数増加による教室不足と校舎老朽化を解消するための改築事業である。改築テーマ「地域の中で育つ川崎っ子、地域が育てる川崎っ子」を念頭に、児童の豊かな学びや育ちに寄与し、人・学校・地域をつなぐ「ひろばのある学校づくり」を設計コンセプトとし、地域と学校が密な関係を築き、互いに学び・育ちあえる学び舎づくりを目指した。設計時には教職員や地域住民とのワークショップを計17回開催し、ゾーニングや学校と地域が連携した使い方について議論をするとともに、地域のお祭りでも毎年ブースを出展し、新しい学校づくりを積極的にPRした。
配置としては、敷地中央・昇降口横に地域の居場所となる活動拠点「ふれあい活動室」があるのが特徴的であり、加えて「内の広場」「外の広場」「屋根のある広場」などの屋内外の活動スペースを敷地内に散りばめている。「内の広場」は2層吹抜の多目的ホールであり、その周囲に回遊性を持って配置された特別教室や図書館を「共有ゾーン」と位置づけ、学校・地域の双方が活用しやすい構成としている。また、段階的にプライベートな普通教室ゾーンへと移行するゾーニングとし、児童の落ち着いた学習環境も合わせて確保している。
(高木耕一、柱健太郎、前田千晶/東畑建築事務所)
岐阜希望が丘特別支援学校(2期)岐阜県福祉友愛アリーナ
建築主 | 岐阜県 |
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設計 | 安井・サニー設計共同体 |
監理 | 葵建築設計事務所 |
施工 | 建築: 大日本・共栄・東J V 電気: 松本電気設備 機械: ユニオン・安田電暖J V |
所在地 | 岐阜県岐阜市則武新屋敷鷲山向井地内 |
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敷地面積 | 30,308.10m² |
建築面積 | 12,333.36m² |
延床面積 | 19,784.88m² |
構造規模 | RC造、地上2 階 |
工期 | 2014年3 月~2015年7 月( 1 期)2019年3 月( 2 期) |
最寄駅 | JR東海道本線 岐阜駅 |
撮影 | 滝田良彦/滝田フォトアトリエ |
希望が丘こども医療福祉センター、岐阜希望が丘特別支援学校、福祉友愛アリーナの2期整備である。岐阜県における障がい者のための医療・福祉・教育・スポーツの一大拠点として2階建てで一体的に整備した。
こども医療福祉センターは肢体不自由児のほか発達障がい児を対象とした外来・リハビリ・手術・病棟のほか母子訓練や福祉相談などを設け、多様な子どもの状態に対応できる施設としている。
特別支援学校は小・中・高の一貫した教育に対応し、障がい児の就労など社会参加を視野に入れている。今回整備した体育館はステージ高400㎜と抑え、両脇及びステージ裏にスロープを設けて肢体不自由児が安心して便利に使用できる計画としている。
学校体育館上部に障がい者向けに福祉友愛アリーナを設置した。2台の大型エレベーターにて1階玄関及び更衣室と連絡している。大きな建築ヴォリュームを3施設及びエリア全体でのシンボルとしてデザインした。
(篠原佳則/安井建築設計事務所、野辺昭三/サニー建築設計)
新東工業大治事業所新工場
建築主 | 新東工業株式会社 |
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計画・監修・監理 | 生活工房仙一級建築士事務所 |
設計 | 錢高組一級建築士事務所 |
施工 | 錢高組名古屋支店 |
所在地 | 愛知県海部郡大治町大字西條 字附田71番地の2 |
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敷地面積 | 11,473.01m² |
建築面積 | 4,485.28m² |
延床面積 | 10,294.94m² |
構造規模 | S造、地上4 階 |
工期 | 2019年3 月~2019年12月 |
最寄駅 | 名鉄津島線 七宝駅 |
撮影 | 相羽光徳 |
名古屋の西部、大治北ICに程近い、濃尾平野を流れる2級河川福田川のほとりに当建物の計画地がある。外観は事業コンセプトの一つでもある「クリーンな工場」を感じさせる、清潔感のある白を基調とし、東面の外壁上部にブランドデザインである絆やHeart、情熱を表す赤と、金属に関わる企業としての品質に対する強いこだわりを表すグレーのボーダーが際立つ明快なデザインとした。
敷地中央に位置する当建物は、工場・事務所機能を備えるほか、南側4階建ての既存建物と、北側2階建ての既存建物とを、最大長さ10m以上の片持ち構造の渡り廊下でつなぐ工場内動線のプラットフォームとしての機能も兼ね備えている。1階床レベルは、浸水等の被害から生産設備や製品を守るだけでなく、地域住民の一時避難の受入れも視野に入れ、平均地盤面より1m高く設定している。
2階から4階の事務所スペースの一角に配置した吹き抜け空間は、社員同士のコミュニケーションやイノベーションを生み出す場など、様々な拡張性を秘めた場となることを意図して計画した。
敷地内・建物内部には、車椅子使用者用駐車場や段差解消機、多機能トイレなども完備し、バリアフリーにも配慮された、人に優しい工場を実現している。
基本計画、実施設計、施工段階において、事業主と密な打合せを経て決定されたデザイン・機能等が集約された建物であり、今後建設される工場のモデルとして位置付けられ、末永く利用されることを期待します。
(半田昌樹、廣瀬武馬、末次周/錢高組一級建築士事務所)
椙山女学園大学附属椙山こども園
建築主 | 学校法人 椙山女学園 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 矢作建設工業 |
所在地 | 愛知県名古屋市名東区 |
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敷地面積 | 2,065.42m² |
建築面積 | 1,025.60m² |
延床面積 | 969.10m² |
構造規模 | W造、地上1 階 |
工期 | 2018年7 月~ 2019年2 月 |
最寄駅 | 地下鉄東山線 星ヶ丘駅 |
撮影 | 株式会社鈴木文人写真事務所※、株式会社エスエス名古屋支店※※ |
大学のキャンパスの隣に建つ、幼保連携型認定こども園である。
キャンパス沿道からつづく桜並木を保存し、建物を雁行させて桜のトンネルを通り抜けるアプローチを計画した。敷地いっぱいに広がる屋根は住宅スケールに分節し、大学の大きな建築群と裾野に広がる戸建住宅群をつなぎ、街並みの連続性を創出した。
内外装には自然素材を多く採用し、あえて表情にばらつきを持たせた。こども一人ひとりに異なる個性があるように、ムラやばらつきが味と感じられる、素朴でおおらかな建築を目指した。
(塩田哲也、金子公亮、矢吹和也/日建設計)
伏見ミリオン座
建築主 | スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社 |
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基本計画・監修 | 安井建築設計事務所 |
設計・監理 | 大林組 名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大林組 名古屋支店 |
所在地 | 名古屋市中区錦二丁目15番5 号 |
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敷地面積 | 633.45m² |
建築面積 | 532.62m² |
延床面積 | 2,976.95m² |
構造規模 | S造、地上8 階 |
工期 | 2018年5 月?2019年3 月 |
最寄駅 | 名古屋市営地下鉄東山線/鶴舞線 伏見駅 |
撮影 | ナカサ&パートナーズ |
繁華街の賑わいを感じる街の一角に位置する道路以外の三方を高層建物に囲まれた敷地に、「シネマ(カフェと映画館4館)」「ケーブルテレビ放送スタジオ(撮影スタジオ2室)」「運営スタッフのオフィス」の3つのプログラムを積層化してコンパクトでありながら「新たな場所での存在感を発信する“老舗の映画館”」の姿を目指しました。
古くから名古屋で愛されていた以前の伏見ミリオン座では、シネマスタッフの手によって館内の至る所に映画の告知や作品ポスターが貼られ、まるで映画のシーンが散りばめられた様な非日常を感じる事ができました。 日々更新されるその空間は、訪れる人々に映画館に来た事を感じさせ、それは一人一人が想い浮かべる「想い出の映画のシーン」が幾重にも心の中で浮かぶイメージと重なります。
映画館という場所は、映画を楽しんでいただいた一人一人の「想い」や「お気に入りのシーン」が詰まった場所であり、その想いを感じていただける特別な場所が新たな“伏見ミリオン座”であると考えました。 大切な記憶や気持ちが「シーン」となってシネマスクリーンの様に心の中に幾重にも浮かび上がってくるイメージを表現したファサードデザインは、外壁から浮いて軽やかに重なり合うエキスパンドメタルのスクリーンで表現され、その様は映画館としての特別な表情を街の風景のなかに感じていただけます。 夜には、3層に重なり合うスクリーンが各々色温度が違う3種類の照明でライトアップされ、時間の経過で拍動する様にプログラミングされたその光の重なりは「街の灯り」としての華やかな姿と心地よい表情を創み出しています。
インテリアデザインでは、これまでの伏見ミリオン座と同じ様にシネマスタッフによる空間演出を考慮したシンプルかつ機能的なデザインとしながら、建物の設計コンセプトと調和したオリジナルのサインデザインによって彩られ、洗練された新たな“伏見ミリオン座”を感じていただけます。
この場所が、これまでの伏見ミリオン座と同様に名古屋の街のなかで「唯一無二の特別な場所」として、長く愛されることを願っています。
(川添裕司・村田真吾/大林組)
弥生プライマル大府工場事務所棟
建築主 | 弥生プライマル株式会社 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 伊藤工務店(建築・機械設備工事)、川北電気工業(電気設備工事) |
施工協力 | 杉村塗装、テクニカルシステム社、小池商事、ツジタ、竹甚板硝子、 不二サッシ東海、アクト、安成工業、東芝エレベーター中部支社、 豊建、森定興商、藤本鉄筋工業所 |
所在地 | 愛知県大府市北崎町井田31-1 |
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敷地面積 | 6,249.30m² |
建築面積 | 402.24m² |
延床面積 | 1,149.79m² |
構造規模 | S造、地上3 階 |
工期 | 2017年10月~2019年8 月 |
最寄駅 | JR東海道本線 共和駅 |
撮影 | スタジオセゾン |
弥生プライマル株式会社は大府市に拠点を置く電設資材、電力・産業向け構造物、架台・ケーブルトレイ・配電盤の製造・販売を行う会社である。大府工場内の事務所棟老朽化に伴い建替えを行うこととなった。
近接する伊勢湾岸自動車道や国道23号線北崎ICからの視認性を考慮し南面をメインファサードとした。西日対策を兼ねた縦リブとガラスのコントラストによりのびやかでシャープな印象のデザインとしている。南面に設けた開口により、明るく開放的な執務空間とし、東西面の開口を制限した北側コアとして環境負荷低減を図る計画としている。西側来客用エントランスと既存工場床レベルとでは約2mの高低差があるがエントランスに設けた階段とエレベーターでレベルを解消し、エントランスと通用口と既存工場とをスムーズな動線で繋げる計画とした。
敷地周囲は4m程度の狭小道路に囲まれているが天空率を用いることで道路斜線制限を緩和し、敷地を有効活用する配置計画を実現した。
(高北卓軌/伊藤建築設計事務所)
ラグーナベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート
建築主 | リゾートトラスト |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 鹿島建設 |
所在地 | 愛知県蒲郡市海陽町二丁目9-1 |
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敷地面積 | 52,264.50m² |
建築面積 | 12,476.06m² |
延床面積 | 36,700.21m² |
構造規模 | RC造、一部S造、一部SRC造 地上7 階、地下1 階、塔屋1 階 |
工期 | 2016年6 月~2019年1 月 |
最寄駅 | JR東海道線 三河大塚駅 |
撮影 | 黒住直臣 |
海洋リゾート地区であるラグーナ蒲郡地区に2019年3月に開業した完全会員制リゾートホテル。
“Futuristic Luxury”をコンセプトとし、今まで見たことがない新しい空間の創出、先進性のあるラグジュアリーを目指した。
総延長400mの建物は海岸線に沿った緩やかな曲線状の外観とし、大きな水盤に浮かぶように構成して、海との一体感を持たせている。138m幅の大開口とそれを支えるV字柱の架構とともに、エレガントさとダイナミックさを併せ持つフォルムを実現した。
ロビー、レストラン等は、季節や時間や天候によって様々な表情で魅せる水盤を中心に円周上に配置されており、インフィニティエッジを持つ水盤は、建物に穿たれた大開口により切り取られた海と連続し、それを取り囲むように配置された建築空間にきらめく光と揺らめく波に包まれるような幻想的なシーンをもたらしている。素材やインテリアはこの空間と融合するように、光きらめくような光沢感にこだわりながら有機的なカーブを用いたしなやかな美しさのあるデザインとしている。
基本設計の段階から建築設計者を中心にインテリアデザイナー、ランドスケープデザイナーが参画し、施工者も加わり竣工に至るまで一つのチームとして協働し、建築とインテリアが融合した“唯一無二のFuturistic Luxury”を創出させている。
(井上孝成・清水満・川井茂輝・藤村篤/安井建築設計事務所)
『建築と社会』2019年3月号:東海支部会員作品
愛知淑徳大学 長久手キャンパス 健康栄養学科棟
建築主 | 学校法人 愛知淑徳学園 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 安藤・間 |
所在地 | 愛知県長久手市片平二丁目9 |
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敷地面積 | 4,686.39m² |
建築面積 | 3,198.54m² |
延床面積 | 5,692.63m² |
構造規模 | RC造、S造 地上2 階 |
工期 | 2016年1 月~2017年2 月 |
最寄駅 | 地下鉄東山線 本郷駅、藤が丘駅 |
撮影 | ㈱エスエス |
ひらいて、つながる、食と健康の学び舎既存キャンパスから緩やかに延びる上空通路につながる、食と健康を学ぶ「健康栄養学科」の実習棟。
丘陵地麓の戸建住宅地に接して建てられた、おおらかな弧を描く大屋根の低層校舎である。
ゆるやかにカーブした道沿いに欅を中心とした植栽で季節感のある景観を創ると共に、実習厨房を望む見学通路や食堂テラス、天然木ルーバーの勾配天井をもつ、スタディコーナーやライブラリーを配した。
食を学ぶ学生たちの姿を建物内外で垣間見ることのできる仕掛けをちりばめた。(奥宮由美、石森秀一/日建設計)
愛知トヨタ自動車 瀬戸営業所
建築主 | 愛知トヨタ自動車株式会社 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 杉本組 |
施工協力 | 川北電気工業、アペックエンジニアリング、創栄、協和建材、尾州工業、J O B A R T |
所在地 | 愛知県瀬戸市共栄通3-25 |
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敷地面積 | 3,081.56m² |
建築面積 | 1,619.25m² |
延床面積 | 1,781.58m² |
構造規模 | S造 地上2 階 |
工期 | 2017年9 月~ 2018年10月 |
最寄駅 | 名鉄瀬戸線 新瀬戸駅 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
「瀬戸物」の由来ともいわれる、やきものまち瀬戸。この地で長く愛される地域に根差した店舗づくりをテーマに、レンガやタイルなどの素材をふんだんに用いる計画とした。
敷地は交通量の多い前面道路を短手とした細長い矩形状をしている。そのため、ショウルームは前面道路に面する限られた敷地間口を最大限に活用した門型構成とし、目透かしレンガを組み合わせた「せとものファサード」とすることで、店舗の存在をよりアピールできる外観計画とした。目透かしレンガは外壁面から持ち出したスクリーン状とし、下部から上部に向かって徐々にレンガ高さを小さくすることで、密度の粗い下部ではショウルーム内外に適度な距離感を生み出すスダレの役割を、密度の細かい上部では屋上駐車場の目隠しとしての役割を持たせている。
車両進入部はレンガとは対比的なガラスカーテンウォールとし、メーカーサインをより印象的に演出すると共に、レンガに適度な焼きムラつけることで前面道路への圧迫感低減を図った。
平面計画は、前面道路からショウルーム、事務所機能、サービス工場の3 つのエリアに分け、店舗運営の核となる事務所エリアから各所への見通しとコンパクトな動線を確保した。店内は木調仕上をベースとした温もりのある環境とし、各所にアクセントとしてタイル仕上をあしらうことで、お客様が随所に瀬戸らしさを感じられる計画とした。(清水満、小田祐司/安井建築設計事務所)
こねくとキッズ鈴鹿
建築主 | 住友電装株式会社 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | トヨタT & S 建設(建築) 住友電設(設備) スミセツエンジニアリング(設備) |
所在地 | 三重県鈴鹿市三日市南3 丁目8 |
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敷地面積 | 2,806.20m² |
建築面積 | 322.50m² |
延床面積 | 295.09m² |
構造規模 | S造 地上1 階 |
工期 | 2016年12月~2017年3 月 |
最寄駅 | 近鉄名古屋線 白子駅 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
こねくとキッズ鈴鹿は、自動車のワイヤーハーネスを製造する住友電装㈱の鈴鹿製作所に建設された企業主導型保育園です。育児の問題を抱える若い世代の社員達が、安心して仕事に集中出来る職場の環境づくりとして整備されました。
敷地背後の住宅地に配慮した建物配置と、片流れ屋根のシンプルな外観構成とし、自然光と通風確保を意識した建築計画としています。活発な子供達の安全に配慮した柱や家具の出隅処理、不用意に子供たちが扉を開けない建具や家具への工夫、指詰防止対策等シンプルな意匠でまとめています。年齢に応じた保育室は、使い分けが出来る扉を設けている他、スタッフが子供達を見守りやすい窓の設置等運営面にも配慮しています。保育室や乳児室には温水機器床暖房を採用しています。アレルギー対応食用の厨房設備を備え、時にはバイキング形式でも子供達が昼食を楽しめる様に、配膳カウンター家具への工夫も盛り込んでいます。子供の目線高さの変化ある妻窓や、園庭の築山など、子供たちの興味や遊び心に働きかける設も行っています。深めの軒下は、梅雨の長雨や夏の強い日差しを避けて遊べる屋外スペースです。既存樹の桜と共に、四季の移り変わりを感じる山法師や金木犀などを植え、育児世代の社員が安心して子供を預けられる場として、そしてその子供達が、楽しく過ごし、樹木が育ち花を咲かせるように、すくすくと育ってくれる事を願っています。
(米田聡/東畑建築事務所)
中京銀行今池支店
建築主 | 中京銀行 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 日東建設 |
所在地 | 名古屋市千種区今池3 丁目4-14 |
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敷地面積 | 352.16m² |
建築面積 | 320.74m² |
延床面積 | 626.54m² |
構造規模 | S造 地上2 階 |
工期 | 2018年4 月~2018年11月 |
最寄駅 | 地下鉄 今池駅 |
撮影 | リフレクト |
銀行支店の建替えである。建設地は名古屋市環状線沿いにあり、地下鉄今池駅から徒歩3 分程度の繁華街で、昼夜を問わず賑やかな場所である、名古屋市都市景観条例で今池都市景観形成地区に指定されており、商業、娯楽、文化が混在する街の特性を活かした、個性的で魅力ある都市空間を担う建物を目指して設計した。
大通りに面した東側ファサードは、フロストガラスと透明ガラスが連続するカーテンウォールとし、昼間は銀行らしい上品さを醸し出し、夜間は「あんどん」のように廻りを照らし、街の賑やかさに寄与するものとした。
南側の外壁は、室内環境負荷の低減を目的としたLow-E複層ガラスによるスリット窓と600角大判タイルのコンビネーションで構成し、東正面カーテンウォールとの対比を意識してデザインした。
限られた敷地の中でお客様スペースを優先的に確保しながらコンパクトに建物機能を確保した。待合ロビーは吹抜空間として視覚的な広がりを持たせ、快適性の向上を図っている。
(梶井信嘉/伊藤建築設計事務所)
テレビ静岡新本社
建築主 | 株式会社 テレビ静岡 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 鹿島・静鉄・鈴与 特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 静岡県静岡市駿河区栗原18番65号 |
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敷地面積 | 10,156.23m² |
建築面積 | 1,937.61m² |
延床面積 | 6,637.65m² |
構造規模 | SRC造、S造 地上5 階 |
工期 | 2015年4 月~2018年6 月 |
最寄駅 | JR東海道線 東静岡駅、静岡鉄道静岡線 県総合運動場駅 |
撮影 | ㈱エスエス |
開局50周年を迎えるにあたり、マスター機器更新に合わせて敷地内建替えを行った。外観は富士の山容や日本平の景観と一体となる「緑の丘」をイメージし、階段状にセットバックした白いバルコニーの緑化や前庭のイベント広場の植栽を連続させて、地域に親しまれるような緑の景観をつくった。エントランスホールとカフェには「木漏れ日」のモチーフを鏡にセラミックプリントしたデザインウォールを設け、周辺の緑を映し出すことで、広がりのある明るい空間とし、賑わいを演出している。
整形でオープンなワンルームのワークプレイスは、様々なワークスタイルに対応できる計画とし、サブやNV編集室などの放送局特有の部屋をガラス張りとすることで視覚的な一体感をつくった。また、2 階から3 階のオフィスの窓際に上下階を直接つなぐ階段を設け、周囲にミーティングテーブルなどのマグネットスペースを設けることで、階をまたいだコミュニケーションを活性化して創造的な仕事をサポートする環境づくりを行っている。
震災被災直後から放送業務を継続できるよう、免震構造を採用。各種インフラの途絶に備えたBCP計画を行い、クールヒートトレンチ、外気冷房、オフィスの自然換気窓の設置など、災害時に有効活用できる環境配慮手法を中心に採用した。
(小谷陽次郎、岡田宏介、樅山由佳/日建設計)
東海興業株式会社 高浜第2工場
建築主 | 東海興業株式会社 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 熊谷組名古屋支店 |
所在地 | 愛知県高浜市芳川町 |
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敷地面積 | 20,931.62m² |
建築面積 | 6,974.64m² |
延床面積 | 8,223.19m² |
構造規模 | S造 地上2 階 |
工期 | 2018年2 月1 日~2018年10月31日 |
最寄駅 | 名鉄三河線 三河高浜駅 |
撮影 | ㈱エスエス名古屋 |
既存建物を有効活用した経済的な工場の提案
約20年前に当社で設計し建設された元食品工場の躯体・外装を極力有効活用し、東海興業の新たな工場として生まれ変わらせるプロジェクトである。既存建物の鉄骨構造躯体及びアルスター鋼板の外壁・屋根は劣化損傷はほとんど見られず十分利用できる状態であった。既存建物の西側3 分の1 の部分は十分な階高があったため、既存のまま利用する方針とした(図1 )。不要な床の設備ピットを埋め、屋根をダブル折版化する改修工事を行い、断熱性能を高めて働きやすい環境に改善した。東側3 分の2 の部分は天井高さが不足していたため、 上屋を解体し、ほぼ同規模にて建て替える方針とした。その際、既存建物の下部構造(スラブ、基礎、地中梁、杭)は出来るだけ解体せず活用することとし、床の解体範囲をなるべく減らす工夫として、既存建物の外側に柱を新設し、内部の柱も出来るだけ少なくなるよう計画した(図2 )。
解体範囲を削減し、本来撤去されるべき杭を全て活用したことにより、全面解体・建替を行う場合と比較して、躯体工事費として20%程度、全体としては10%程度の工事費の削減を達成した。また、廃棄物を大幅に削減することで環境保全への貢献につながった。
白いシンプルな建物は、隣接する高浜第1 工場とイメージを合わせたもので、東海興業高浜工場としての一体感を大切にした。また、北側の近隣住宅への音や臭いに対する配慮として、北側外壁には窓を一切設けず、通風・採光のためにハイサイドライトを確保する計画とした。
(本梅誠、奥村幸生、西野培夫、築谷朋也/安井建築設計事務所)
東春信用金庫名古屋支店
建築主 | 東春信用金庫 |
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総合監修 | ティーファス |
設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 滝建設 |
所在地 | 愛知県名古屋市千種区春岡一丁目204、205 |
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敷地面積 | 547.17m² |
建築面積 | 239.56m² |
延床面積 | 383.34m² |
構造規模 | S造 地上2 階 |
工期 | 2018年3 月~2018年10月 |
最寄駅 | 地下鉄 池下駅 |
撮影 | アーキフォトKATO/加藤敏明 |
本建物は旧支店の老朽化による建替えに伴い建設された。敷地は名古屋市の幹線道路である広小路通り沿いに位置しているため、通りからの視認性に配慮し、通りに面して間口いっぱいに建てる計画とした。
必要最小限の機能を有したコンパクトな支店とするため、カウンターと営業室を完全に分離しカウンター内に窓口対応に必要な機器をレイアウトできるスペースを確保した。また、間仕切りは将来レイアウト変更する場合に対応できるようパーティションとした。
外観は1 階の開かれた店舗としての透明性のあるガラス張りと、2 階の金融機関としての堅固で重厚なイメージの大判タイル張りの素材の差異を対比的に使用し、親しみやすさと堅実さを表現した。
(大河内直哉、鈴木里美/伊藤建築設計事務所)
常葉大学静岡草薙キャンパス
建築主 | 学校法人常葉大学 |
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設計・監理 | 竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 静岡市駿河区弥生町 |
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敷地面積 | 38,414.35m² |
建築面積 | 14,892.55m² |
延床面積 | 50,928.22m² |
構造規模 | S造 地上6 階 |
工期 | 2016年9 月~2018年2 月 |
最寄駅 | JR東海道線 草薙駅 |
撮影 | エスエス名古屋 |
常葉大学は学生数4000人規模のフラッグシップとなる静岡草薙キャンパスを開設した。街の中心から10分程度で着いてしまう駅前の計画地は、利便性が高いだけではなく、周囲を豊かな自然に囲まれており、年間を通して温暖で気候条件も厳しくない。このような場所においてこそ、「自然・地域・交流の接点」となる新しいキャンパス(地方中核都市型キャンパス)が生み出せると考えた。建物は、大学の顔となりキャンパスの結界になる「ゲート」、豊かな自然環境を享受する「ステップテラス」、3 階以上で内部の異なる4棟のボリュームをまとめるルーバーなどの「スキン」によって特徴づけられている。
2 階の「キャンパスリビング」は、上下階もつなぐことで空間に都市性を与え、立体的なネットワークの中心として教室内に留まっていた「学び」を開放し、多分野、多機能が重なり合う交流の場としてインタラクティブな学びの場を提供する。吹抜上部のトップライトや隣接するテラスから光、風、緑を取り込むことで目的空間である教室や事務室へ豊かな外部環境を届ける媒体として機能している。南から北へと22本の桜を建物と対峙させながら植えて並木をつくる東側のオープンスペースには多様な活動を促す「食」「知」「育」「動」の4 つのテラスを設けた。それぞれは近傍にある1階内部の機能だけでなく2 階から4 階に設けたステップテラスとも立体的に連動することで、活動は地域とつながり、キャンパスは大学が掲げる「開かれた知と地の拠点」となっている。
(長谷川寛、伊藤潤、石黒紘介、牧村将吾/竹中工務店)
四日市北警察署
建築主 | 三重県 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 鴻池・大宗・堀田特定建設工事共同企業体(建築) 藤原・カキトー特定建設工事共同企業体(機械設備) 桑名電気・三重電設特定建設工事共同企業体(電気設備) |
所在地 | 三重県四日市市大字羽津4452番地 |
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敷地面積 | 12,661.43m² |
建築面積 | 2,335.22m² |
延床面積 | 5,755.30m² |
構造規模 | PCaPC造一部RC造 地上5 階 |
工期 | 2016年10月~2018年7 月 |
最寄駅 | 近鉄名古屋線 近鉄富田駅 |
撮影 | サンカメラ(①②③)、三重県警(④⑤⑥) |
津波浸水地域に立地し、老朽化・狭隘化が進んでいた旧四日市北警察署を、災害時緊急輸送路となる高速道路インターチェンジに近く、津波の恐れがなく県民を見守ることのできる高台の地に移転建替えするプロジェクトである。新たな治安・防災活動拠点として「強さ、正しさ、温かさ」をコンセプトに計画した。
いざという時に頼りになる「強さ」を持つ警察署として、一般来庁者エリアと警察エリアの明快なゾーニング、一般動線と護送動線の確実な分離により、警察機能を最大限に発揮できるよう配慮した。また大地震後にも機能を継続可能とするため、基礎免震構造を採用した。
地域の安全の象徴としての「正しさ」を持つ警察署として、PCaPC造とすることでロングスパンを実現し、自由度が高く正しい執務を行える空間とした。また外観はPCa部材によるグリッド構成によって、秩序ある規則正しい表情とした。このグリッドはメンテナンスバルコニーとなり、維持管理性の向上および被疑者逃走防止に貢献している。
県民や地域を受け入れる「温かさ」の表現としては、四日市の萬古焼や三重の豊かな森林資源をふまえた土と木の素材感を各所に用いた。外装タイルは土色のアースカラーとし、玄関庇軒天は県産木材張り、内部カウンターにも木材を用いた。またメインアプローチに面した1 階北西角部を、腰壁部を木目調としたガラスボックスとし、地域に開かれた明るく親しみやすい表情を演出した。
(寺西敦敏、奥村幸生/安井建築設計事務所)
『建築と社会』2018年3月号:東海支部会員作品
- あいち航空ミュージアム
- 岡崎信用金庫 城下町支店
- 岡崎信用金庫 名古屋支店
- KiTARA(豊田市駅前通り北地区第一種市街地再開発事業)
- 岐阜トヨタ自動車 本社ビル 金園店ショールーム・サービス工場
- グローバルゲート
- 三交イン伊勢市駅前
- 大日コンサルタント本社屋
- 高浜町立中央体育館
- 知多信用金庫 本店営業部・ほしざきホール
- 知多信用金庫 事務センター
- 知多信用金庫 阿久比支店
- 津市産業・スポーツセンター サオリーナ/三重武道館
- 南山大学名古屋キャンパス 新教室棟Q棟・多目的棟リアン
- 日本特殊陶業株式会社 ウェルネスセンター
- ネッツトヨタ中部プラザ豊田
- 藤田保健衛生大学 坂文種報德會病院
- 三重交通G スポーツの杜 伊勢 陸上競技場
- ヤマハモーター・イノベーションセンター
あいち航空ミュージアム
建築主 | 愛知県 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 清水・名工特定建設工事共同企業体 他 |
所在地 | 愛知県西春日井郡豊山町 |
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敷地面積 | 1,715,975.11m² |
建築面積 | 5,708.49m² |
延床面積 | 7,899.74m² |
構造規模 | S造 地上2 階、塔屋1 階 |
工期 | 2016年10月~2017年9 月 |
最寄駅 | 名古屋駅からバス「あいち航空ミュージアム」 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
県営名古屋空港周辺は、国産初のジェット旅客機であるMRJが生産されることもあり、航空機の開発・生産の場としてのみでなく、航空機産業の情報発信・人材育成・産業観光の場としての役割が期待されている。「あいち航空ミュージアム」はその中核施設として、周辺各施設との連携を行い、地域活性化を図ることを意図して建設された。
建設地は名古屋空港の南端に位置しており、その南側にはかつて国際線のターミナルであった大規模商業施設が隣接している。そこに残されていたボーディングブリッジを利用し、2 階で本館と接続している。建物西側をメインアプローチとし、東側には空港エプロンに直接面して格納庫用の大扉を設け、展示物となる航空機の出し入れを容易に行える計画としている。1 階が展示のメインフロアとなり、実機展示や各種コンテンツ、体験コーナーなどが展開されている。また、独立して使用できる航空メッセプラザがあり、様々なイベントを開催することができる。2 階をメインエントランスとし、ツアー受付窓口やオリエンテーションルームを設け、MRJミュージアム等の他施設との連携を図りやすい計画とした。
屋上には航空機の離着陸を間近に見られる展望デッキを設けた。
(清水 満、西野培夫/安井建築設計事務所 )
岡崎信用金庫 城下町支店
建築主 | 岡崎信用金庫 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 小原建設 |
所在地 | 愛知県岡崎市上六名二丁目8-8 |
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敷地面積 | 1,758.46m² |
建築面積 | 656.45m² |
延床面積 | 864.56m² |
構造規模 | S造 地上2 階 |
工期 | 2016年3 月~2016年11月 |
最寄駅 | 名鉄名古屋本線 東岡崎駅 |
撮影 | 鈴木文人写真事務所 |
岡崎市中心部における金融機関の店舗である。「四方八方への情報の発信と集積」、「街を やさしく灯す行燈」をコンセプトに計画された。周囲に向けて裏をつくらない全方位ガ ラス張りの正八角形の平面計画とし、中央にバックゾーン、それを囲うよう外周部に来 客ゾーンを設け、来客者が建物を一周回遊できるプランとした。敷地境界にフェンスを 設けず、建物周囲も回遊できる庭をつくり緩やかに街に開き、建物周辺から内部を見通 せ、衆人環視によるセキュリティを可能とすることで、シャッターを排除し、街の賑わ いづくりを試みた。また地元の作家や市民の作品を展示するギャラリー、2 階にはセミ ナールーム、岡崎の古文書を調査する研究室を設けることで公共貢献を行う金融店舗の 実現を試みた。
内装の木材は三河産のヒノキ、スギとし、地域の企業の参入の間口を拡げるために集成 材を避け、無垢の製材で計画した。強度や寸法安定性の低さを許容するディテールとす ることで、造作材のみではなく、外周のカーテンウォール、日除けのルーバーにも活用 範囲を拡げた。
ルーバーの形状は、建物全体でバランスの取れた日照量とするため、BIMモデルを作成 し、年間を通した日射のシミュレーションを行った結果、真南から真北にかけて徐々に 角度と奥行きの変化する特徴的な外観となった。
(塩田哲也、奥瀬陽子/日建設計))
岡崎信用金庫 名古屋支店
建築主 | 岡崎信用金庫 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 小原建設 |
所在地 | 愛知県名古屋市中区栄1 丁目11番22号 |
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敷地面積 | 892.66m² |
建築面積 | 589.98m² |
延床面積 | 3,789.88m² |
構造規模 | S造一部SRC造 地上7 階、地下1 階 |
工期 | 2016年4 月~2017年8 月 |
最寄駅 | 名古屋市営地下鉄東山線・鶴舞線 伏見駅 |
撮影 | 鈴木文人写真事務所 |
名古屋市内の歌舞伎演芸場を中心とした観劇街に構える岡崎信用金庫の名古屋の 拠点ビルで、支店機能を併せ持つ。震災時にも継続運用できるように免振構造を 採用している。
外観は、伝統和柄の「麻の葉模様」をモチーフとしたアルミキャストスクリーンで 建物全体をつつみ込み、伝統ある街並みに調和した清々しいデザインとしている。 夜間は「麻の葉模様」の中心一つ一つに埋め込まれたフルカラーLED照明が、 日没時間に合わせて自動点灯し、夜22時に自動消灯するまで、「四季」や「時」の 移ろいとともに様々な光演出を行い、街に彩を与える。
内部は、限られた敷地のなかで拡がりのある店舗空間を実現するため、全館避難 安全検証により竪穴区画を回避した3 層分の吹抜けを確保した。また、前面道路に 正対する室内の壁面を黒色カラーガラスとし、周辺の景色を写し込むことで奥行き 感を演出している。1 階の交差点に面した出隅部分には、外部からも鑑賞できる 「からくり人形」の展示スペースを設け、伝統ある街並みに寄与している。
(塩田哲也、片桐雄歩、田丸正和/日建設計)
KiTARA(豊田市駅前通り北地区第一種市街地再開発事業)
建築主 | 豊田市駅前通り北地区市街地再開発組合 |
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設計 | 日建設計、大成建設一級建築士事務所 |
監理 | 日建設計、大成建設工事監理一級建築士事務所 |
施工 | 大成・神谷組建設共同企業体 |
所在地 | 豊田市喜多町二丁目170番地 |
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敷地面積 | 8,101.02m² |
建築面積 | 5,848.91m² |
延床面積 | 42,470.40m² |
構造規模 | RC造、S造 地上26階、地下2 階 |
工期 | 2015年3 月~2017年11月 |
最寄駅 | 名鉄豊田線 豊田市駅 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
豊田市駅から東へ延びる駅前通り北地区の第一種市街地再開発事業である。
東西170mの敷地に、大きな壁を作らずボリュームを抑えるため、建物を大きく3 棟に分け、低層部を 繋ぐことで一体感を持たせた。渡り廊下で繋ぐことにより、棟間に南北の通り抜けをつくり、そこ に広場を設け、賑わいの要とした。低層部の店舗配置も画一的とせず、ずらし、非対称等の手法に より、そぞろ歩きが楽しめる配置とした。
また、敷地内にあった由緒ある喜多神社と山車蔵を広場に再配置し、記憶の継承と再生を図った。 それぞれの棟には、9 スクリーンのシネマコンプレックス、老人ホーム、約160戸の集合住宅等が 入居し、銀行、飲食店、物販店等、約20区画の商業店舗が低層部に並び、約300台の地下駐車場が 入る。
太陽光発電、下水熱利用、屋上緑化、再生材利用、地上緑化率10%等の環境配慮を行い、また、 エネルギー管理システムを導入し、省エネルギーも図っている。
(葛原定次、奥宮由美、石森秀一/日建設計)
岐阜トヨタ自動車 本社ビル 金園店ショールーム・サービス工場
建築主 | 岐阜トヨタ自動車株式会社 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 岐建 |
本社ビル | |
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所在地 | 岐阜市金園町9 丁目28番地 |
敷地面積 | 1,082.47m² |
建築面積 | 918.07m² |
延床面積 | 2,172.90m² |
構造規模 | S造 地上3 階 |
工期 | 2016年12月~2017年9 月 |
金園店 | |
【ショールーム】 | |
所在地 | 岐阜市金園町10丁目21, 22, 23, 24-2 |
敷地面積 | 1,654.96m² |
建築面積 | 1,457.80m² |
延床面積 | 2,826.22m² |
構造規模 | S造 地上2 階+塔屋 |
工期 | 2016年2 月~2016年9 月 |
【サービス工場】 | |
所在地 | 岐阜市雪見町1 丁目6, 8, 9, 10, 11 |
敷地面積 | 1,326.46m² |
建築面積 | 927.90m² |
延床面積 | 1,858.29m² |
構造規模 | S造 地上2 階+塔屋 |
工期 | 2016年2 月~2016年9 月 |
最寄駅 | JR岐阜駅 岐阜バス金園町9 丁目 |
撮影 | アーキフォト加藤、リフレクト |
岐阜トヨタ自動車創立75周年に合わせた本社及び金園店等の建替えプロジェクトである。
それぞれの既設建物は本社周辺に点在していたが、ショールームとサービス工場を併設し、駐車場を上層階に設置するなど機能を集約して再配置し、順次移転新築していくことで、営業を停止せずに建替えを行った。
国道248号線に面する本社ビルとショールームは、カーテンウォールを白いフレームで囲って施設全体の統一感を図り、和をイメージしたおだやかで格調の高い外観とした。本社ビルは階ごとに機能を分け、利便性・セキュリティ面を強化した。スタイリッシュなエントランスロビー、ウィング型トラックの乗入れ可能な屋根付駐車場、無柱空間としたフレキシブルな事務室、用途に応じた多様な会議室の設置等、お客様・従業員ともに快適に過ごすことができる建物とした。また太陽光発電・自家発電設備の設置、EHPとGHP空調の併用等、BCP・省エネ・環境に配慮している。
ショールームは、1 階ピロティ部にお客様駐車場・屋外展示場を設け、交通量の多い国道からも出入りしやすい動線を確保し、明るく訪れやすい店舗とした。内装は木調の床・ルーバー・格子状パーティション等、木質素材を使った落ち着きと暖かみのある空間とした。またサービス工場を隣接させることでお客様、従業員ともに使いやすい建物とした。整備工場ストールにはスポット空調を設け、通路のエア搬送ファンで攪拌することで夏場でも快適に作業できる環境としている。
(上西真哉、石橋洋二郎/伊藤建築設計事務所)
グローバルゲート
建築主 | ささしまライブ2 4 特定目的会社 |
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設計・監理 | 竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 愛知県名古屋市中村区平池町 |
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敷地面積 | 17,267.00m² |
建築面積 | 11,316.69m² |
延床面積 | 157,543.96m² |
構造規模 | S・RC・SRC造 地下2 階・地上37階・塔屋2 階 |
工期 | 2014年10月~2017年3 月 |
最寄駅 | 名古屋臨海高速鉄道あおなみ線 ささしまライブ駅 |
撮影 | 株式会社エスエス 新名 清 |
名古屋駅南西約800mに位置し鉄道と高速道路によって切り取られた街区である。1986年までは貨物駅として名古屋港から中川運河を通り資材を運ぶ陸の玄関口であったが長らくそのままとなっており、2007年にようやく国際交流と環境配慮を掲げた「ささしまライブ24地区」として事業コンペが行われた。当施設は中核として国際会議場やホテルを求められた。地区に大学や放送局、商業施設が徐々にでき、グローバルゲートの 完成によりコンペから10年後の2017年10月に街開きが行われた。中川運河も市の再生計画に基づき船着き場のある親水公園の整備がなされ水上交通も復活した。
グローバルゲートはデュアルタワー構成としタワー間には緑あふれる商業施設を配置して運河再生に呼応する象徴的なゲートとした。タワー外装はPCピラスターによる縦格子が特徴で、夜間は頂部照明により上空に光跡を引くことで運河を含めた周辺から灯台のように見せている。商業施設へは「オープンエアプラザ」及び「ウェルカムプラザ」という入江状に貫入させた外部空間からアプローチする。外周には歩道と合わせた ケヤキ並木を整備しており、更に内部までケヤキを引き込むことで路面店の雰囲気を創り込んだ。屋上には「第2 の大地」として回遊式の庭園を設けいつのまにか屋上に出る散策体験を狙いとした。タワー棟頂部に入るホテルには「空の浮きふね」というコンセプトで旅を演出するインテリアは時間によって空間の色と光の強さを変えることで6 層吹抜のロビー空間は外部と同期している。
(長谷川寛、鈴木貴紀、本多英行、上河内浩、神谷典子、柳澤隆、夏目将平/竹中工務店)
三交イン伊勢市駅前
建築主 | 三重交通株式会社、株式会社三交イン |
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設計・監理 | 株式会社東畑建築事務所 |
施工 | 日本土建株式会社 |
所在地 | 三重県伊勢市宮後1 丁目1-1 |
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敷地面積 | 977.46m² |
建築面積 | 418.68m² |
延床面積 | 3,317.16m² |
構造規模 | S造 地上12階 |
工期 | 2015年10月~2016年10月 |
最寄駅 | 近鉄山田線、JR参宮線 伊勢市駅 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
日本を代表する「お伊勢さん」に参拝する人は多い。その玄関口に建つホテルである。 駅前としての利便性を活かし、高層化を図り、昔ながらの宿場町に「和モダン」 テイストを取り入れた新しい都市景観の創出を試みた。
多くの観光客が利用することから、正面にホテルエントランス、店舗の入口を分か りやすく配置した。2 階にはホテルフロント、朝食ラウンジ、大浴場を配し、3 階 以上を客室とした。客室は、伊勢湾、神宮の杜を望める配置とし、窓外の景色から 伊勢の豊かさが感じられる。ホテルフロント、ロビーは、木目調の仕上げ、茶系の アクセント壁を用い、落ち着いた雰囲気を演出した。賑わいのある朝食ラウンジは、 大きな窓に和紙入りのブラインド、天井や壁には木目調の間接照明を施し、「和モダ ン」スタイルを徹底した。大浴場へ向かう廊下は伊勢の参道をイメージし、自然素 材である砂利や石を活用した。男性大浴場は落ち着きある濃色で仕上げ、女性大浴 場は淡い色調で柔らかさを演出し、旅の疲れを癒やす坪庭を施した。
(長谷恭典、谷口ひとみ/東畑建築事務所)
大日コンサルタント本社屋
建築主 | 大日コンサルタント株式会社 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 大日本土木株式会社 |
所在地 | 岐阜県岐阜市薮田南3-1-21 |
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敷地面積 | 2,137.00m² |
建築面積 | 1,479.49m² |
延床面積 | 4,099.28m² |
構造規模 | RC造 地上3 階 |
工期 | 2016年9 月~2017年9 月 |
最寄駅 | JR東海道線 西岐阜駅 |
撮影 | 滝田良彦 |
創業65周年を迎え、岐阜県庁に隣接する旧本社屋敷地に旧社屋の1.7倍の延べ面積 を有する新社屋を建設し、周囲に分散していた機能を集約。ワンフロア約1000㎡の 整形でオープンなワンルームオフィスを確保して設計部門となるコンサルタント事 業部を集約して業務効率の向上を図った。また階段で移動できる3 階建てに抑え、 オフィスの中央に開放的な階段とミーティングスペース、リフレッシュコーナーを 設けることにより階をまたいだ社内コミュニケーションを活性化し、知的生産性を 向上する。
土木コンサルタントの本社屋らしさを表現するため、明快で質実剛健な構造計画 をめざし、鉄筋コンクリート造の扁平な柱・梁(1200×600)による門型フレーム を3.6mスパンで連続したシンプルな筒状の構造体とした。また県道に面する東側 ファサードはその門型の構造フレームの断面を外観に表出した力強い表現とした。 外装は高断熱化を図り、通風や採光などの自然エネルギーを活用することにより、 環境にやさしく省エネルギーで快適な執務環境とした。
BCP計画は、大地震に備え耐震構造Ⅱ類を採用し、洪水対策として1 階床高を周 辺地盤面より上げ、受水槽設置高さはハザードマップを指標として設定した。さ らにBCP対応発電機、井水設備を備え、災害後の業務の継続を可能とした。
(小谷陽次郎、岡田宏介、廣野大樹/日建設計)
高浜町立中央体育館
建築主 | 高浜町 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 清水・山惣ホーム・ 弥栄電設特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 福井県大飯郡高浜町宮崎92号1 番1 |
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敷地面積 | 15,032.14m² |
建築面積 | 3,258.90m² |
延床面積 | 4,209.39m² |
構造規模 | RC造(一部SRC造、一部S造)、地上2 階 |
工期 | 2016年4 月~2017年3 月 |
最寄駅 | JR小浜線 若狭高浜駅 |
撮影 | エスエス北陸 |
高浜町中央体育館は福井県高浜町の高台にある総合グラウンドの体育館の建替えである。総合グラウンドは山を削り造成した場所に建てられており、西側・北側は高低差12mの崖地、北側は土砂災害特別警戒地域に指定される崖地になっている。限られた敷地の中で、さらに駐車場台数200台以上を設置するという、平面的に狭い敷地の中での計画が求められた。
敷地の制約、低コストが求められたことから、無駄な空間を徹底的に減らし、体育館に必要な最低限のボリュームの、極めてコンパクトな体育館を実現した。また、落雪防止や採光・通風といった体育館の安全対策・環境装置は体育館の周囲に設けられた高窓部分で全てを充足し、シンプルなカタチを実現している。
アリーナの柱と大梁の接合部は剛接合とし、H900×300の鉄骨梁をSRCの柱の中に埋め込み、梁せいを抑えることで、アリーナの高さを抑える計画としている。さらに、アリーナ大梁の剛接合により断面が大きくなったSRC柱を最大限に活かし、アリーナ周囲の2 階を持ち出しとすることで、崖地で制約される敷地の中で、中空に浮いたランニング走路を実現している。また、積雪荷重で大きくなる小梁を斜めに掛けることで、高浜町の伝統工芸品である「組子指物」を思わせる意匠性の高い構造フレームを実現した。
アリーナの空調はコスト比較から、ガス熱源の床置GHPとした。6 機ある屋内機を分散配置させ、さらに直近に室外機を隣接させることで、ダクトスペースと冷媒配管を最小限にし、1 階の階高を4200で抑えた、コンパクトな体育館の実現に寄与している。
原子力災害時の外気の遮断、スポーツ利用時に配慮し、大きな窓を設けないつくりとしている。その代り、アリーナ周囲のランニング走路に高窓を設け、間接光での自然採光と中間期の快適な通風を実現している。
(瓦田伸幸、鵜飼浩平、植 政人/東畑建築事務所)
知多信用金庫 本店営業部・ほしざきホール
建築主 | 知多信用金庫 |
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設計・監理 | 日建・伊藤 設計監理共同企業体 |
施工 | 七番・沢田特定建設工事共同企業体 |
所在地 | 愛知県半田市星崎町3丁目 |
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敷地面積 | 1,243.34m² |
建築面積 | 991.70m² |
延床面積 | 2,514.95m² |
構造規模 | S造 地上3 階+塔屋 |
工期 | 2016年8 月~2017年10月 |
最寄駅 | 名鉄河和線 知多半田駅 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
知多信用金庫は創立90周年記念事業として、老朽化・過密化していた本部ビルを隣接する3 つの敷地にそれぞれ本部機能、事務センター機能、本店営業部機能を持つ3 棟に分けて建替える計画を進めてきた。これら3 棟は三身一体の施設として建物のボリュームや、共通のモチーフである縦基調のデザインや使用する石材やタイルの色調を考慮した。第1 段として完成したこの建物は本店営業部としての重厚感や安定感と、地域に開かれた多目的ホールとしての開放感や親しみやすさの両立を目指した。
花崗石(浪花白)張りのリズミカルな縦格子で覆われたガラスの外装は周辺への圧迫感を低減し、内外のつながりを意識したものとなっている。この縦格子はガラスを支える外方立として機能し、内部からはすっきりとした軽やかな印象となるよう配慮した。
敷地東側の国道に面した本店営業部は高い天井や落ち着いた色調の家具類でまとめられ、本店としての格調と開放感のある空間となっている。また300人が収容できる3 階の多目的ホール「ほしざきホール」は、明るい色調で木を基調に温かみのあるホール空間や、内壁に地元知多半島で製作されたタイルを使用した落ち着いたホワイエ空間を提供している。
工事は建築主の意向により地元に本拠地を置く施工会社が行った。地場の素材を使い、地域の力をあわせてこの建物は完成した。この地域に親しまれ、共に歩んでいく建物となっていくことを期待している。
(冨田昌志、松本拓也/伊藤建築設計事務所)
知多信用金庫 事務センター
建築主 | 知多信用金庫 |
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設計・監理 | 日建・伊藤 設計監理共同企業体 |
施工 | 大林組 |
所在地 | 愛知県半田市 |
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敷地面積 | 971.13m² |
建築面積 | 589.31m² |
延床面積 | 2,876.40m² |
構造規模 | RC造 地上6 階 |
工期 | 2016年10月~2017年12月 |
最寄駅 | 名鉄河和線 知多半田駅 |
撮影 | 車田 保(車田写真事務所) |
名鉄知多半田駅至近に建つ知多信用金庫本部ビル建替計画のうち、第Ⅱ期にあたる事務センターの計画である。
再編にあたり、現本部ビル跡地を含む隣接3 敷地に本部・事務センター・本店営業部と金融機関における中枢業務を3 建物に分離することで、性質の異なる各業務に最適な機能性・防犯性・意匠性を明快に打ち出す計画とした。
初期より三位一体の見せ方を意識したプロポーション検討を行い、大きさの異なる3 つのヴォリュームに縦基調の外装のリズムと石・タイルという素材の統一感を施し、街の目抜き通りである国道沿いに金融機関に相応しく「新しいちたしん」を一群で表現しようと意図している。
地域経済の核となる金融機関として「安全・安心」は事業全体のテーマであるが、特に事務センターでは、RC造+基礎免震構造による堅牢な構造計画及び100%デマンドバックアップと更新性に配慮した設備計画により、高度なBCP性能とロングライフ建築を実現した。
2017年9 月完成済の本店営業部・2020年1 月完成予定の本部と合わせて、創立90周年を迎えた知多信用金庫のキャッチフレーズ「いつまでも夢と希望のお手伝い」を次の100年につなげる新たな拠点創りを目指している。
(小谷陽次郎、森岡俊介/日建設計)
知多信用金庫 阿久比支店
建築主 | 知多信用金庫 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 七番組 |
所在地 | 愛知県知多郡阿久比町大字阿久比字駅前1 丁目7 番地 |
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敷地面積 | 1,159.80m² |
建築面積 | 537.70m² |
延床面積 | 671.56m² |
構造規模 | S造 地上2 階+塔屋 |
工期 | 2017年2 月~2017年10月 |
最寄駅 | 名古屋鉄道 河和線 阿久比駅 |
撮影 | アーキフォト加藤、リフレクト |
阿久比支店は名古屋鉄道河和線阿久比駅から100mほど南の敷地にて1983年から営業をしてきたが、さらなるサービス向上と地域貢献を目的に移転新築を行った。
敷地は、主要幹線道路と阿久比駅前ロータリーの交差点に面した場所であり、普段から多くの地元住民の方が往来している場所である。また、すぐそばにある阿久比町役場や阿久比中学校・高校と駅前広場をつなぐ場所でもあることから、交差点に位置する街の「顔」としての機能を意識して計画した。
外観は青と白、ガラスとタイルの対比によりメリハリのあるものとし、駅前から主要幹線に流れるように続く白い庇が伸びやかな印象を与えている。またロビーに面した日差し対策の大型日除けルーバーと駐輪場の目隠しルーバーは木調色として外観のアクセントとなっている。
内部は玄関からATMコーナー・ロビー・営業室へと前面道路沿いを流れるように空間をつなぎ、高い天井とガラスによる開放的な空間となっている。この空間は夕暮れには「行燈」のように通りにあかりを作り出し、道行く人の安心や安全に寄与するとともに駅前空間の目印としても機能している。また通りに面した外壁はセットバックをして歩道にゆとりを生みだし、地域の方の往来がより円滑になるよう配慮した。
周辺地域に新たなリズムが生まれ、この建物が根づいていくことを期待する。
(冨田昌志、石橋洋二郎/伊藤建築設計事務所)
津市産業・スポーツセンター サオリーナ/三重武道館
南山大学名古屋キャンパス 新教室棟Q棟・多目的棟リアン
建築主 | 学校法人 南山学園 |
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設計 | 日本設計・大林組 南山大学設計共同企業体 |
監理 | 日本設計 |
施工 | 大林組名古屋支店 |
所在地 | 名古屋市昭和区山里町18 |
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敷地面積 | 118,001.11 |
建築面積 | 新教室棟Q棟: 2,187.11m² 多目的棟リアン:1,077.71m² |
延床面積 | 新教室棟Q棟: 13,602.72m² 多目的棟リアン:1,720.28m² |
構造規模 | 新教室棟Q棟:RC造 地下1 階 地上7 階 |
工期 | 新教室棟Q棟:2015年6 月~2017年2 月 多目的棟リアン:2015年6 月~2016年7 月 |
最寄駅 | 名古屋市営地下鉄名城線 名古屋大学駅 |
撮影 | 近代建築社(トロロスタジオ 谷川ヒロシ) |
本建物は、自動車関連部品で高い世界シェアをもつ日本特殊陶業の、広大な製造工場敷地内にある厚生施設である。工場で働く社員に対して癒しと憩いを与える場をつくるという事業主からの要望を受け、設計にあたっては、社員同士のコミュニケーションをより活発にする「つなぐ広場の創造」をコンセプトとしている。建物は、1 階に食堂機能、2階に厚生施設機能を配置し、外装は工場内の景観との調和とLCCへの配慮から、金属サンドイッチパネルを採用した。
食堂は、配膳から下膳まで動線交錯のないスムーズな流れをつくるため、1 WAY動線とした。また、15mのロングスパンを採用し、開放的かつフレキシブルな家具レイアウトを可能にする無柱空間を実現している。食堂の開口部はフルハイトサッシとし、直射光を遮る軒天を設けることで、柔らかく降りそそぐ太陽光と季節の変化を感じさせる彩り豊かな前庭の景観を楽しむ空間を創出した。更に天井を食堂内部と前庭をつなぐように流れる曲線状の間接照明とすることで、魅力的で落ち着いた食事空間を演出している。1階エントランスには、吹抜空間と幅3mの大階段を設け1階と2階を積極的につなぎ、北面のカーテンウォールより室内に取り入れられる控えめな天空光が、魅力的なエントランス空間を演出している。2階には、食後の休憩や社員の部活動やワークショップなどの様々な活動に利用できる明るいコミュニティプラザを設けている。コミュニティプラザに寄り添うようにスポーツルームや和室も配置し、社員の多彩な活動に対応できる癒しと憩いの厚生施設を実現した。
(鶴海秀一郎/大林組)
日本特殊陶業株式会社 ウェルネスセンター
建築主 | 日本特殊陶業株式会社 |
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設計・監理 | 大林組名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大林組名古屋支店 |
所在地 | 愛知県小牧市大字岩崎原一丁目243番地 |
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敷地面積 | 41,599.89m² |
建築面積 | 1,329.20m² |
延床面積 | 2,400.14m² |
構造規模 | S造、地上2 階 |
工期 | 2016年6 月~2017年1 月 |
最寄駅 | 名古屋鉄道小牧線 小牧駅 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
本建物は、自動車関連部品で高い世界シェアをもつ日本特殊陶業の、広大な製造工場敷地内にある厚生施設である。工場で働く社員に対して癒しと憩いを与える場をつくるという事業主からの要望を受け、設計にあたっては、社員同士のコミュニケーションをより活発にする「つなぐ広場の創造」をコンセプトとしている。建物は、1 階に食堂機能、2階に厚生施設機能を配置し、外装は工場内の景観との調和とLCCへの配慮から、金属サンドイッチパネルを採用した。
食堂は、配膳から下膳まで動線交錯のないスムーズな流れをつくるため、1 WAY動線とした。また、15mのロングスパンを採用し、開放的かつフレキシブルな家具レイアウトを可能にする無柱空間を実現している。食堂の開口部はフルハイトサッシとし、直射光を遮る軒天を設けることで、柔らかく降りそそぐ太陽光と季節の変化を感じさせる彩り豊かな前庭の景観を楽しむ空間を創出した。更に天井を食堂内部と前庭をつなぐように流れる曲線状の間接照明とすることで、魅力的で落ち着いた食事空間を演出している。1階エントランスには、吹抜空間と幅3mの大階段を設け1階と2階を積極的につなぎ、北面のカーテンウォールより室内に取り入れられる控えめな天空光が、魅力的なエントランス空間を演出している。2階には、食後の休憩や社員の部活動やワークショップなどの様々な活動に利用できる明るいコミュニティプラザを設けている。コミュニティプラザに寄り添うようにスポーツルームや和室も配置し、社員の多彩な活動に対応できる癒しと憩いの厚生施設を実現した。
(鶴海秀一郎/大林組)
ネッツトヨタ中部プラザ豊田
建築主 | ネッツトヨタ中部株式会社 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 伊藤工務店 |
所在地 | 愛知県豊田市細谷町七丁目18番地 |
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敷地面積 | 7,249.02m² |
建築面積 | 3,314.00m² |
延床面積 | 5,003.65m² |
構造規模 | S造 地上2 階 |
工期 | 2017年2 月~2018年2 月 |
最寄駅 | 名古屋鉄道三河線 土橋駅 |
撮影 | スタジオセゾン |
豊田市内の国道沿いに位置するトヨタカーディーラー店舗の建替えである。2 層吹抜けの開放的なショールームには、大型キッズスペースやラウンジ、女性にやさしいパウダールームを設け、多様な年代のお客様が快適に過ごせる店舗とした。ラウンジは建具を全開することで屋外展示場と一体的に使用でき、様々なイベントに活用できる。
2 階にはモータースポーツファンをターゲットとした「GRガレージ ミッドレス豊田」のショールーム、カスタマイズ工場を配置した。中央のオープン階段でつなぐことで、気軽にモータースポーツの魅力を実感できる空間とした。1 階ショールームは天井高約9.5mの開放的な空間であるが、空調設備に天井埋込型サーキュレーターと床埋込型ヒーターを併用することで、効率よく快適な温度環境を実現している。またサービス工場にもエア搬送ファンを併用した空調設備を設け、お客様だけでなく全てのスタッフが快適に過ごすことのできる店舗とした。
ガラスと曲線を描いた大屋根で構成した外観は、明るく開放的なショールームにスピード感を与え、「クルマのまち」豊田市の新たなランドマークとなっている。
(上西真哉、神保朋之/伊藤建築設計事務所)
藤田保健衛生大学 坂文種報德會病院
建築主 | 学校法人 藤田学園 |
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設計・監理 | 大林組名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大林組名古屋支店 |
所在地 | 名古屋市中川区尾頭橋3 丁目6 番10号 |
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敷地面積 | 5,918.31m² |
建築面積 | 1,360.53m² |
延床面積 | 7,633.87m² |
構造規模 | S造 地上9 階 塔屋1 階 |
工期 | 2015年4 月~2016年6 月(新棟竣工) ~2017年6 月(既存改修完了) |
最寄駅 | JR東海道線 尾頭橋駅 |
撮影 | エスエス名古屋支店 |
藤田保健衛生大学坂文種報德會病院は、名古屋駅からも近い都市型病院である。既存病院施設は、昭和5 年に前身である「坂種病院」が開院して以来増築改修を繰り返し、施設の複雑化・老朽化が進んでいた。
今回、藤田学園創立50周年を期に、大学病院・教育病院としての機能拡充するため、既存棟の一部を撤去し161床の新棟を建設した。新棟では、病室の拡充はもとより、リハビリテーション施設の設置、ICU・検査部門の強化、エントランスやコンビニ・カフェ等の利便施設の充実を行った。一方、既存病院施設を稼働させながらの建設であり、施工インパクトを最小化することが必要であった。そこで、既存施設の改修活用によるスタッフエリア充実等、医療継続に配慮したトータルな環境整備を目指した。
古くから続く商店街と住居が混在隣接する生活色の濃い周辺地域特性にあって、この病院は、地域に馴染む親しみやすいオーソドックスなデザインとした。
病院の顔が新しくなっても「ばんたねさん」と呼ばれ続け、地域の人々から信頼される病院として、先進医療を提供している。
(一瀬直樹/大林組)
三重交通G スポーツの杜 伊勢 陸上競技場
建築主 | 三重県 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 清水・堀崎・伊藤特定建設工事共同体 |
所在地 | 三重県伊勢市宇治館町 |
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敷地面積 | 110,069m² |
建築面積 | 8,387m² |
延床面積 | 13,601m² |
構造規模 | RC・一部S造 地上4 階、地下1 階 |
工期 | 2016年3 月~2017年10月 |
最寄駅 | 近鉄鳥羽線 五十鈴川駅 |
撮影 | リフレクト |
伊勢神宮に隣接する五十鈴公園内に位置する本競技場は、平成33年開催の三重国体メイン会場に予定されている。築45年以上が経過し、施設の老朽化や公認競技場としての現在の施設基準への対応を目的に、メインスタンドの改築をはじめ、サイド・バックスタンドの全面リニューアルを行なった。
神宮につながる杜の中の競技場として「架構美の継承」「山並み景観との調和」「素材感」を設計コンセプトに、「伊勢」に呼応した競技場をめざした。
メインフレームはPCa化された直線部材により、組柱や木組といった伝統技術をイメージさせる架構デザインとし、構造体そのままを外観デザインに表した。また、張弦梁構造により高さを抑えたフラットな屋根としボリューム感を抑え、背後の山並み景観との調和を図った。さらにコンクリートや鉄による構造部材の力強さに加え、親しみを感じさせる県産木材による外壁ルーバーや玄関庇など、素材そのものの質感や魅力を活かすことを狙った。
エントランス横に設けられたアプローチテラスは、隣の補助競技場での選手のウォーミングアップ姿が一望でき、観客をスムースにスタンドへ導くだけでなく緊張感やわくわく感を誘う仕掛けとなっている。観客が競技場全体を回遊できる動線や立見席を新たに整備し、バリアフリー化に対応するとともに様々な観戦が楽しめる競技場に生まれ変わった。
(上枝真二、三好裕司、原正二郎/安井建築設計事務所)
ヤマハモーター・イノベーションセンター
建築主 | ヤマハ発動機株式会社 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 安藤ハザマ |
所在地 | 静岡県磐田市新貝2500 |
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敷地面積 | 163,581.13m² |
建築面積 | 1,946.65m² |
延床面積 | 8,634.00m² |
構造規模 | S造 地上5 階 |
工期 | 2016年1 月~2016年12月 |
最寄駅 | JR東海道本線 磐田駅 |
撮影 | 車田 保(車田写真事務所) |
ワークスタイルを育み、ものづくりを変えるプラットフォーム ヤマハ発動機グループのデザインの司令塔として計画された、先行プロダクトの研究開発拠 点。設計プロセスと並行して望ましい働き方について議論を交わし、ワークスタイルコンセプト 「Double Decker Design Approach」を導き出した。それを実現するため、各階を吹抜けと階段で ダイレクトに繋いでセキュリティラインを排した「立体的なワンルーム」とし、その中心にコミュ ニケーションの拠点となる「ダンスフロア」を据えた。五感全体で発想してものづくりをするデザ イナーやエンジニアのマインドをかきたてるように、メカニカルな設えの空間にアクティビティを 促す様々な仕掛けを設けて、その仕掛けや居場所を自らカスタマイズできる余白を持たせてある。
ワークスタイルを考えることから生まれた空間がワークスタイルを育み、ものづくりを変えていく。 デザイン本部独自のプラットフォームから新たなイノベーションが起こることを期待している。
(小谷陽次郎、平野章博/日建設計)
『建築と社会』2017年4月号:東海支部会員作品
井村屋アイアイタワー
建築主 | 井村屋株式会社 |
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設計・監理 | 株式会社 東畑建築事務所 |
施工 | 岐建株式会社 |
所在地 | 三重県津市高茶屋七丁目1 番1 号 |
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敷地面積 | 59,346.59m² |
建築面積 | 1,606.47m² |
延床面積 | 3,133.39m² |
構造規模 | S造 地上3 階 |
工期 | 2015年7 月~2016年4 月 |
最寄駅 | 近鉄名古屋線 久居駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
井村屋アイアイタワーは-25℃の冷凍保管倉庫と社員食堂の複合施設である。各用途で温度帯が異なるため、積層させることで、明確な温度帯区分を行っている。高さ30mの冷凍保管倉庫は、折板のラジアル加工で屋根と壁が連続する曲面壁とし、まちにやわらかな表情を魅せている。社員食堂アイアイラウンジは企業の代表的な商品である「あずき」をモチーフにした厨房を中心に、様々なスペースを点在させ、社員のシチュエーションにより、多様なコミュニケーションが生まれる場所づくりを行った。壁や家具には三重県産木材を多用し、地域の素材に囲まれた場所で心と体を休める食堂を実現した。
(瓦田伸幸、高木耕一、野呂和弘、鵜飼浩平/東畑建築事務所)
小野薬品工業株式会社 フジヤマ工場 第2倉庫
建築主 | 小野薬品工業株式会社 |
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設計・監理 | 大林組名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大林組名古屋支店 |
所在地 | 静岡県富士宮市北山字東下組5221番他 |
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敷地面積 | 110,225.36m² |
建築面積 | 24,339.67m² |
延床面積 | 2,435.09m² |
構造規模 | S造 地上1 階 |
工期 | 2015年11月~ 2016年8月 |
最寄駅 | JR身延線 富士宮駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
主力工場であるフジヤマ工場の更なる機能拡充を目的とした、原料・中間品・完成品を保管する医薬品倉庫。医薬品製造上の厳しい品質管理を要する内部空間と、富士山麓の豊かな自然に囲まれた外部空間を結ぶ、アプローチ空間・搬入導線・荷捌き場を一体的に包括する端整な大庇による構成を目指した。
建物高さが低く規模も限られる中、機能的な搬出入と合理的な設備配置が求められた。倉庫と管理部分の異なる天井高さを利用し配置した屋外機スペースは、地盤測量データを入れたBIMを活用し、大庇によりアプローチから視認できない構造とし、内外共に軽やかな建物構成を実現した。BCP対策として、特定天井相当の耐震天井の採用は勿論、有事後の事業継続性と空間機能の維持への配慮を施した。耐震天井を実現するため倉庫外周部と外装間にクリアランスを設ける一方、防虫対策としては内装壁面ボード二重張りや異種取合いディテール(廻り縁スライド部の全域ガスケット設置、設備吊材と天井開口部取合いのガスケット付スライドプレート)等を施し、復旧時の補修範囲を最小限とする工夫をしている。
限られた倉庫空間において出来る限り効率的な製品の保管を可能とするため、移動ラックを用いた倉庫管理システムを導入し、既設倉庫と連動した物流システムの統合整備もおこなった。移動ラックにはレースレス方式を採用し、粉塵などの異物混入の防止や制振性能の確保を実現した。
外壁材は『富士山等眺望保全地域』の厳しい規制に適応するため、金属サンドイッチパネルを用いた落ち着きのある色彩にするとともに、金属の素材感を活かし、富士山麓の澄んだ空気を通過した陽の光に映える清白な外観を目指した。
(峰岸 渉/大林組)
株式会社日特スパークテック東濃 二野本社工場 厚生棟
建築主 | 日本特殊陶業株式会社 |
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設計・監理 | 大林組名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大林組名古屋支店 |
所在地 | 岐阜県可児市二野字南山2706-3 他 |
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敷地面積 | 118,468.75m² |
建築面積 | 1,287.26m² |
延床面積 | 1,246.54m² |
構造規模 | S造 地上1 階 |
工期 | 2015年8 月~ 2016年2 月 |
最寄駅 | JR 太多線 可児駅、名鉄広見線 新可児駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
世界NO.1のスパークプラグの絶縁体工場である株式会社日特スパークテック東濃二野本社工場を支える厚生施設が完成した。食堂、診療所、事務室等で構成されている。
食堂から伸びた庇は、日射を遮蔽し、建物周辺の道路や工場エリアからの視線を適切に制御するとともに、テラスに軒を与えることで縁側的な親近性のある空間を提供している。
食堂と緩やかに連続するテラス・休憩スペース・中庭は、回遊性のある空間配置として、従業員の方々の多様で広がりのあるコミュニケーションの場とした。
食堂は、天井高4 mの無柱空間とし、Low-Eペアガラスと簡易エアフローとすることで、開放性と省エネ性を両立させ、工場執務から気持ちを切り替えてリフレッシュしていただける居心地のよい空間とした。
(塚田恭子/大林組)
最終組立格納庫
建築主 | 三菱重工業株式会社 |
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設計・監理 | 菱重ファシリティー& プロパティーズ・竹中工務店 |
施工 | 菱重ファシリティー& プロパティーズ |
所在地 | 愛知県西春日井郡豊山町 |
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敷地面積 | 50,572.34m² |
建築面積 | 23,882.36m² |
構造規模 | S造 地上5 階 |
工期 | 2015年1 月~2016年2 月 |
最寄駅 | 名鉄犬山線 西春駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
この施設では国産初のジェット旅客機の量産最終組立が行われ、世界一流の航空機生産を目指すとともに、開かれた・見せる工場としてカスタマー等の見学施設も備えている。
「見せる工場」としての顔づくりとして、名古屋空港に向かい合う約140m×13.5mの電動大扉にはグラフィックを施し、
航空機生産地域であることをアピールしている。内部は約150m角の平面を大きく2つのエリアに分割し、無柱空間で
最終組立がおこなわれる。工場内は空を連想させる紺色(成層圏)とオレンジ色(朝焼け)でアクセントされ、見学者歩廊を
巡りながら航空機生産を間近に見ることができ、日本のモノづくりの最先端を実体感することができる。
安全性・信頼性に優れた71.25mの無柱の製造ラインは、5階のトラス内にある生産部分を中央に対称配置することで、
トラス変形の最小化を図るとともに、耐震要素を集約した中央部の地震時の基礎の浮き上がりを防止し、構造バランスと
耐震性を両立した架構計画としている。トラスピッチは、桁行方向はトラス部材・小梁・クレーン走行レールを最小化
するスパンを選択することと、ロングスパン床の使用により部材数の最小化を図っている。
(竹内資雄/菱重ファシリティー&プロパティーズ・吉岡英一/竹中工務店)
三交不動産株式会社 津丸の内ビル
建築主 | 三交不動産株式会社 |
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基本設計 | 株式会社青島設計 |
設計・監理 | 大林組名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大林・日本土建建設工事共同企業体 |
所在地 | 三重県津市丸之内9 番18号 |
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敷地面積 | 2,635.74m² |
建築面積 | 809.17m² |
延床面積 | 5,504.73m² |
構造規模 | S造 地上8 階・搭屋1 階 |
工期 | 2014年2 月~ 2015年12月 |
最寄駅 | 近鉄名古屋線 津新町駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
三重交通グループの不動産会社である三交不動産株式会社の60周年記念事業として、「人・地域・環境にやさしい新本社ビル」をコンセプトに老朽化した本社ビルの建て替えを計画した。
計画地は、県内有数の幹線道路である国道23号線上の岩田橋のたもとにある。川沿いの開けたロケーションから視認性の高い東側ファサードは、岩田川から伊勢湾へ流れる水面のさざなみをモチーフとし、青いガラスと白いアルミパネルとの交互の連なりにより構成した。このシンボリックな外観は、「津波避難協力ビル」の認定を受けた同建物のアイコンとして近隣にも親しまれる意図がある。
エントランスは重厚な石貼の床・壁と、暖かみのある木目調天井の組み合わせにより、新本社ビルのエントランスにふさわしい構えとした。受付カウンターは旧ビルのエントランスの大理石を再利用し、積み重ねてきた歴史を未来へ継承する。
執務フロアは、コアを最小にし、整形なワンルームの執務室を最大限確保する計画とし、間仕切りやパーティションを極力排除したオープンスペースとすることで、社員同士の対話を促進している。
インテリアイメージは、「生活創造産業のトータルプランナー」を掲げる同社らしく、働く人にもやさしいアースカラーで統一した。
(佐竹 翼/大林組)
中京テレビ本社ビル
デンソーグローバル研修所・保養所「AQUAWINGS」
建築主 | 株式会社デンソー |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 大林組( 建築工事) きんでん( 電気設備工事) 新日本空調( 機械設備工事) 住商インテリアインターナショナル( 家具・備品) |
所在地 | 静岡県浜松市北区三ヶ日町 |
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敷地面積 | 26,404.02m² |
建築面積 | 3,764.26m² |
延床面積 | 11,263.85m² |
構造規模 | S造 地上5 階 |
工期 | 2014年11月~2016年3 月 |
最寄駅 | 天竜浜名湖鉄道 東都筑駅 |
撮影 | フォワードストローク |
静岡県浜松市浜名湖畔から約40mの小高い丘の頂上に位置する、平日は国内外グループ企業の管理職育成を行うためのグローバル研修センター、週末は職員関係者の保養所として利用する一体施設である。
外観は、自然の地形に馴染む緩やかな流線型の平面形状とし、上階につれて段々にセットバックさせることにより風景との調和を図りつつ、深い庇により建物の圧迫感を軽減することで、新たな地形を積層したかのような特徴的なデザインとした。アプローチから突然目の前に現れる流線型の外観を見ることで、来館者に日常とは違う非日常がスタートする期待感を感じさせる意図もある。
受身ではなく自ら積極的に参加する研修、そして、何より想像力を刺激することを目指し、自分の気持ちに合った心地の良い場所を研修者自身が見つけ自由に使うことが出来るようにバリエーションに富んだ空間を配置した。素晴らしい風景を空間構成の重要なマテリアルと捉え、1 階のグランドエリア、浜名湖側のレイクエリア、山側のフォレストエリア、最上階のスカイエリアと位置付け、内装・照明・家具は、各エリアのキャラクターを想起するデザインとした。切り取った風景は季節、時間、天候によりうつろうため、生きたマテリアルとして空間に変化を与える。また、各階をつなぐ吹抜け空間上部のトップライトには日射拡散装置を設置し、吹抜け空間を木洩れ日のような刻々と変化する光で満たした。
初めて訪れる人々の創造力を誘発しながら、訪れる度に新しい刺激を感じさせる建築である。
(葛原定次、奥宮由美、塩田哲也、鈴木豊一郎、眞庭 綾/日建設計)
豊田市生涯学習センター 前林交流館
建築主 | 豊田市 |
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設計・監理 | 豊田市都市整備部建築住宅課、東畑建築事務所 |
施工 | トヨタT & S ・大進 建設共同企業体 |
所在地 | 愛知県豊田市前林町行田 |
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敷地面積 | 4,325.10m² |
建築面積 | 1,766.58m² |
延床面積 | 1,601.06m² |
構造規模 | W造・一部S造 地上1 階 |
工期 | 2014年12月~2016年3 月 |
最寄駅 | 名鉄三河線 若林駅 |
撮影 | センターフォト |
愛知県豊田市、田園風景が広がる農村地域に建つ地域住民のための交流館の移転新築計画である。豊田市は自動車産業で有名であるが、林業も盛んであり、市として「豊田市公共建築物等の木材利用の促進に関する基本方針」を定め、積極的な木材利用の促進を進めている。本計画は市の基本方針に則し、豊田市内の交流館として、はじめて「木造化」に取り組んだプロジェクトである。
「木の見せ方」~木造の魅力を引き出す計画~
L型の平面の正面側に配置されたコミュニティーホールから背後に配置された活動室に直接アクセスすることで廊下をなくし、建物全体の一体感を共有できる計画としている。準耐火構造の仕様は、正面に配置されたコミュニティーホールは燃えしろ設計、背後に配置された活動室は石膏ボードによる被覆とし、空間の質に差をつけることで、コスト削減を図りながら木造ならではの木に包まれた魅力的な空間を実現している。また、小部屋で構成される活動室で水平力を負担することで利用者の「たまり場」となるコミュニティーホールは柱や耐震壁の無い広々としたスペースを確保している。
適材適所の構造計画
主構造は豊田市産の小径木(柱:120×120、梁:120×240)を基準とし、一部の大スパンの部材は集成材又は認定工法の平行弦トラス梁で構成している。一般的に国産材のスギとヒノキとすることで、公共建築物としてのコストの最適化を実現している。なお、施工者の努力により全体の80%が豊田市産材となった。
(寺尾達也、鵜飼浩平/東畑建築事務所)
百五銀行 丸之内本部棟
建築主 | 株式会社百五銀行 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 日本土建・竹中工務店共同企業体 |
所在地 | 三重県津市丸之内31-21 |
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敷地面積 | 3,917.61m² |
建築面積 | 2,190.96m² |
延床面積 | 17,331.65m² |
構造規模 | SRC造・S造(中間層免震) 地上12階 |
工期 | 2013年7 月~2015年9 月 |
最寄駅 | 近鉄名古屋線 津新町駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
新本館ビル2 棟(本部棟、本店棟)の計画のうち、この建物は、本部機能に特化した本部棟である。百五銀行のルーツである津藩の城址に隣接し、乱積みの石垣に調和する石張りの低層部と深い庇の高層部による「和」の景観とした。
東海・東南海地震の津波や河川氾濫による浸水を想定して中間層免震構造とし、重要機械室を免震層の上部に配置した。低層部は津波に耐える鉄骨鉄筋コンクリート造、高層部の事務室は大スパンの鉄骨造とした。
インフラの二重化とともに、自然換気や自然採光によるエネルギーセーブにより、災害時にも長時間の機能保持を行う。
街に対し全周をガラス窓とすることで、周辺環境に配慮するとともに、四方から自然光を取り入れた明るく眺望のよいオフィスとした。
(葛原定次、河辺伸浩/日建設計)
フカヤビル
『建築と社会』2016年3月号:東海支部会員作品
愛知工業大学 新2号館
建築主 | 学校法人名古屋電気学園 |
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設計・監理 | 清水建設名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 清水建設名古屋支店 |
所在地 | 愛知県豊田市八草町八千草1247 |
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敷地面積 | 512,505.90m² |
建築面積 | 1,789.65m² |
延床面積 | 8,701.61m² |
構造規模 | S造一部SRC造 地上6階 地下2階 |
工期 | 2014年1月~2014年12月 |
最寄駅 | リニモ・愛知環状鉄道 八草駅 |
撮影 | 新名 清/エスエス(名古屋) |
キャンパスの中心付近に学生動線の交差点に面して計画された新2号館は、上層部の建築学科・電気学科の研究室、1階のロボットミュージアム(ロボット研究のためのショールームラボ及びホール)、地下2層にわたる建築学科の製図・アトリエスペース、屋上の太陽光・風力発電研究スペースから構成されている。
上層部の研究室階は、半スパンをモジュールとして将来的な学科編成の変更や研究室の増減にフレキシブルに対応するとともに、各階を貫通するライトウェルと掘りの深いコンクリート打放しの外観にて統一感を確保した。
低層階は「見て、見られて、気付いて、試すことができる環境」をテーマに、上層部とは対照的に内外壁ともガラス張りによる見通しの良い設えとし、傾斜地を活かしてサンクンガーデンやオープンテラスを設けた断面計画とした。接地階は全てキャンパスから直接アクセスすることができ、ホールやピロティを含めて屋内外に重層的に巡らせた動線スペースは、いつでもギャラリーやステージ、フィールドに様相を変えることを許容する。通りがかりにふと目にした誰かのトライ&エラーの断片を、他の誰かが拾いあげて紡いでいくようなインスパイアの連鎖によって、学生たちのこれからの日常がカタチづくられていくことを期待した。
(佐藤 剛/清水建設名古屋支店一級建築士事務所)
あいち小児保健医療総合センター救急棟
建築主 | 愛知県 |
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設計・監理 | 安井建築設計事務所 |
施工 | 佐藤工業 |
所在地 | 愛知県大府市森岡町7-426 |
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敷地面積 | 69,290.85m² |
建築面積 | 2,007.10m²(救急棟) 9,395.05m²(全体) |
延床面積 | 6,869.91m²(救急棟) 27,393.67m²(全体) |
構造規模 | RC一部S(免震)地下1階 地上3階 塔屋1階 |
病床数 | 200床 |
工期 | 2014年3月~2015年11月 |
最寄駅 | JR東海道本線 大府駅 |
撮影 | 加藤敏明/アーキフォトKATO |
平成15年に理想の子どもの療養環境を先駆的に実現した本館棟に、ER(3次救急、総合診療)、手術部、小児ICU、ヘリポートを備えた免震構造の救急棟を増築した。高度な医療環境に子どもの療養環境をどのように実現できるかが課題であった。本館棟での「どんぐりくんとマロンちゃんの冒険」に続く「ER棟治療編」を1階から3階にて、大地・森・空をテーマに複数のデザイナーによるアートを展開し、手術ホールではプロジェクションマッピングや壁画によるプレパレーションができるようにした。建物配置はアプローチ路とサービス路に挟まれた厳しい敷地条件にて、患者動線を分離し、既設アトリウムと車寄せを中心とした配置計画を行い、敷地のレベル差を活かして、救急とサービス車両動線を分離した。地階には中央滅菌材料室やME室、物品管理室といったサービス部門を設けて、中央滅菌材料室は2階手術部の供給廊下と手術ホールを清汚専用EVにて一体運用できる平面とした。
3階小児ICUは感染やプライバシー、集中ケアに対応できる、さまざまな形状の病室を用意している。
(篠原佳則、中原岳夫、三宅伸幸、唐沢文茜/安井建築設計事務所)
石川テレビ放送 メディア館
建築主 | 石川テレビ放送株式会社 |
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設計・監理 | 日建設計・五井建築研究所設計共同企業体 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 石川県金沢市観音堂町チ18番 |
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敷地面積 | 11,413.13m² |
建築面積 | 1,402.88m² |
延床面積 | 4,010.86m² |
構造規模 | S造 地上4階 |
工期 | 2014年4月~2015年7月 |
最寄駅 | JR北陸本線 金沢駅 |
撮影 | エスエス(北陸) |
JR金沢駅北西の郊外に位置する、石川テレビ放送本館の建替え及び周辺施設の改修計画である。
築45年の旧本館をメディア館として建替え、本社玄関・総合受付のほか、報道・制作部門のオフィス、スタジオなど番組制作に係る部門を集約した。同時に既設新館・マスター館の改修を行い、3棟をロの字型に回遊できる渡り廊下で一体化し、より機能性を高めるべく総合的なリニューアルを行った。
大災害後に放送業務を継続するため、構造は耐震性能に余裕を持たせると共に、津波災害に備えて放送業務に係る機能は制作スタジオはじめ全て2階以上に配置した。報道・制作部門の主フロアとなる2階は、無柱の広いフロアを確保するため東側に大きく張り出し、その1階をピロティーとして雨や雪から守られたゆとりある車寄せと玄関を設けた。
45年間親しまれてきた本館に代わり、石川テレビ放送の新しい顔となるメディア館の外観デザインは「ひと目でテレビ局とわかる顔づくり」と「金沢の伝統」をテーマに、デジタル映像のイメージをモザイク模様の和紙調ガラスに託して表現した。また、人気のマスコットキャラクター「石川さん」をあたかもバルコニーから覗いているように配し、地元や子供たちに親しまれる建物をめざした。インテリアはエントランスロビー壁面に地元「二俣和紙」の職人による和紙を光壁に設え、明るく温かみのあるおもてなしの空間を創った。また、トイレの金箔・漆塗調壁材の市松張りなど、随所にテレビ局らしさと石川らしさを感じさせる楽しい雰囲気づくりをめざした。この建物が末永く、石川テレビの皆様と地域の方に親しまれることを願っている。
(小谷陽次郎、岡田宏介、伊藤勝之/日建設計)
ATグループ本社 北館
建築主 | 株式会社ATグループ |
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設計・監理 | 竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店 |
所在地 | 名古屋市昭和区高辻町6番8号 |
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敷地面積 | 2,150.84m² |
建築面積 | 1,940.70m² |
延床面積 | 4,321.31m² |
構造規模 | S造 一部W造(耐火木造梁) 地上4階 |
工期 | 2014年2月~2015年2月 |
最寄駅 | JR中央本線 鶴舞駅 |
撮影 | 車田 保/エスエス(名古屋) |
日本の自動車産業黎明期より地域とともに発展してきた愛知トヨタ自動車の80周年事業として建てられた本社ショウルーム。近年、自動車産業においてはハイブリッド車やFCV車など環境性能を向上させる技術がクローズアップされ自動車のつくり方が大きく変わろうとしている。建築もこれに革新的な技術で応えるため、都心部において高い優位性を持つ耐火集成材「燃エンウッド®」を用いた「木のショウルーム」をつくり未来に発信する空間とした。車の「ショーケース」として透明度の高いガラススクリーンを構成するため、木造梁とそれを支えるミニマムな鉄骨柱によるハイブリッドな架構としている。一般に外部から見たショウルーム内の車は、大通りを疾走する車とは対比的にガラスボックスの中で静止している。本来「動くものである車」が動かないなら「動かないものである建築」に躍動感を与えることで活きた「ショーケース」としたいと考えた。
そこで幹線道路に70mの長さで連続する木造の梁に対して、角度を変えて連続させる天井面をうねらせて右肩上がりに交差点に向かうことで動きを可視化した。さらには時間と共に移り変わる照明演出も加えて、存在を際立たせながらこれからも街とともにありつづける「ランドマーク」となっている。
受付カウンターなどお客様とスタッフの接点となる部分には、地場産の木やタイルなど自然素材の持つ豊かな特徴を新しい技術と形態で表現することで、東海地方におけるものづくりの精神を新鮮な驚きとホスピタリティとして表出している。
(長谷川寛、伊藤貴弘、石黒紘介/竹中工務店)
蒲郡信用金庫南栄支店
建築主 | 蒲郡信用金庫 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | オーテック |
所在地 | 愛知県豊橋市南栄町字空池59-4 |
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敷地面積 | 1,895.81m² |
建築面積 | 414.49m² |
延床面積 | 973.31m² |
構造規模 | S造 3階建 |
工期 | 2014年7月~2015年6月 |
最寄駅 | 豊鉄鉄道渥美線 南栄駅 |
撮影 | エスエス名古屋 |
蒲郡信用金庫南栄支店は豊橋市内における基幹店舗で、老朽化した既設店舗を営業しながら、敷地内に新店舗を新築した。
敷地東側は豊橋市の主要幹線道路である国道259号線に接しており通行量が多いため、北側及び西側市道への通り抜けができるように、建物は敷地北西角に配置した。
国道側の東ファサードには水平方向を強調したカーテンウォールを設け、幅広の間口を持つおおらかで風格のある外観を演出している。
1階南側に配置した待合ロビーは東西2方向から入店でき、広くて明るい室内空間を確保している。待合ロビーからは3階大会議室までエレベーターでアクセスでき、フレキシブルな活用を可能としている。
閉店後に下ろすのはパイプシャッターとし、ATM利用客や近隣に対し視覚的にオープンな印象を与えている。
(梶井信嘉、馬場勝巳 / 伊藤建築設計事務所)
紀勢自動車道地域振興施設「始神テラス」
建築主 | 紀北町 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 平野組 |
所在地 | 三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区三浦600番地 |
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敷地面積 | 2,133.55m² |
建築面積 | 687.52m² |
延床面積 | 997.45m² |
構造規模 | 木造(一部S造)、地上2階 |
工期 | 2014年8月~2015年3月 |
最寄駅 | JR紀勢本線 三野瀬駅 |
撮影 | 米田正彦、土面彰史 |
三重県南部に位置する紀北町が整備する、町内に新設された高速道路の休憩施設である。
施設前面に来訪者を迎える軒先空間「きほくの小径(こみち)」を通し、そこから各室へアプローチする建物構成とした。1階には地域の特産物を販売する店舗と食堂、2階にはイベント等で使える多目的室が2室あり、建物中央にそれらをつなぐ吹抜空間「交流広場」がある。
構造材、内装材は全て紀北町産桧を使用し、一部にはFSC認証材を用いて、木の文化の町、紀北町をアピールしている。
ゆるやかにうねる大屋根が山と海に抱かれた自然豊かな景観とつながり、施設全体を包み込む。地域を見守り、人々がふれあい、新たな出会いが生まれる集いの場となることを願う。
(高木耕一、柱健太郎/東畑建築事務所)
北伊勢上野信用金庫 上野営業部
建築主 | 北伊勢上野信用金庫 |
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総合監修 | 株式会社ティーファス |
設計・監理 | 株式会社伊藤建築設計事務所 |
施工 | 株式会社福田豊工務店 |
所在地 | 三重県伊賀市上野丸之内38番地の4 |
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敷地面積 | 1,169.93m² |
建築面積 | 503.62m² |
延床面積 | 887.11m² |
構造規模 | 鉄骨造 2階建 |
工期 | 2014年11月~2015年7月 |
最寄駅 | 伊賀鉄道伊賀線 上野市駅 |
撮影 | Studio-Nob |
北伊勢上野信用金庫は、2004年1月に北伊勢信用金庫と上野信用金庫が合併して発足した地域密着型の金融機関である。旧店舗は上野信用金庫の本店であったが、前面県道拡幅のため、県道を挟んだ道向かいの土地に移転新築となった。
建物は県道沿いに配置し、東側を駐車場としてL型の敷地を有効活用した。幅員4mの南側市道の一部を幅員6mに拡幅し、車でも訪れやすい店舗としている。
建物外観は屋根を銀いぶし瓦葺き、外壁を漆喰調塗装、磁器質タイル貼として、城下町の面影が残る伊賀上野の街並みに調和した暖かみのあるデザインとした。
1階ショーウィンドウ等の開口部には強化和紙による障子を用いて、内部にやわらかな光を取り込んだ。2階窓には格子を設け、直射日光による熱負荷を低減している。
照明は全てLEDを採用して省エネルギー化に配慮した。また耐震安全性の重要度係数を1.25とし、自家発電装置(20kVA)を設置して、災害時にも業務機能を維持できる施設としている。
(上西 真哉/伊藤建築設計事務所)
希望が丘こども医療福祉センター 岐阜希望が丘特別支援学校(1期)
建築主 | 岐阜県 |
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設計・監理 | 安井・サニー設計共同体 小林建築設計 |
施工 | 1工区建築: 大日本・岐建・市川JV 1工区電気: 高橋・川田JV 1工区機械: イビデンエンジニアリング・美濃工研JV 2工区建築: 共栄・松永JV 2工区電気: 石原電機工業 2工区機械: 朝日・安田電暖JV |
所在地 | 岐阜県岐阜市則武新屋敷鷲山向井地内 |
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敷地面積 | 18,341.32m² |
建築面積 | 7,751.43m² |
延床面積 | 13,247.13m² |
構造規模 | RC造 地上2階 |
工期 | 2014年3月~2015年7月 |
最寄駅 | JR東海道本線 岐阜駅 |
撮影 | 滝田良彦/滝田フォトアトリエ |
ひとりひとりの「生きる力」を育む総合支援の場を目指して、医療・福祉・教育が一体となった子育て不安から障がい児教育・障がい者支援まで対応する岐阜県の一大拠点施設である。敷地周辺の環境に合わせて、病棟を持つ医療福祉施設から学校、グランドを配置している。建物周囲に設けられた屋根付駐車場により雨にぬれることなくアプローチでき、異なる施設間をバリアフリーで移動することができる計画となっている。大通り、中庭、吹抜け空間を適所に設けて、利用者の特性に合わせた目的地への誘導と機能的なつながりを確保している。1 期工事として直径22mの円形スロープに囲まれた2層吹抜けのランチルームのある特別支援学校と、子どもと家族にやさしく療養環境に配慮したインテリアで壁面アートのあるこども医療福祉センターを完成させた。引続き2 期工事として特別支援学校の体育館と障がい者用体育館を整備する予定である。
(篠原佳則、東園浩文、渡部 剛/安井建築設計事務所・野辺昭造、井上幸祐/サニー建築設計)
三和商工株式会社 本社ビル
建築主 | 三和商工株式会社 |
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設計・監理 | 株式会社伊藤建築設計事務所 |
施工 | 栄興建設株式会社 |
施工協力 | ㈱デンデン、 ㈱松本設備、八木鋼材㈱、アイサン建設㈱、菱電商事(株)、 (株)不二サッシ東海、三和シャッター工業㈱、 ㈲アウル、三谷商事㈱、 ㈱春日井石材、㈱イワサキ金属、 ㈱宮木商会、㈱フォースター、建材化工㈱、㈱鈴幸、 ㈱ツボイ |
所在地 | 愛知県名古屋市中区丸の内 |
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敷地面積 | 262.25m² |
建築面積 | 224.50m² |
延床面積 | 903.75m² |
構造規模 | 鉄骨造 4階建 |
工期 | 2015年4月~2015年11月 |
最寄駅 | 名古屋市営地下鉄鶴舞線丸の内駅 |
撮影 | 株式会社リフレクト |
三和商工株式会社は、1947年に設立された工業薬品・合成樹脂・建築資材等の販売及び輸出入を行う商社である。このたび本社の老朽化のため、同敷地に新築建替えを行った。
敷地は262.25㎡の変形敷地であるため、階段・EV・便所等のコアを東側に集中させ、居室空間をできるだけ広く確保する効率的な配置とした。
1階には機械駐車設備を4基設置し、中央に転回スペースを確保して車の出入れの利便性の向上を図るとともに前面道路の歩行者の安全にも配慮した。3、4階の会議室・応接室は各室で内装仕上材を変え、特色ある空間を演出した。
また、照明には全てLEDを採用し、ガラスにはLow-Eガラスを採用して室内の空調負荷低減を図る等、環境に配慮した本社ビルとしている。
外壁には、本磨き仕上げとした御影錆石を採用し、幅をランダムとしたカーテンウォールと交互に連続させることで、シャープな印象とともに暖かみを与えるデザインとした。
(上西 真哉 石橋 洋二郎/伊藤建築設計事務所)
JA鈴鹿 河曲支店
建築主 | 鈴鹿農業協同組合 |
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設計・監理 | 東畑建築事務所 |
施工 | 堀田建設 |
所在地 | 三重県鈴鹿市河田町373 |
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敷地面積 | 4,065.25m² |
建築面積 | 414.66m² |
延床面積 | 646.69m² |
構造規模 | S造 地上 2階 |
工期 | 2015年3月~2015年9月 |
最寄駅 | JR関西本線 河曲駅 近鉄鈴鹿線 鈴鹿市駅 |
撮影 | tonomophoto+ |
河曲支店は、鈴鹿北東部地区の営農の拠点として位置づけられていますが、建物の老朽化に伴い、既存店の建て替えを行うことになりました。新築にあたり、災害時には屋上を農協組合員や職員の避難場所として利用できるように、室外機等の設備機器を全て地上設置として計画しています。また発電機対応による運営も考慮されています。
従来の金融店舗では、コーナーとして設置されていた購買部分を、専用の購買ゾーンとして配置し、土曜日等は購買ゾーンが単独で営業可能な計画となっており、業務の効率化がはかられています。
外部は、敷地周辺道路からの遠景に配慮し、3面を温かみのある色彩のタイル仕上げとし、1階コーナー部分にはアクセントとなるアルミカーテンウォールを設置しています。
店内は、明るく入りやすい雰囲気となる様にロビーは開放感のある空間としながら、アースカラーの温かみのある色彩・材料を選定し、親しみやすさもあわせもつ空間を目指しています。また子供連れでの来店に配慮し、キッズコーナーや多目的トイレを設置しています。
施設内の照明にLED照明を採用し、アルミサッシのペアガラスの採用、断熱材の仕様等、環境負荷低減にも配慮しています。
(鈴木 茂/東畑建築事務所)
静岡県立大学 看護学部棟
建築主 | 静岡県公立大学法人 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 平井工業(建築工事) |
所在地 | 静岡県静岡市駿河区小鹿2-2-1 |
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敷地面積 | 37,066.20m² |
建築面積 | 1,957.62m² |
延床面積 | 6,298.42m² |
構造規模 | S造 地上4階 |
工期 | 2013年7月~2015年3月 |
最寄駅 | JR東海道本線 東静岡駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
小鹿キャンパスのシンボルである「街に開かれた緑豊かなアプローチ広場」に面して立つ新看護学部棟。約5km離れた谷田キャンパスに代り、新たに看護学部のメインキャンパスとなりました。
小鹿キャンパスの既設校舎や既存樹木、特に前身の大学設立時から残る欅の大木が彩る豊かな景観を大切にした配置とし、新たな伝統を育むにふさわしい素材と色調の校舎としました。
レンガタイルの外壁から持ち出し、西日を遮る県産材ヒノキのルーバーを配した「ナレッジウインドウ」を広場側に設け、看護を学ぶ学生が行き交い交流するキャンパスの新しい顔としました。また、県産材ヒノキを活用した木の香りのするカレッジホールや、自然換気を促進するガラス張りの階段室、エアフローウインドウなどの環境技術により、看護学部にふさわしい健康的で暖かみのある学び舎としました。
(葛原定次、奥宮由美、石森秀一、田中裕大/日建設計)
第一工業製薬株式会社四日市事業所 霞工場コントロールセンター
建築主 | 第一工業製薬株式会社 |
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設計・監理 | 大林組名古屋支店一級建築士事務所 |
施工 | 大林・中日本建設工事共同企業体 |
所在地 | 三重県四日市市霞1丁目23番5 |
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敷地面積 | 91,004.59m² |
建築面積 | 854.05m² |
延床面積 | 1,687.92m² |
構造規模 | S造 地上2階 |
工期 | 2014年11月~2015年6月 |
最寄駅 | JR関西本線 富田浜駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
京都に本社を置く工業用薬剤メーカーである第一工業製薬株式会社のコントロールセンターを計画した。第一工業製薬の新拠点は三重県四日市市の第3コンビナート内にあり、「未来づくりの城」と「マザー工場」をコンセプトとし、今回のコントロールセンター新築工事は、その第1期工事にあたる。
コントロールセンターは、商品の製造・開発を行う製造プラントの監視室(コントロールルーム)、製品の品質管理分析室、スタッフ部門の執務室で構成されている。
1階エントランスは、来客者向けの社業のアピールが可能な展示スペースを設え、大開口を設ける事で明るいアプローチ空間を創出している。コーポレートカラーのブルーを壁面デザインとして採用し、屋外のサインから展示スペース、屋内階段へ伸びるブルーのラインが、見学者の動線を誘導する計画としている。
2階のコントロールルームには、隣接する製造プラントが見渡せる横連窓を採用した。事務室の主採光面となる西面に明るさセンサーを設置し、自然光を優先した照度制御により環境負荷低減を図っている。
外壁材の色の切り替え、L字を強調したエントランスの庇により、個性あるシンボリックな外観デザインが新拠点の顔となるように計画した。
(白石智子/大林組)
千鳥津波避難所 千鳥健康交流の家
建築主 | 東海市 |
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設計・監理 | 伊藤建築設計事務所 |
施工 | 中村土木建設(建築工事) 小島電機(電気設備工事) 三和テクノ(空調設備工事) 小島配管工事(給排水衛生設備工事) |
所在地 | 東海市名和町一番割中地内 |
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敷地面積 | 622.86m² |
建築面積 | 264.89m² |
延床面積 | 848.22m² |
構造規模 | S造5階建 |
工期 | 2014年6月~2015年3月 |
最寄駅 | 名鉄名和駅 |
撮影 | センターフォト |
この建物は、近い将来発生が危惧される南海トラフ巨大地震による津波災害を想定した防災拠点であるが、平時は地域の高齢者が自由に集い世代間交流を図ることも期待している。1階には交流促進スペース、2階に健康増進スペース、3階には防災交流スペースを設け、普段から使用することで災害時に慌てることなく避難できるよう意図されている。
構造は鉄骨造で、最大5mの津波が押し寄せても耐えられる設計としている。また、屋上に設置した自家発電設備は最大70時間の運転が可能で、1日10時間想定で1週間建物内の電力を確保できる。階段幅は1.8mで車椅子を両脇から支えながら利用でき、天井は耐震天井で災害時の使用に支障が出ないようにしている。1.2階の内装には木材をふんだんに使い、床はクッション性のある鋼製床で、高齢者も安心して利用できるようにしている。
いつ起こるか分からない災害に備えるだけではなく、普段から地域住民に愛される施設となることを望んでいる。
(梶井信嘉、稲垣志聞 / 伊藤建築設計事務所)
常滑市民病院
建築主 | 常滑市 |
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設計・監理 | 日建設計 |
施工 | 鹿島建設 |
所在地 | 愛知県常滑市飛香台3-3-3 |
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敷地面積 | 43,941.15m² |
建築面積 | 10,910.43m² (病院棟 6,081.76m²) |
延床面積 | 23,628.71m² (病院棟 22,130.79m²) |
構造規模 | RC柱・S梁混合構造 一部SRC造 RC造 地上7階 |
工期 | 2013年10月~2015年2月 |
最寄駅 | 名古屋鉄道常滑線 常滑駅 |
撮影 | エスエス(名古屋) |
国交省推奨による「ECI発注方式*」の先行事例として、施工者のノウハウを反映させた実施設計など、施主・設計・施工の三者一体で、コスト・工期の合理化に取り組んだ病院プロジェクトです。
病院のコンセプトである「コミュニケーション日本一の病院」を受けて、「顧客(市民)」「スタッフ間」「地域連携」の3つのコミュニケーションを大切にし、敷地内にグリーンベルトを設置して近隣住民が買物や散歩に利用する気軽に立ち寄れるなど、街のような開放的な病院づくりを目指しました。
外来部門は雁行配置により、行き先が見えるわかり易い建物構成とし、緑と自然光を取り込む明るい空間としました。また、エントランスホールに設置されたモザイクタイルのアートは、高校生のデザインをもとに2,900人の市民の手でつくられた常滑にふさわしく市民の健康を大切にする院内のシンボルとなっています。
*ECI発注方式: アーリー・コントラクター・インボルブメントと呼ばれる工事発注の方式。昨今の建設物価高騰の状況の中で、実施設計の前に施工候補者を選定して、設計者と施工者が知恵を出し合って工事予算の削減や工期短縮に取り組みながら実施設計をまとめる。
(橘高宗平、荒川康弘/日建設計)
名古屋熱田水素ステーション
建築主 | 豊通エア・リキードハイドロジェンエナジー株式会社 |
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設計・監理 | 大林組名古屋支店一級建築士事務所 |
設計協力 | アトリエ・ジーアンドビー |
施工 | 大林組名古屋支店 |
所在地 | 愛知県名古屋市熱田区六野一丁目204番1他 |
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敷地面積 | 579.03m² |
建築面積 | 139.31m² |
延床面積 | 139.31m² |
構造規模 | S造 平屋4棟、S造+RC造 平屋1棟 |
工期 | 2014年10月~2015年1月 |
最寄駅 | JR東海、名古屋鉄道、地下鉄 金山駅 |
撮影 | 車田写真事務所 |
名古屋市内初の商用単独水素ステーション。トヨタ自動車の燃料電池自動車MIRAIの発売にともない、FCVの普及に合わせたインフラ整備の先駆けとなる施設で、ディスペンサー棟+事務所棟+水素プラントで構成される。
燃料電池車はクルマと環境の関係を新しいステージに引き上げた。その「クルマ」にエネルギーを供給する場も変わるべきだと考えた。従来のガソリンスタンドにみられる重工業的雰囲気とインパクト重視の広告性を発露するものから脱却し、クリーン/スマート/シンプルなイメージをもつ、まちなみの美的構成要素たりえる建築とした。
各建物のボリュームとアウトラインは、利用時の視界安全性確保から導き出した。
ディスペンサーキャノピーは、架構安定性とローコスト化を図った構造デザインとしている。また、これからのエネルギー「水素」をイメージしたブルーのアクセントカラーは、多角の造形とあわせて利用者を自然な動線へ導くとともに、敷地周辺がもつ日常的風景の活性化にも寄与している。
建築と一体的にデザインされたサイネージは、ドライバーのアイレベルを考慮したミニマムなモーショングラフィクスとすることにより、景観に配慮された広告性の強化を意図した。
これから普及していく水素ステーションという新しいビルディングタイプが、社会に歓迎される施設となることを目指した。
(河田利香/大林組)